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逆愛Ⅱ《嵐side》2
「あーらし」
「マリちゃん。今日撮影?」
「でもあたし脇役だからまだまだ出番ないけどね」
ドラマの撮影で、マリちゃんがMY学園によく出入りするようになった。
「てか、この前学食で一緒にいた人って誰?青髪で綺麗な人」
「あれは生徒会の先輩。つか、手ぇ出すなよ。マリちゃん彼氏いるじゃん」
やっぱり洸弍先輩は芸能人から見ても目立つ存在なのか。
俺も初めて見たときから思ってたけど。
「あっ、洸弍先輩!」
たまたま洸弍先輩が廊下を歩いていた。
俺は急いで洸弍先輩に駆け寄った。
「何だよ」
「英語得意でしたよね?どうしても分からない英文教えて欲しいんです。明日提出のものがあって」
さっきの授業で課題を出され、どうしても英語が出来なくて悩んでいた。
「あぁ。俺は今日外出だから帰ってきたら教えてやるよ」
「マジで助かります!ありがとうございます」
俺がこの学園に来た時は、よく勉強を教えてもらっていた。
それが急に洸弍先輩が俺に冷たくなってからは、お互いに避けてたから懐かしい。
「住谷マリがこっち見てるぞ。じゃあ俺は行ってくる」
振り返ると、マリちゃんがニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「嬉しそうな顔しちゃってさー。かわいい」
「うるせぇな。ほっとけ!」
「あはは。必死必死。男かぁ。まぁ頑張りなさいよ。社長には黙っとくから」
「うるせ。もう俺今から生徒会あるから行くわ。じゃあね21歳」
「…あんた殺すわよ」
そして俺は生徒会室へ向かった。
新学期はイベントが多い。
だから春は出張や交流が頻繁にあり、生徒会役員は多忙になる。
この学園に編入するためには、生徒会に入るのが絶対条件だった。
何で俺なんだろう…
「おう、そこの若いの!」
「え?」
前から廊下を歩いてくる人物が俺を呼んだ。
どこかで見たことのある人物。
歌舞伎役者の神威綾だ。
うちの母親が神威を好きだからよく分かる。
「生徒会室に案内して欲しいんだけど。雅鷹がそこにいるらしくて」
「あ…じゃあ案内します」
マサやんと知り合いなのかな?
ふと、隣から香る匂いが俺と同じ香水の香りだった。
俺と同じといっても、前に洸弍先輩がくれた香水の香り。
「あー!アヤちゃん発見!携帯繋がんないし」
「悪ぃな。充電切れたからさ」
生徒会室の前にいたマサやんが神威に気付き、神威を怒る。
瞬間、
「綾くん!」
振り返ると外出から戻った洸弍先輩が、神威に向かって駆け寄ってきた。
「おぉ、洸弍!やっと会えた」
「どうしたの?」
「あぁ、今日は雅鷹と炯と飲むから迎えに来たんだ。ついでに洸弍の顔を見に来た」
神威に頭をわしゃわしゃと撫でられる洸弍先輩。
見てるだけでムカついた。
「洸弍も来るか?夜中まで飲むからいつでも来いよ。明日休みだし」
「行けたらね。でも綾くんに会えたからもう充分だよ」
「可愛いやつめ。行くぞ雅鷹!じゃあな洸弍。来たかったら連絡しろ」
「うん。じゃあね」
そして神威とマサやんは去っていった。
何なんだこの関係は。
あの神威を『綾くん』と呼び、しかも飲みにまで誘われる関係。
「洸弍先輩」
「大空…いたのか」
「さっきからいましたよ」
こんな近距離にいたのに、神威との話に夢中になってて気付かなかったのかよ。
「英語だよな?お前の部屋でいいだろ?20時ぐらいに行くから用意しとけ」
「分かりました」
あの香水と、『綾くん』という呼び方。
嫌な予感がした。
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