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第2話

僕たちは2歳差の兄弟だった。 小さい頃から何をするにも兄の由磨と一緒で、僕は由磨の事が大好きだった。 両親は共働きで昼間は家に居ない事が多く、由磨が家事全般をこなし、僕の遊び相手にもなってくれていた。 不器用な僕はいつも由磨に迷惑をかけていた。 すぐに転んだり、由磨の負担を減らそうと家事を手伝おうともしたけど、余計に由磨の苦労を増やしてしまう結果に。 「由妃はそのままでいいんだよ」 と、由磨はいつも僕には甘かった。 そんな風にずっと一緒に暮らしてきた。 夜は、1人じゃ眠れない僕の為に、由磨は僕の布団で一緒に寝てくれた。 そして僕が眠るまでずっと背中をポンポンっとしてくれていたから、僕は安心して眠る事ができた。 そんな風に由磨に守られて育ってきた僕は、小学4年の時、同級生の矢島の言葉にショックを受けた。 「お前、兄貴と全然似てねぇじゃん。本当に兄弟なのか?血つながってないんじゃないの?」 ……そう、僕たちはあまり似ていない。 大きくなればなるほどそれは、顕著になった。 由磨は黒髪のキリッとした黒目で身長も高い。 なのに、僕は色素の薄い茶髪で、目も茶色を帯びた丸目で身長も低い。 僕の事を矢島のように揶揄する噂は聞こえてきたけど、由磨以外の言葉は聞こえないフリをした。 「僕の兄弟は由磨しかいない!由磨だけが僕のたった1人の血のつながった兄弟なんだ!」 そう反論する僕に、矢島は更なる追い討ちをかけてきた。 「じゃあ何で髪の色も目の色も違うんだよ!説明しろよ!」 僕は何て言い返せばいいのかわからず立ち竦んでしまった。 ………そんな時、僕の目の前に見覚えのある人が現れた。 「僕の弟を虐めないでくれる?何の根拠があってそんなくだらないデタラメ言ってるのか知らないけど、僕の弟をいじめる奴は許さない」 そう言って僕のヒーローは、そいつを容易く追い返した。 「くそっ、覚えてろよ…………」 「由妃、大丈夫?僕がそばにいるからもう安心して」 あぁ、何で由磨はこんなに優しいんだろう。 僕のピンチをいつも救ってくれる。 いつだって僕の声は、由磨にだけは届く。 由磨の事を好きだと自覚したのは、もういつだったのかわからない。気がつけば由磨は僕にとっての1番で、大好きな人だった。

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