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第2話

ーー生きているかどうか確かめに行くべきだろうなーー  右京はそう心の中で呟いた。  右京は、岩だらけの道を下り、砂浜を横切って桟橋に向かった。海の荒波にもまれた遺体が海岸に打ち寄せられるのは、決して初めてのことではない。特に昨夜のような激しい嵐の後では、難破して命を落とすことはよくあることだ。桟橋の端までたどり着き、意識を失った男の上に身をかがめた。その時、右京の心臓が急に激しく鼓動し始め、目に潤いを帯び始めた。 「ただの男だ」  と右京は呟いだ。  しかし、ただの青年ではなかった。かつて見たこともないほど美しい青年が横たわっていた。恐らく16歳くらいだろうか。金髪のミディアムヘア、叙事詩に謳われるような顔立ち、さらに女性と見間違えるようなふっくらとした唇。その隙間からは若くて白い歯が見えた。投げ出された腕は世界で最も繊細で、細い手をしているように思えた。目の前に横たわる青年は何かの神様のような存在なのだろうかとさえ思った。青年の髪から耳の後ろをゆっくりと指でなぞると、もはや死んだものと諦めていたが、青年が微かなうめき声をあげた。

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