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第1話 初恋の人

確かこんな感じだったよなあ 俺川辺誠の初恋の相手は春木薫 同級生だった  高校三年の秋。一年から委員会が一緒で帰り道も同じ方向。 可愛いくて、人の懐っこい笑顔と性格の春木薫は、俺より少し背が低く 華奢だった。 兎に角周りは可愛い可愛いって 男女問わず騒がれていた。 自分の嗜好がどうこうなんで判らなったが、俺もご多分に漏れず気になって気になって仕方なかった。これが同性に持ったは初めての恋心だった。  何となくお互いそうかな? って思う事はあったにはあったが、なかなか確信が持てなくて仲の良い友達として振る舞うしかなかった。  然し 学年一美人の女子が薫に告ると聞き、チャンスは平等だと奮い立ち 秋……文化祭前に屋上で告白したんだ。 「二年間想っていたんだ。 薫! 好きだ。付き合ってくれるか」 薫は固まったまま、俺の顔を見つめている。 「なに? ったくびっくりするだろう。 もう遅いくらいだよ誠! でも何故今なの?」 薫は俺の手を握り俺の返事を待っている。 「それは……今日しかないって思ったんだよ 一年前でも昨日でも明日でもないって思ったんだ」 意味不明なのは判っているが、まさか女子が告ると聞いて、焦って告ったなんて格好悪すぎるだろう。 薫は、唇を尖らせて 「待ちくたびれたよ。僕はずっと好きだったのにさ。なのに誠がその気にならないんだもん。僕が告くろうとすると、あれ? やっぱり勘違いかなって思わされて」 「嘘! そんなことなかっ……えっ! じゃあ俺たちたった今から恋人同士?」 「うん! 誠がキスしてくれたらだけどね」 その顔やめて!可愛く笑うのやめて! キュン死するからさ! 俺は薫を躊躇いがちに抱き締めて触れるだけのキスをした。 薫は真っ赤になって 「誠嬉しい……夢じゃないか確かめたい からもう一回」 なんて言うから俺も調子乗った。 今度はしっかり薫を抱き寄せ、少しだけ開いた唇に舌を入れると、そっと俺の舌を受け入れてくれた。 その瞬間俺の理性はぶっ飛んだ。 俺は激しく唇貪る。 やっとやっと通じあった想いを、心ゆくまで確かめあいたかったんだ。

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