38 / 38
最終話 ②
少しだけ拗ねた顔して、白瀬はバリバリと音を立てながらポテトチップスを口に放り込んだ。
「だから言ったじゃん。冬馬君と初詣に行くって」
「わかってるよー。俺も!藤野と初詣に行きたかっただけですー」
そう言いながら今度はグイッとペットボトルのジュースを勢いよく飲み込む。
白瀬の部屋に入ったのは初めてだ。
下の薬局には何回も来たが、こうやって住居と繋がっていたのかと案内されながら世南は思った。
今日は一月三日。
白瀬の家の薬局も今日まで正月休みだそうだ。
「白瀬はお兄さん見送りに行かなくて良かったのか?」
「ぜーんぜん。おれが行ったって兄貴喜ばないし。つか年末年始ずっと家に居たんだからもういいわ。相変わらず弟の扱い雑だし」
「ふーん、男兄弟ってそういうもん?」
「そういうもんだよ。それより!俺も初詣行きたかった!」
「あ、またその話に戻るんだ?」
元旦の初詣の話を先ほどしてから白瀬はずっとこの調子だ。
「でも白瀬だって初詣家族で行ったんだろ?それに明日も友達と行くって言ってたじゃん」
世南も白瀬が出してくれたお菓子をちょびちょびとつまみながら言う。
「そうだけど!でも藤野と行ってみたかったんだよ!」
「えぇ・・じゃぁ、今から行く?」
「えっ・・うーん・・」
白瀬は唸りながら腕を組む。迷っている様子だ。
「いや・・今日はいい。だってせっかく藤野と二人でゆっくり出来るんだし。家に誰もいないことなんてうちじゃなかなかないからな。そう言う意味では兄貴に感謝」
そう言うと白瀬はゆっくりと世南の方に視線を向けた。
しかしすぐに恥ずかしそうに顔を背ける。
「・・ちょっと待って・・なんか、どうすればいいかわかんない・・」
「わかんないって何が?」
「いや、ほら・・一度俺失敗してるし・・」
「・・あぁ・・」
世南はあのテントの日のことを思い出した。
あれは白瀬の中では失敗したことになっているらしい。
頬を少し赤らめている白瀬を世南はジッと見つめる。
白瀬でも戸惑うことがあるのだなと意外なものを見させられた気分だ。
「・・今までは、どんな風にしてたの?その、恋人と・・」
世南がそう言うと、白瀬はバツが悪そうな顔で頭を掻いた。
「・・ちょっと待って・・そういうこと藤野にはあんまり言いたくない」
「でも・・わかんないって言うから」
「だから!それは藤野だからどうすればいいかわかんないんだってば!」
白瀬は顔を赤くしながら世南の肩を掴んだ。
「俺は、藤野が竹ノ内とどうしてたかなんて聞かないからな」
「別に、言わないよ・・」
世南はじっと見つめてくる白瀬の視線から逃れるように横に目をやる。
「俺は、白瀬が他の誰かと付き合ってる状態が当たり前だったから。気にしてたらキリがないってこと」
それを言われて白瀬はますますバツが悪そうに口を曲げた。
「・・だからその・・昔の俺のしてきたことは、忘れて欲しいって言うか・・」
「・・なんで?」
「なんでって・・!」
世南の肩に置かれた白瀬の掌に力が入る。
世南はその上に自身の手をそっと重ねて言った。
「俺は・・今の白瀬と一緒にいるって決めたから。だから、今までしてきた事も全部そのまま受け入れるよ」
「・・・」
「そうしないと、昔の自分に示しがつかない気もするし。もう俺は白瀬から逃げない」
そう言うと世南はふっと笑ってみせた。
周りを惹きつける魅力があること。それに甘んじた行動を時々してしまうこと。
白瀬がどんな人間なのか。それを分かった上で一緒にいると決めた。
今度は迷わない。逃げない。
何かあったら正直な自分の気持ちをぶつけていく。
それをしてもいいのだと、彼自身が教えてくれたのだから。
