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逆愛Ⅱ《嵐side》3

「あぁ、なるほど!こう訳せばいいのか」 「それ基本の英文だから覚えとけよ。今後も使う」 「ありがとうございます」 20時ぐらいに洸弍先輩が俺の部屋に来た。 やっぱり、洸弍先輩の説明は分かりやすい。 「ちょっと休憩しましょう」 そう言って俺は冷蔵庫からケーキを取り出した。 「クリュグ飲みます?」 「いらねぇよ」 まぁ、そりゃそうだろうな。 俺も何聞いてんだ。 「上手いなこのケーキ」 「あのタルトには負けますけどね」 ケーキと紅茶を飲みながら休憩。 隣からは石鹸のいい香りが漂う。 風呂に入ってきたのかよ。 ムラムラするじゃねーか。 「もう21時か…」 洸弍先輩が時計を見て呟いた。 さっき、神威達に飲みに誘われてたな。 ―…行くのかな 「洸弍先輩が今日話してた人って、神威綾ですよね?」 「あぁ。綾くんを知ってんのか?」 「母親が好きなんで知ってます。知り合いですか?」 まぁ、あんなに仲良いとこ見せられて知り合いじゃない方がおかしい。 「兄貴の親友で家が近所なんだ。山田雅鷹とも高校の同級生みたいだぜ」 微笑みながら神威の話をする姿に嫉妬した。 「いつも抱かれてるときに言ってる『リョウくん』って…神威のことですか?」 「そうだ。お前の体格は綾くんに似てるからな、勘違いもしちまう。好きな人だからな」 「神威に抱かれたことあるんですか?」 「まぁ、何回かはある」 あの人に抱かれていたのか。 今日初めて生の神威綾を見たけど、かなり顔の整った人だった。 あの香水、 やっぱり神威と同じものだったのか。 だから洸弍先輩は俺を神威だと勘違いしたのか。 「お前こそ慣れてるよな?何人ぐらい抱いてきたんだよ」 逆に洸弍先輩に質問された。 「男を抱いたのは洸弍先輩が初めてですよ。女は…7人ぐらいですかね?」 「住谷マリとか?」 「あぁ…マリちゃんは俺の初体験の相手ですね」 懐かしい。 13の時に誘われて、かなりリードされながらの初体験だった。 「マリちゃん実は俺の4つ上なんで、俺が13の時に誘われてヤッたんです。彼女からは色んなこと教わりました」 「10人ってまさか全員事務所の女か?」 「そうですね。来るもの拒まず、別に好きな人もいなかったんで。俺から誘うことは無かったですけど」 こんなの母親に知られたら殺されるといつも思ってた。 母親も父親も多忙な人間だから、俺を気に入った事務所のモデル達とは何回かした。 価値なんて気にしてなかった。 快感さえ感じられれば良かったから。 その瞬間、俺の携帯が鳴る。 母親だ。 「はい、何?ちょっと今勉強しててさ…」 『あんたマリのことちゃんと護衛してよね』 「いやいや無理でしょ。俺だって忙しいし」 その瞬間、洸弍先輩の携帯が鳴った。 神威か? 「行けたら行くよ」 そう言って電話を切った。 『学園で会っても嵐が相手してくれないって言ってたわよ』 「俺だって忙しいんだって。いちいちマリちゃんの相手してらんねぇし」 あぁもう、うざい母親。 電話を切るに切れない姿を見て、洸弍先輩はノートの余白に『帰る』と書いて部屋を出ようと席を立った。 「待っ…」 俺は電話を切って、先輩の後を追った。 飲み会に行って欲しくない。 行かせない。 ドアを開けようとする洸弍先輩の手を掴んだ。

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