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第15話 センリの思惑2 神田センリside

<正直、あの婚約者と会う度にウンザリしていた、オレが結婚に何の夢も持てないのは、何度会っても一緒について来る母親が邪魔で、あの婚約者と意志の疎通が出来ないからだ… 婚約者が何を考えているのか理解できず、まったく興味が持てない>  どう考えても、あの婚約者と結婚すれば、速攻で離婚するだろう。  失敗が見えていて、結婚しろと言われても嫌に決まっている。 <オレと上手くやれるのはヒロキしかいない… 婚約者がヒロキだったら? 迷わず結婚する! 24時間顔を見ていても足りないぐらいだ!! …って言うか、今すぐ結婚してヒロキを確実にモノにしたい!>  下手に親を通すと、親の責任問題になるから…  勝手にセンリが話を進めた方が、センリ自身の不徳が致すところだと、相手も(ほこ)を出さずに収めるかも知れない?と、神田家からの絶縁覚悟で婚約者の家に単独でセンリは乗り込んだ。  相手は意外なほどスンナリと(ホッ… とした様子で)、二つ返事で婚約解消を了承した。 事業の方も今まで通りだと確約してもらった。 <当然だけど、ココまで順調に利益を出している共同事業を止めたら、お互い損するダケだし> 『何だよ、もっと早くヤレば良かった!』  グダグダ今まで悩んでいたのがバカみたいだと、思わずセンリが後悔したぐらいだ。  一応、筋は通そうとそのコトを実家に帰り父親に報告すると、拳骨で思いっきり殴られて絶縁された。  就職先を兄たちと同じように、神田家が経営する企業ではなく母方の親戚筋、相模家の系列にして良かった。  その翌朝、会社でヒロキの顔を見たとたん…  センリはなんとなく感極まり、発情期の獣と化しトイレに愛する恋人を連れ込み… 『センリ… 早く… センリの入れて…っ!』 『欲しい? ヒロキ、オレが欲しい?』 『欲しい! んんっ… センリが欲しい!』 『全部欲しい?』  後で狡い奴だとヒロキに責められても構わない、きっとヒロキなら謝れば許してくれると…  アルファに極端に弱いオメガの弱点を突き、抑制剤無しでアルファのフェロモン全開にしてヒロキを抱いた。 『んんっ…! 全部! 全部入れて欲しい…っ!』 『ふふっ… ヒロキも全部、オレにくれる?』 『…あげるっ… あっ… んっ… 全部あげる!センリにあげる!』  誰にも奪われないよう、自分の痕をシッカリと、ヒロキの(うなじ)に残した。  ココまでは、センリの思惑通りだった。  ヒロキは失神し、慌てたセンリは次兄のオフィスがスグ近くにあるのを思い出し、末っ子の特権をまだ使えるかどうか分からないが、試しに連絡して事情を話すと…  血相を変えて次兄は駆け付け、ソレどころかセンリの職場のトップ、超カリスマ・ビジネスマンの相模氏まで巻き込んでトイレに連れて来た。  オメガの治療に定評のある病院を、相模氏に紹介され(手配までしてくれた)、そのうえ自身が運転する車でヒロキを運んでもらった。  病院に着いてからセンリは… 『セックスも中出しも、家でヤルのが一番だと学んだよ』  そう次兄にこぼすと、相模氏の目の前で思いっきり拳で3発殴られ、センリは鼻血を出した。  次兄から話を聞き、病院に駆け付けた長兄には2発殴られ、その後到着した父にも一発もらう。  ボコボコに殴られたセンリから事情を包み隠さず聞くと、会社のトップである相模氏は… 『まだ、若いからな… 気持ちは分かるよ』 と、なぜかセンリを気に入った様子で、肩をたたいて機嫌良く会社に戻って行った。  そして三日間、ヒロキが昏睡状態に入り…  愛する恋人を失うかも知れないという恐怖をヒシヒシと感じ、センリは自分の愚かさに死ぬほど後悔した。

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