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第1話

朝、目が覚めると、 そこには僕を見つめる大好きな人。 その手が僕の頬に触れると、くすぐったくて、でも嬉しくて、とても満たされた気分になる。 「おはよう、由妃」 そう言って、僕の目を真っ直ぐ見つめる君。 あぁ、今日も僕の大好きな人は僕の隣にいる。 ………それだけで良かったんだ。 「おはよう、由磨」 そうやって、僕は、僕たちは、産まれてから今までずっと一緒に暮らしてきた。 どこにでもいる、ごく普通の兄弟だった。 そう、あの日までは…………… ***

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