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逆愛Ⅲ《嵐side》5
洸弍先輩は立っていられないのかその場に腰を下ろした。
「何なんだよお前…強引過ぎだっつの」
「すいません。…誠に負けたくなくて」
「は?何の勝負だよ」
部屋の玄関でヤッてしまうとは…
洸弍先輩、怒ってるよな。
「シャワー貸せ」
「あ…はい」
洸弍先輩はそのままバスルームに向かった。
久しぶりだから盛り上がってしまった自分がいた。
ここ最近、避けてたしなぁ。
いつぶりだろ、洸弍先輩を抱いたの。
「おい」
洸弍先輩が振り返って言った。
「天野とは本屋で会って、喫茶店行っただけだからな」
「え?」
そう言い残してバスルームに入っていった。
誠とヤッてない?
「マジかよ…」
嬉しい。
じゃあ何であんな挑発的な態度だったんだろう。
「えっ?寺伝さんが好き!?」
「そうだよ」
「嫌いで犯したのに逆に好きになった?マジかよ」
FI学園に出張したとき、誠に自分の気持ちを告白した。
「でも好きでいていいのか分からない。こんな俺が洸弍先輩を好きでいていいのか…」
「なるほど。竹内さんのことか…」
洸弍先輩には竹内さんという大切な人がいて、洸弍先輩にとって俺は許せない存在だろう。
傍にいていいのか分からない。
「寺伝さん、俺の誕生日パーティーの時に宮本から嵐の過去を聞いたってさ」
「ヒロシから?」
「『大空は俺が思ってた奴と違かった。避けられてるから謝るに謝れない』って言ってた」
洸弍先輩が、俺に謝ろうとしてた?
嘘だろ。
「でも俺は許されない存在なのに…」
「許すか許さないかは、寺伝さんが決めることだろ」
誠が微笑みながら俺を見つめて言った。
「自分の気持ち、寺伝さんに伝えてみれば?」
自分の気持ちを…―
好き、という気持ちを。
「嫌われてないって分かったんだしさ」
「そうだな」
洸弍先輩に告白しよう。
俺の気持ちを全てぶつけて、楽になろう。
「ありがとう誠!」
人をこんなに好きになったことなんてない。
正直、怖いけど。
でも気持ちを伝えよう。
今なら何でも出来る気がした。
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