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おまけ
類に爪先に口付けをされてから、一週間。僕の心は相変わらず、巴さんに向いていた。ぎっくり腰の方は何とか回復し、送り迎えの必要はなくなっていた。
「忘れ物ない?」
そう言って、毎朝、送り出してくれる巴さんに心がキュンキュンする。だから、僕の夢小説も彼色に染まり掛けていた。ホント、救いようがないと思いながら、
「うん、ないよ。行ってきます♪」
そう言って、笑顔で彼に手を振り返す。そんな僕と類は、この秋から同棲する事になった。彼の希望でもあるが、一番の理由は僕が彼と離れたくないからだと思う。
僕が巴さんにキュンキュンする程、僕はどんどん類を大好きになっていた。比例式の様に一方の数字が大きくなればなる程、もう片方の数字も膨れ上がるみたいに。現金だと思うが、事実だから仕方がない。そして、コレって、もしかして僕の閉ざされていた世界はもう救われているんだろうか?と思ってしまうくらいに、僕の心も軽かった。
とは言え、大好きな類は僕の一番じゃない。だが、ソレでも僕は彼の事が大好きで大好きで仕方がなかった。
「ねぇ、僕は誰よりも兄さんが好きだけど、大好きなのは類だけだよ」
そう叫ばずにはいられなかったくらいに。
今日も快晴で、空が高い。蒼い昊は何処までも蒼かった。キラキラしたこの世界はとても綺麗で、大好きだ。
end
「所でさ」
「ん?」
「僕らって、最後までエッチしなかったね?」
「そうだね。最後までやりました発言はあったけど、描写はなかったね」
「ソレで、思ったんだけどさ。僕のぎっくり腰って……」
「三郎の逃げだと思うよ」
「あ、やっぱり」
「でも、イイんじゃない?」
「ちょっ、類、ちゅーが一杯出来たからっていうのはなしだからね?」
「え、そう?俺はガンガンにセックスするよりも、ちゅちゅってたくさんちゅーする方が好きなんだけど?」
「……類の思考って、小学生なの?」
「うん?違うよ?何かさ、男同士のセックスって疲れるだけじゃん?前処理や後処理とかあってさ……(遠い目)」
「う"、確かにそうだけど。一応、ココは夢を持たせて置かないとだと思うんだけど?」
「ええ〰、俺は周囲に流されるのって駄目だと思うよ。もっと、自我を出さないと」
「何かソレ、語弊が出そうだからキャラにしといた方がイイと思うよ?」
「そう?じゃ、俺はセックスよりもちゅーの方が好きだぁ!!みたいな?」
「うん、そんな感じ。類がそう言うキャラだって事なら、苦情は来ないよ。……多分」
「……多分って、来るかもって事?」
「ま、……多分?」
「………」
「あ、……ゴメン、そう落ち込まないで」
「……うん、でも、サクラが謝る事ないよ。俺個人の問題だから……」
「………ええっと、その、取り敢えず、空気が重たくなったからちゅーでもしとく?」
「………何か、その取り敢えずって言うの、次いでだからみたいでやだな……」
「……え、じゃ、しない?」
「いや、するよ?俺、サクラとは一杯ちゅーしたいから♪」
「……そ、じゃ、チュッ♪」
「ん、チュッ♪」
「ね、サクラ、舌出して~♪フレンチ・キスしよ~♪」
「……んん、こう?」
「そう♪フフ、サクラの舌って、熱くって甘いよね♪」
「もう、喋ってないで、舌絡ませて」
「ハイハイ」
「……るいの、ちゅー、キモチイイ〰」
「……ちょ、サクラ、上顎舐めるの禁止〰」
「え〰、なんで?」
「〰〰〰〰」
「ああ、かんじるんだ。るい、びんかん〰」
「〰〰〰」
「……ごめん、もう、うわあごなめないからくちあけて〰〰るい〰〰〰」
チャンチャン
ハイ、お粗末さまでした。
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