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第3話 #由磨side

**** 僕のすべては由妃だった。 由妃は俺の2歳差の弟。 僕とは違って色素の薄い茶髪で、目も茶色い。 由妃が両親や僕と似ていない事には薄々気付いていた。 それでも仕事で忙しい両親に代わって、僕が由妃を護ってやりたかった。 この儚げな、消えてなくなりそうな、天使のような僕の弟を……… 由妃は自覚が無かったが、その見た目は周りが驚くほど天使のようだった。 華奢な身体つきと、色素の薄い髪と、透けそうなほど白い肌。それに、紅く色付いた唇。 笑顔もまるで天使のように優しい。 その為か、昔から由妃にちょっかいを出す輩は多い。その度に僕が助けに入るというルーティーンができてしまった。 僕が助ける度に、 「ありがとう、由磨は僕のヒーローだ」 と、いつもそう言ってくれる。 …………でも、違うんだ。由妃。 僕はいつも由妃が欲しくて欲しくて堪らない。 変な虫がつかないよう周りに牽制をしているだけで、本当は全部自分の為なんだ。由妃が誰かのものにならないよう、僕だけのものになってくれるよう、それだけで頭がいっぱいだった。 初めは"護りたい"という気持ちだけだったが、いつしか由妃を好きになってしまった。 本当はダメなのに、兄弟なのに………… そんな劣情を抱えたまま月日は流れ、 僕が高校を卒業する頃、両親に「話がある」と由妃を家に留守番させ3人だけで外食をした。 そこで僕は由妃の真実を知ってしまった。 由妃と僕は…………

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