世南が笑った顔を見せると、白瀬はコホンと小さく咳払いをした。
それからもう一度じっと正面の世南を見据える。
ーー白瀬の影が落ちてきた。
そう思った時には唇に暖かな温度を感じて、世南は思わず唇を固く結んだ。
「・・ごめん」
そっと唇を離すと白瀬が小さな声で謝る。
世南はハッとして白瀬を見つめた。
「あっ・・別に嫌なわけじゃない・・」
「え・・」
「その、驚いただけだから・・大丈夫だから」
そう言うと世南はスッと瞳を閉じる。
そして今度は自分から白瀬の唇を優しくなぞるように口付けた。
「藤野・・」
「え・・わっ・・」
白瀬に名前を呼ばれたと同時に力強く肩を引き寄せられる。
先ほど触れただけの唇が激しく重なるようにぶつかり合った。
「ぅん・・ふっ・・」
重なった唇の隙間から微かに息を吐く。
押されるようにして白瀬の体が近づいてきて、世南はそのままの勢いでころんと床に寝転がった。
指を絡ませるようにしてキツく掌を握られる。
身動きが取れないまま、白瀬の口づけは激しさを増していき世南はキュッと目を瞑った。
スルリと白瀬の舌が口の中に入ってくる。
「・・っうぅ・・」
口内を弄ばれるように舐めまわされ、世南はその艶かしい動きについていくのがやっとだ。
初めて白瀬とキスをした時とは全然違う。
あの時は幼いながらの知識で大人の真似事をしているようだった。
けれど今は、どこが気持ちいいのか。どこが感じるのか。それをわかっているような動きだ。
口の上を舌先でチラリとなぞられ、世南の背中がゾクゾクと震えた。
「・・はっ・・あぁ・・しら・・せ」
世南が掠れた声で白瀬の名前を呼ぶとパッと唇が離れる。
それからハァと息を吐いて白瀬が世南に馬乗りになった状態で髪を掻き上げた。
「・・ごめん。止まらなくなった・・藤野と、キスしてるんだって思ったら・・」
「・・・」
世南は顔を赤くして白瀬を見上げる。それからボソッと言った。
「なんか、白瀬本当に手慣れてる・・」
「えっ?!」
白瀬は少しのけぞって目を見開いた。
「俺の知ってる白瀬は・・あの、テントの時で止まってるから・・あの頃とはやっぱり違うんだなって・・」
世南はそう言うとフイッと横を向く。
「経験人数が違うんだから、当たり前か・・」
つい先ほど、今までのことも受け入れると言ったばかりなのに。
いざその経験で得たものを実感してしまったら、小さな嫉妬心が芽生えた。
あの頃は、まだ俺しか知らなかったはずなのに・・
世南が黙ったまま横を向いていると、顔を掌で包まれグイッと正面に向き直させられる。
見下ろす白瀬と瞳が重なった。
それから白瀬は世南の手を取ると自分の胸に当てて言った。
「あのさ・・俺の心臓ヤバくない?こんな風になってるの初めてだから・・」
確かに白瀬の胸はドクンドクンと波打っている。
「俺、今までこういうことって・・楽しむものだって思ってた。でも、今はすごい緊張してる。藤野を抱きたい。けど、失敗したり嫌がられたらどうしようって思ってもいる」
「・・・」
「俺が言うの最低だけど、今までの経験は藤野の前ではなかったものにして欲しい・・多分、本当に上手くできないから」
そう言う白瀬の掌がかすかに震えていることに気がつき、世南は目元を緩めて笑った。
「・・わかった」
ギシッと白瀬のベッドが音を立てる。
二人で寝るにはやや狭い。聞いたら小学生の頃から使っているそうだ。
そのベッドに仰向けになり、上に乗る白瀬の顔を見つめた。
白瀬が恥ずかしそうに一瞬顔を横に向ける。
しかしすぐに世南の横に顔を置くと、耳元から優しく唇を這わせ出した。
「ぅわ・・」
耳にかかる息がくすぐったく世南の肩がブルリと揺れる。
「・・藤野・・」
白瀬の声が直接鼓膜に響いたかと思うと、次の瞬間には唇を覆うようにキスされていた。
