3 / 83

逆愛《嵐side》2

PM9:00 洸弍先輩の部屋のドアをノックした。 心臓はバクバクしてる。 ドアが開いた。 俺と目が合い、あからさまに嫌な顔をする。 「…なんだてめぇかよ。閉めるぞ」 「いや、用事あるから来たんすよ!これ、プレゼントです」 洸弍先輩は俺の持っているクリュグとタルトを見ると、目の色を変えた。 「入れよ」 誠の言ってたことは本当だったんだな。 それにしても分かりやすい人だな…。 洸弍先輩の部屋に入るのは半年ぶりだ。 半年前から急に俺に対する態度が異常なくらい冷たくなったから。 「誠から洸弍先輩がクリュグとこのタルト好きだって聞いたんで、日頃お世話になってるから貰って下さい」 「お前も可愛いとこあるじゃねぇか」 こんな笑顔満点の洸弍先輩を見たことない。 クリュグパワー恐るべし。 早速、ワイングラスを用意して注ぎ始める。 「立ってないで座れよ。まぁお前も飲め。美味いから」 本当に洸弍先輩なのか? まるで別人のように優しい。 グラスに注がれたクリュグを少しずつ飲み、先輩の様子をうかがう。 「やっぱり美味い…幸せだぁ」 10分後、先輩の目がトロンとし始めた。 たった1杯でこうなるものなのか。 「もう一杯いこうかなぁ…」 洸弍先輩は1杯飲み干し、笑顔でクリュグを注ぎ始める。 それ以上飲まれたら、きっと記憶が曖昧になる。 それじゃ犯しても意味がなくなるから、 だから、洸弍先輩を押し倒した。 「ってぇ…何すんだよ」 勢いよく押し倒したせいで、洸弍先輩の頭が勢いよく床にぶつかった。 先輩は睨んでる。 でも、洸弍先輩を怖いと思うことななかった。 俺にも酒が入っているせいだからだろうか。 先輩の両手を押さえて見下ろす。 負ける気がしない。 「大空…聞いてんのかよ!どけ!」 「誰がどくかよ」 抵抗する洸弍先輩の力なんて、今の俺からしてみれば恐るるに足りない。 今なら何でも出来る気がした。 「今日は日々の恨みを晴らしてやる」 抵抗するその両手を、自分のネクタイで纏め上げた。

ともだちにシェアしよう!