2 / 83
逆愛《嵐side》1
「大空 まだかよ…時間かかりすぎだ!」
また殴られた。
「…すいません」
生徒会の仕事の処理が遅くて、洸弍 先輩に殴られるのが日常茶飯事だった。
最初はあんなに優しかったのに、ここ最近いつもこうだ。
マジで嫌になる。
どうにかして、服従させたい。
「じゃあさ、犯してみればいいじゃん」
「はぁっ!?」
FI 学園に出張したとき、FI学園の生徒会長の天野誠 に相談した。
誠から返ってきた返事に俺は驚いた。
「犯すってあの洸弍先輩を!?…殺されるだけだろ」
「まぁ、ただ犯すだけなら嵐の死は確定だけど…秘策がある」
カフェテリアの日差しを浴びて、誠はニヤニヤしながらコーヒーを飲む。
「寺伝さんはクリュグが大好きだ」
「…クリュグ?」
「高級シャンパンのこと」
誠は天野グループの御曹司で、寺伝グループと交友があるらしく、洸弍先輩を昔から知っている。
「よく寺伝さんがパーティーで飲んでるのを見かけるんだよ。でも1杯飲んだだけで足がふらついてる」
だからそれは事実なんだろうけど。
あの先輩が?
シャンパン1杯でふらつくなんて想像出来ない。
酒は好きなのに、酒に弱いのか。
「つまりそのクリュグを使って先輩を犯せと?」
「ご名答。クリュグなら俺の部屋にあるから持って帰る?」
「なんでそんなもん部屋にあんだよお前」
「秘密」
誠はコーヒーを飲み終えると、席を立ち、自分の寮へと歩き出した。
俺もそれについていった。
誠は部屋に入り、冷蔵庫へと向かいクリュグを取り出した。
「そんなに寺伝さんが嫌いなんだ」
「しょっちゅう殴られるし、俺にだけ冷たいんだよ。思い出しただけで鬱になる」
「そうなんだ。はい、プレゼント」
そして誠はクリュグを俺に渡した。
「3杯以上だと寺伝さんは記憶なくなるから、意識あるうちに犯すなら1杯が適量だと思う」
「なるほど。意識ないのに犯しても意味ないもんな」
相変わらず誠は楽しそうにニヤニヤしてる。
こっちはあの洸弍先輩を犯すという、史上重大の使命があるのに。
失敗した時の事を考えただけで身震いがする。
「そこのバス停の近くにあるケーキ屋のタルト買ってけば?そこのタルト寺伝さん大好きだから」
「分かった」
「健闘を祈る。結果報告よろしくな!」
「楽しそうだなお前…」
そう言って誠と別れ、タルトを買ってMY 学園に戻った。
ともだちにシェアしよう!