「・・ふっ・・ぅ・・」
ぬるりとした感覚が口の中を埋め尽くす。世南もそれに応えるように自身の舌を絡ませた。
「はぁ・・ぅっ」
「・・・ぅん・・・あっ・・」
口内の熱さに夢中になっていると、突然冷たい感覚がお腹の上を伝い世南は思わず声を上げた。
いつの間にか世南の服の中に潜り込んだ白瀬の手が、優しく撫でるように世南の体を触っていく。
「・・ぅ、ぅん・・ふっ・・」
白瀬の指が胸の突起の部分に触れた瞬間、身体がビクッと震え世南は思わず白瀬の腕を強く掴んだ。
「あっ・・や・・待って・・」
「・・だめ・・待たない」
白瀬はそう言うと、今まで世南の唇を弄んでいた舌を赤く突き出た胸へと移動させる。
チュッチュッという音に合わせてそこを吸われると、先ほどよりもゾクリと肩が震えて世南は身悶えた。
「ふっ・・んぅ、あぁ・・ゃっ・・」
ゾクゾクとする快感に合わせて下半身が熱を持ってきているのを感じる。
世南がモジモジと太腿を擦り合わせていると、それに気がついた白瀬によってガバリと両足を開かれてしまった。
「あ・・・」
「・・勃ってる・・」
白瀬はそう言ってゴクリと唾を飲む。
「ちょっと・・本当に待って・・恥ずかしい・・」
世南が両腕で顔を隠すと、白瀬はそっと耳元で囁いた。
「俺も同じだから・・」
白瀬はそう言うと、自身の固くなったそれを世南のものに擦り合わせる。
まだ下着もパンツも履いた状態なのに、お互いのそれが擦れ合い膨らんでいくのがわかった。
世南はますます恥ずかしくなり足を閉じようとする。
しかし白瀬はそれを阻止すると、そのまま下着ごと脱がし世南の下半身が全て露わになった。
ピンと世南のものが赤色に染まって勃っている。
すると白瀬は迷う様子もなくそれを咥え、ぬるぬると舌を這わせて優しく吸い上げた。
「っ!やだ!まっ・・て、白瀬。あっぁ・・」
突然の快感と羞恥に世南は思わず大きな声をだす。
直接そこを舐められるのは初めての経験だ。
頭が沸騰しそうなくらい熱い。
「はっぁ!・・ゃ・・あっん・・ぁぁ・・」
ただそこに与えられる快感のことしか考えられず、世南は白瀬にされるがまま喘声をあげた。
だめだ・・我慢できない・・
そう思った時には遅く、世南は体を震わせると白瀬の口の中に自身の熱を勢いよく放ってしまった。
白瀬は一瞬グッと喉を抑えるような仕草をしたが、すぐに平気な顔をするとゆっくり口を離して言った。
「はは、藤野気持ちよかった?」
「・・・・」
恥ずかしさと熱を放ったことからくる放心状態で世南は言葉が出ない。
しかしそれもほんの数秒のことですぐに我に帰ると、世南は慌てて起きあがろうとした。
「白瀬、ごめん・・」
白瀬の顔を見ると、たらりと白い液体が口の端についている。
世南は白瀬の口から垂れる自身の精液を拭おうと手を伸ばした。
しかしその手首は掴まれ、再びベッドに押し戻される。
「え・・・」
世南が驚いていると、今度は白瀬の指が世南の後孔へと伸びてきた。
「っあ・・!」
そこをどうするのか、世南もわかっている。
それでも綺麗とは言い難い箇所を触られることに抵抗を感じ、世南は体をくねらせて白瀬から逃げようとした。けれど先ほど果てたばかりの身体は思うように力が入らない。
世南がヘタリとうつ伏せに近い体勢でベッドに横たわると、白瀬が耳元でそっと囁いた。
「・・藤野、大丈夫。ゆっくりやるから・・」
その声色は今まで聞いたことがないくらい優しくて柔らかい。
そんな声も出せるのかと、世南はギュッとシーツを掴む。
今まで何人にそうやって囁いてきたのだろう。
考えたくないのに・・こうやって手慣れた先導を見せられるとつい思ってしまう。
