「あつ……、熱い！　胎ん中……あつ……ッ」 「初めだけだ。すぐ落ち着く」 　言い終えるや否やニギハヤヒは朝陽の腰を掴むと再度動かし始める。 「んっ、あっ、あああ、ああッ、もう、イキ……ったい」 「シシッ、約束するならイかせてやると言っているだろう？」 「や……だ」 「強情だな」 「や、あ、また中でイク……ッ、ぃ、あああ、ああ、ん！」 　腸壁が蠢き内部にある陰茎に絡みつく。射精を促してニギハヤヒを追い詰めた。きつ過ぎるくらいに括約筋が締まり、雄を煽っていく。朝陽の両膝の裏に手をかけて、ニギハヤヒは己の肩に朝陽の足を乗せた。反動で朝陽の腰が浮いて、上から押しつぶされるような格好になった。 「あ、ああっ、ん、あ、それッ、深……っぃいい‼︎」 　朝陽の両腰に手を当てて、左右と前後に揺さぶる。刺激が強過ぎるのか、朝陽が左右に首を振る度に眦から涙が散っていき、かえってニギハヤヒを喜ばせた。 「んん、ッアアあああー‼︎」 「くそ……っ」 　先に限界が訪れたのはニギハヤヒの方だった。朝陽の体をひっくり返し、陰茎を戒めているものを解くと律動を早める。 「あっ、あああ、ッあ、あ、ん、うあ、あああ、ああーー‼︎」 　前立腺を突かれ、やっと射精できた朝陽だったが、突然訪れた快感に耐えきれず叫んだ。うなじに噛みつかれ、番契約の印が埋まっていく。溜まりに溜まった朝陽の精液が吐き出される。 　しかし勢いがなくトロトロと溢れていくだけだ。 「ああっ、止まら……ッない、出るの……んん、あああ、止まらないぃいい！」 　朝陽の体が痙攣を起こしたように震える。その度にまだ内部に入ったままのニギハヤヒの陰茎を締め上げた。 「な、……で。何で……ヒートっ」 　噛まれれば発情期は治る。だが朝陽の体は昂ったままだった。それはニギハヤヒに十種神宝を埋め込まれた所為なのだが、追い詰められ思考回路の回っていなかった朝陽は気が付いてもいない。 「ニギハヤヒぃい……ッ」 　助けを求めるような朝陽の声音にニギハヤヒが目を細めて笑んだ。 「ああ、安心しろ。収まるまで付き合ってやろう」 　朝陽の甘えるような声音に、ニギハヤヒはその頸に口付ける。朝陽の腰だけを高く持ち上げ、また律動を始めた。 「ふ、ぁ……っ、ああ、ん、あああ……ん！」 　肉のぶつかり合う音が室内に響く。トロトロと勢いがなく出ていた精液が中を突かれる度に遠くまで飛んだ。結腸を突かれて中イキしては意識を飛ばしかける。それを引き戻されて朝陽は嬌声を上げ続けた。 　幾度となく体位を変えて交わり合い、また互いの欲が弾けていく。 「あああ、あッアア、ああーーー！」 　どれだけ突き上げられて、どれだけイっても足りなかった。 　内部に収まりきれなくなった精液が、結合部分で泡立ちながら伝い落ちていく。本能で交わす睦み合いは、互いの理性を溶かした。 「お前の白い肌には噛み跡が良く映える」 　朝陽の体は所有する証のように、鬱血痕と噛み痕だらけになっている。 「出すぞッ、朝陽」 「中……ちょうだいっ……ニギハヤヒの、もっと……中……っ、欲しい」 　朝陽の体はビクビクと戦慄き、ひたすら子種を望んで腰を揺らす。 「そのおねだりは出来るのに、孕むのは許可せんのか」 　ニギハヤヒが苦笑混じりに言った。 「や、だ。それは……っ、ひ、あ。嫌だ」 「全く……っ、儂に応えないのもお前くらいだぞ」 　抽挿が激しくなった後でまた内部で欲が弾けた。 「ああああーーー‼︎」 　体を重ね始めてから何時間経過したのかも分からない。幾度となく内部で欲を受け止めて、朝陽は意識を飛ばした。 「朝陽……」 　名を呼び、ニギハヤヒが背後から朝陽を抱きしめてその頸を撫でる。するとそこにあった紋様は、陰山桜から山桜《やまざくら》へと変化し、やがて八重山桜《やえやまざくら》へと変わった。ニギハヤヒはそれを確認してほくそ笑む。 「やはりな。朝陽お前は〝神造人《かみつくりびと》〟だったか」 　それは未だに存在すら確認されていないΩの事だった。 　神格クラスの者と契り、その相手に匹敵する力を持つ神そのものを生み出す人間の事を指している。 「まさか本当に実在していたとは……」 　話には聞いた事はあったが、こんなに気の遠くなるくらいに長く神をしていても、ついぞ出会えなかった。 　信じてもいなかったその存在が今ニギハヤヒの目の前に在る。独特な笑い声を上げてニギハヤヒが笑う。ずっと欲しかった玩具を手に入れた子どものように、胸は躍り期待に満ちた表情をしている。 「お前は本当に愉快な奴だな。気に入った。これからは存分に愛でてやろう」 　寝ている朝陽を離そうともせず、ニギハヤヒは飽きもせずに朝陽の髪をすく。暫くしてくしゃみをし始めた朝陽に服を着せようとしたが、着れる状態ではなくなっていた。 　ニギハヤヒは別室に布団を敷くとその上に朝陽を寝かせ、精液が飛び散りまくった畳や互いの身を先に清める為に移動した。 　濡らしてきたタオルで朝陽の体を綺麗に拭い、先程の場所に戻って畳までもを拭う。後処理など今まで一度も己自身でやった試しもなかったニギハヤヒは思わず苦笑した。