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第16話
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「……由妃は本当に後悔しない?」
優しくそう問う由磨の声に、自分の考えが見透かされた気がした。
本当は迷っている事に……
それでも………
「後悔……しないよ。
由磨になら………由磨なら。
………何されても…構わないよ………」
涙で濡れた瞳でそう告げる僕の言葉に、どれだけ説得力があるのだろうか。
まだ震え続ける身体も、全部、全部……
もう、僕だけじゃどうにも出来ないんだ………
だから、由磨………お願いだよ……
「由磨にしか……頼めないんだ………
お願い……」
僕の不甲斐なさに由磨を巻き込んでしまうのが申し訳なくて、もう由磨の顔を見る事もできなかった。
ただひたすらに、由磨のシャツを掴んで、ぽつりぽつりと、言葉を繋いだ。
由磨は今どんな顔をしているんだろう。
困った顔をしているんだろうな………
ごめんね、由磨。こんな僕で。
僕がもっとしっかりしていれば……
もっと抵抗できていれば………
僕なんか生まれなければ………
もう涙を止める術もわからないよ……
「ごめんね、由磨………ごめん………」
ふいに、由磨が僕を強く抱きしめた。
「何で謝るんだよっ……由妃は何も悪くない。
由妃は僕が護るよ、絶対に。」
由磨は僕の体を少し離して、顔を覗き込んできた。
「………由妃、してもいい?」
今まで見てきた由磨の表情と全く違う、
優しくて陽だまりのような、包み込まれるような表情に、僕の全てを赦された気がした。
「うん…………お願い、由磨……」
頬にそっと触れた由磨の手が、微かに震えていた事に、僕は気付かないフリをした……
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