「・・別に、ゆっくりじゃなくてもいい」
世南は思わずボソリと言った。
「・・え」
「俺、大丈夫だから。そんな、丁寧にしなくても・・」
そこまで言ったところで、グイッと肩を掴まれ世南は真上を向かされる。
すると眉間に皺を寄せた白瀬と目が合った。
「・・え、どうしたの?白瀬・・」
「・・・聞きたくないし・・聞かないようにしてたけど・・」
「・・?」
「・・藤野、したことあるの?」
「したことって・・?」
「だから・・その・・セックス・・」
白瀬はゴニョゴニョと言いながら口を尖らせる。
世南は思ってもみなかったことを聞かれて、目を丸くして答えた。
「えっ・・なんで・・」
「だって・・丁寧にしなくても大丈夫って・・」
「・・あぁ」
先ほど咄嗟に出た強がりの言葉が気になったようだ。
こちらが白瀬の性体験の多さに嫉妬して言った言葉だったのに、まさか同じように受け取られるとは・・
「違うよ。その・・最後まではしたことなくて・・その、なんて言うか・・」
世南は言葉が詰まったが、一回コホンと咳払いするとジッと白瀬の目を見て言った。
「白瀬が今までこういうことしてきた人達に・・・負けたくないって思ったから。同じようにしなくていいって言いたかっただけ・・」
そこまで言うと、ぼっと顔が熱くなるのを感じた。
何を恥ずかしいことを言っているのだろう。
こんなこと、比べることではないのに。
しかし白瀬はそんな世南の言葉と表情に安堵したのか、眉尻を下げて言った。
「なんだ。よかった・・俺、本当はすごい気になってた。付き合ってたんだからそういうことしてたって当たり前だけど。でも考えるだけで嫌だった。藤野の身体を、俺以外のやつが触ってるの」
「・・それ、そのまま白瀬に返す言葉だけど・・」
世南がボソッと言うと、白瀬はギクリとした顔で胸に手をやる。
「本当にごめん・・・」
「別に、謝って欲しい訳じゃない。でも・・これからは、誠実でいて欲しい」
「・・ああ。約束する。もう俺には藤野だけだから」
「・・うん」
世南は両手を広げて白瀬の広い背中を抱きしめる。
この人の持ってる魅力はきっとこの先も変わらない。
明るいその笑顔でその性格で、これからもたくさんの人を惹きつけるだろう。きっと彼の周りには多くの人が集まってくる。
それでも、その中で自分を選んでくれた。
それを信じるだけだ。少なくとも今は・・
「っぅぅ・・あっ・・」
クチュクチュと濡れた音がどんどんと大きくなっていく。それに伴って白瀬の指の動きも激しくなる。
「あっ・・やだ、ふっ・・あぁ」
上半身のシャツは捲られ、プクリと浮き上がっている乳首を白瀬の舌が弄ぶ。後孔も一緒に責められ世南は頭がグラグラに茹っているような気分でただ喘声を漏らすことしかできない。
何も考えられず、ただ初めての感覚と快感に身を委ねているだけだ。
そうしているうちに、白瀬の指がスッと抜けていくのを感じた。
世南がぼやけた瞳で自分に馬乗りになっている白瀬に目をやると、カチャカチャと音がしている。
なんの音だろう・・
そんなことをぼんやりと考えていると、熱を持ったものが先程まで白瀬の指があった場所にあてがわれるのを感じた。
「・・あっ・・」
入ってくる・・
そう思った時には、ズズっと先端がすでに世南の中に押し込まれていた。
「ぅうっ・・・」
想像以上の熱量と圧迫感に思わず歯を食いしばる。
「・・はぁ、あっ・・ふじの・・」
上を見上げると顔を真っ赤にした濡れた瞳の白瀬と目があった。
「・・しらせ・・」
世南が白瀬の名前を呼ぶと同時に、ズンと彼のものが奥まで挿入されたのがわかった。
「あぁっ・・!!」
世南は思わず背中を剃らせて声を上げる。
痛みと熱さが身体を駆け抜けていく。
これがセックス?
