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第7話
俺と伊織では、俺の方が半年誕生日が遅い。
たまに飯を食べに行く時に、先に20歳を迎えた伊織は酒を飲んだ。
なんだかんだ小心者の俺は年確が怖くて、便乗して飲酒はしなかった。
ただ、先に酒の味を覚えた伊織が羨ましく、しかもどんどん垢抜けていくので、追いつきたい一心だった。
そして、やっと20歳を超えた俺は、サークルや大学の飲み会で、ほぼ毎日飲んだ。
とにかく、次に伊織と飯を食いに行くまでには、酒の味を覚えておきたかった。
「遅くなったけど、誕生日おめでとう」
20歳を迎えて、2週間がたった頃、予定が合ったので伊織と飲みにいくことになった。
開口一番に伊織が祝ってくれる。
2人で乾杯をした。
俺がようやくレモンサワーのうっすらした苦味に耐えられるようになったというのに、伊織はビールも日本酒もテキーラも飲めるようになっていた。
「ねえ、夕?結構酔ってない?」
「はぁ?俺より半年先輩だからって馬鹿にすんなよぉ。よってねぇわ!」
口では強気で言ってみたが、思ったより視界も思考も足元もぐらついている。
心配そうにこちらを見る伊織と目が合う。
ほんと、20歳超えても、伊織は童顔だからか可愛らしい顔をしている。
剃ると少し青っぽくなってきた髭がコンプレックスに感じてきて、脱毛も考えたいは俺とは違って、伊織の顔には毛穴ひとつないように見える。
「俺、伊織なら抱けるわ」
「は?」
伊織がポカンとした顔でこちらをみる。
マジで俺、何言ってるんだ?って冷静な俺がツッコミを入れている。
しかし、アルコールでぶっ壊れた脳は勝手に口を動かしてくる。
「試してみていい?」
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