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第24話 妻が好き過ぎて泣きたい2 センリside

 新婚ホヤホヤで、まだまだ2人は蜜月中のハズなのに… すでに暗雲が立ち込め始め、このままヒロキとの気持ちのズレを放置すれば、間違いなくセンリは捨てられると危機感を持った。 <どうすれば良いんだ? 何をどうすればオレが切り裂いたヒロキの傷を、癒すコトが出来るんだ?!> 「ヒロキ、どうすれば良いと思う?」  情けなくておバカな質問だと思いつつ、センリは本人にたずねた。 「どうもしなくて良いよ、センリはセンリだもの… 僕の考えを押し付ける気は無いしね… だってセンリは、型にハメられたり強制されるの嫌だろう? それで僕が嫌われる事にでもなったら、本末転倒(ほんまつてんとう)だしさぁ…」  諦めが籠った、ため息をついてヒロキは微笑んだ。 「ヒロキ・・・」 <イヤ、ガッツリ言って欲しいよヒロキ!! …でも、優しいヒロキはいつもこうやって、オレを立てて自分の気持ちを押し殺して来たのか?>  だが… 実際、情緒的に繊細とはとても言い難いセンリには、まったく見当がつかない。 <年上の奥さん、エロくて優しくて最高―――ッ…!! とか、気楽に言っていた自分を、過去に(さかのぼ)ってケツを思いっきりケリ飛ばしてやりたい、チクショ―――ッ!!>  とりあえず、分かるコトから一個づつと、センリはヒロキのために始めることが大切だと…  少し前にヒロキに貰った、ヒントを手掛かりにするコトにした。  『僕が君だけのオメガになった夜を、欲望に流されるまま抱いて欲しくないよ?』 <つまり… 欲望ダケで抱くなという意味だよな? ええっと… 欲望よりも、愛情メインで抱くコトを心がけて?>  ふと、もう一つヒロキに貰ったヒントも浮かんだ。   『僕はね、出張先で初めてセンリに抱かれた時… センリをあんなに怒らせたのに… スゴク気遣って抱いてくれて、優しかったから、センリに愛される人は幸せだろうなと、いつも思っていたよ?』 <そうだった! 初めてヒロキを抱いた時… オレは腹が立っていて勢いで始めたけど、男の抱き方なんて、アルファ用の性教育のDVDを中学時代に見たっきりで、分からなくて… 途中で壊してしまいそうだと怖くなったから…>  セックスは自分と一緒に相手も気持ち良ければ、センリは何だって良いと思っていたけれど…  繊細なヒロキの場合は、気持ちが良いダケではなくて、もっと特別なセックスがしたいのだ。 「だったら、最初は…」  背後から抱きしめたまま、腕の中のヒロキを自分の膝に乗せて…  綺麗な(うなじ)に一度キスをしてから、ゆっくりと甘噛みをした。 「あっ… センリ…」  甘い声で夫の名を呼び、ヒロキは逞しい腕の中で背中を反らした。 「愛してるよヒロキ… ヒロキはオレの初恋なんだ」  項への甘噛みを止めて、センリはヒロキの耳元で告白した。 「ウソつき…!」  間髪入れずにヒロキから、否定する言葉が返って来た。 「本当だよ! オレ… 誰かに愛してるなんて一度も言ったコト無いし」  言い終わるともう一度、センリは項を甘噛みした。 「ああっ… んん… ウソだ…」  今度のヒロキの言葉は、少し弱気な感じだ。 「本当だって… 別に嫌なら信じなくても良いけどさぁ…」  ヒロキに信じてもらえなくて、センリは拗ねた。 「ウソだろう?」  ヒロキの否定が疑問に変わった。 「本当だよ… 結婚したいと思ったのヒロキだけだよ」  項を噛むのを止めて、ヒロキの平らなお腹をセンリは円を描くように撫でた。   「本当に?」 「本気で愛した人がいたら、アルファのオレは絶対に執着したと思うけど?」  お腹からヒロキの華奢なペニスには触れずに、しっとりと濡れた太ももへ移り、足の付け根にかけてゆっくりと撫で上げる。 「ああ! そうか…」  太ももを撫でるセンリの手をつかみながら…  ヒロキはようやく信じてくれたらしい。 「信じた?」 「・・・うん」 「良かった!」  項を噛む前に、淫密(いんみつ)があふれたヒロキの蜜壺(みつつぼ)を指先で撫でながら… 「愛してるよヒロキ…」 「僕も… センリ、愛してる! あっんんっ…!」 「ヒロキ!! 可愛い…っ! 今日はいっぱい愛すからね!」  いつもならば、下品でヤラシイ言葉を使い、淫らにヒロキを追い詰めるが…  今夜は特別な夜だから、センリは心機一転(しんきいってん)、愛ある言葉で攻めるコトにしたのだ。

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