白瀬とちゃんと繋がっている?
混乱する頭で今の状況を考えようとしたが、ズズっと白瀬のものが動き出すとそんなことを考える余裕はなくなってしまった。
最初はゆっくりとした動きだったのに、次第にそれは強さと速さを増していき、世南は激しく揺さぶられる。
「あっ!やっ・・あぁっ・・!あん・・あっ」
恥ずかしがる余裕もなくされるがままの勢いに合わせて世南は甘い声を漏らす。
「はぁ・・ふじの・・ふじの・・ぁあ。好き。ふじの・・好き・・」
白瀬は世南の太腿を両の腕で抱えるように掴み、自身のものを夢中で打ち付けながら囁くように言った。
「・・ふっ・・あっ、ふじの。大好きだから・・ずっと俺と・・一緒に・・」
「・・あっ・・しらせ・・あっ!」
熱いものがドクドクと世南の中に注ぎ込まれる。
お腹の中が白瀬のもので満たされていくようだ。
白瀬はぎゅっと目を瞑って射精が終えるのを待つと、ゆっくり自身のものを世南の中から引き抜いた。
そしてパタリと世南の上に倒れ込む。
それからおもむろに「あーー!」と大きな声を出した。
「えっ・・な、なに?」
世南もまだ肩で息をしながら、白瀬の顔を覗き込んだ。
「あーー。くそー!もう少し保たせるつもりだったのにっ!藤野の中が気持ち良すぎて、こんなに早くいっちゃうなんて思わなかった!」
白瀬は悔しそうにそう言うと、両の足をバタつかせる。
その様子を見て世南は一瞬目を丸くさせたが、すぐにふっと笑って言った。
「大丈夫だよ、白瀬。これから機会はまたあるって。そうでしょ?」
「・・・ぅん・・」
白瀬はまだ少し不服そうな顔で頷く。
そんな白瀬をジッと見つめると世南は小さな声で言った。
「白瀬、好きだよ」
「え・・・」
白瀬が驚いたような顔で世南を見つめ返す。
「なんか、改めて言うと不思議な感じだね」
世南は恥ずかしそうに笑った。
「ずっと、思ってたはずなのに。白瀬の存在を遠くに感じれば感じるほど、好きって気持ちも霞んでいくような気がした」
「・・・」
「でも今は、ハッキリと見えるよ。大丈夫」
「・・藤野」
「わっ!苦しいって、白瀬」
白瀬は寝転がった状態で上から世南を力強く抱きしめた。
「俺は、ずっと見てた。遠くに感じても、霞んでも見えても、藤野の姿を探してた。だから、今こうやって捕まえられて嬉しい・・」
「白瀬・・・」
目頭が熱くなる。
気がつけばポロポロと涙が溢れていた。
自分を見つけてくれる。抱きしめて捕まえていてくれる。
それがどれほど嬉しくて安心できることか。
この人が欲しい。どうか、お願いします・・
世南は初めての我儘な思いを、そっと心の中で唱える。
今までだったらこんなこと思ってはいけないと、すぐに頭の中から打ち消していただろう。
けれど・・思っていいのだと、望んでいいのだと彼が言ってくれた。
だからこれからは、向こう側から眺めているのはやめよう。
何かあれば隣に行って、手を伸ばしてみる。
握り返してくれることを信じて。
それが、遠回りをしてきた俺達が一緒に歩む第一歩だ。
ともだちにシェアしよう!