8 / 83

逆愛Ⅱ《洸弍side》1

大空に出会ったのは高1の秋。 綾くんと離れていても感じれるように、綾くんと同じ香水をつけていた。 でももう綾くんを忘れようと香水を捨てようと思っていた時、声をかけられた。 「すいません」 背が高くて、短髪で、ネクタイが青いから中等部の生徒だと気付いた。 「俺今日からこの学園に編入したんですけど、生徒会会計に任命されたみたいで生徒会室の場所知りたくて…」 苦笑いしながら、困っている。 「広くて迷いました…」 これだけ広い学園なのにマップを持っていない様子だった。 「俺は生徒会副会長やってる寺伝洸弍だ。教えてやるからついてこい。案内してやる」 「ありがとうございますっ!」 犬みたいな奴だなと思った。 素直で明るくて、期待出来そうだった。 「それ、大切な物なんですか?」 「…なんでそう思う?」 「捨てるのに、かなり時間かかってたみたいだから」 綾くんを忘れたいのに、忘れたくなくて同じ香水をつけていた。 捨てられない俺は弱かった。 綾くんを忘れようと思った。 「やるよ、これ」 「え…大切な物じゃないんですか?」 「大切な物だったよ。でももういらねぇんだ」 今の俺にはいらない。 必要ない。 もう綾くんを求めない。 そう決めた高1の秋。 「お前、名前は?」 「大空です。大空嵐」 「よろしくな、大空」 「はい!」 これが大空との出会いだった。 生徒会で会計の仕事を任された大空は、毎日一生懸命仕事をしていた。 分からないことを分からないままにしないし、嘘やごまかしをしない素直な奴。 飲み込みも早いし、これから期待出来ると実感した。 ある日、なぜMY学園に編入したのか大空に聞いた。 微妙な時期の編入だったから気になって。 「いじめ…やってたんですよ」 その言葉に驚いた。 いじめと聞くとさくらを思い出す。 「それで、そいつ失明させちゃって…」 「最低だなお前。見損なった」 大空の話をそれで遮り、俺はその場を去った。 それから大空に冷たくするようになった。 期待してたのに、 素直でいい奴だと思ったのに、 そんな下等な奴だったなんて、最悪だ。 いじめで自殺したさくらを救えなかった俺には、大空の存在が邪魔だとさえ思った。 生徒会の仕事量を増やしたり、殴ったりは日常茶飯事だった。 大空に冷たくなってから半年後、大空に犯された。 忘れもしない、高2の秋だった。

ともだちにシェアしよう!