3 / 36
第3話 #由磨side
****
僕のすべては由妃だった。
由妃は俺の2歳差の弟。
僕とは違って色素の薄い茶髪で、目も茶色い。
由妃が両親や僕と似ていない事には薄々気付いていた。
それでも仕事で忙しい両親に代わって、僕が由妃を護ってやりたかった。
この儚げな、消えてなくなりそうな、天使のような僕の弟を………
由妃は自覚が無かったが、その見た目は周りが驚くほど天使のようだった。
華奢な身体つきと、色素の薄い髪と、透けそうなほど白い肌。それに、紅く色付いた唇。
笑顔もまるで天使のように優しい。
その為か、昔から由妃にちょっかいを出す輩は多い。その度に僕が助けに入るというルーティーンができてしまった。
僕が助ける度に、
「ありがとう、由磨は僕のヒーローだ」
と、いつもそう言ってくれる。
…………でも、違うんだ。由妃。
僕はいつも由妃が欲しくて欲しくて堪らない。
変な虫がつかないよう周りに牽制をしているだけで、本当は全部自分の為なんだ。由妃が誰かのものにならないよう、僕だけのものになってくれるよう、それだけで頭がいっぱいだった。
初めは"護りたい"という気持ちだけだったが、いつしか由妃を好きになってしまった。
本当はダメなのに、兄弟なのに…………
そんな劣情を抱えたまま月日は流れ、
僕が高校を卒業する頃、両親に「話がある」と由妃を家に留守番させ3人だけで外食をした。
そこで僕は由妃の真実を知ってしまった。
由妃と僕は…………
ともだちにシェアしよう!