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第11話
莉羽は食べた後にちゃんとご馳走様をして食器をシンクまで持って行ってくれる。
できた推しだ!ぜひ莉羽のファンの子達に伝えたい!伝えたすぎる!
「洗い物は僕がするからレッスンの時間までゆっくりしときなよ」
「あ、そりゃどうも」
アイドルの莉羽は優しさで溢れているのにプライベートの莉羽はクールでそのギャップがさらに魅力的。
あ、そういえば莉羽はなんで僕の家に居候しているのか聞かなくちゃ。
正直、理由なんて何でもいいけど単純に気になる。
「ねえ莉羽くん」
「んー」
「なんで僕の家にずっといるの?」
「なに?迷惑?」
「いや寧ろ一生いてくれても構わないんだけど単純に気になったから」
「んー、居心地いいから」
は……?え、居心地いいって言ったよね?
なになになになにムリムリ可愛い、死ぬ。
え、もう死ぬまで一生ここにいて?
「なにそれ……キュン死……」
「は?お前みたいなキモオタ中々いねーよ」
寧ろ莉羽の目に焼き付いていいじゃないか!
そっか、そっか。居心地がよくているんだ。
うんうん、はあ……僕は幸せだ。生きててよかった!
「てかお前ずっと思ってたんだけどなんで一人暮らししてんの?家賃とかどうしてんの」
「んー別に一人暮らしたくてしてるわけじゃないけどウチ転勤族なんだよね。だから高校とかでせっかくできた友達と別れるのは寂しいじゃん?だから母さん達が毎月のお金を仕送りしてくれてる」
「ふーん、大変だな」
だから昔から友達がいなかったのかもしれない。
せっかくできても僕すぐいなくなっちゃうし。
そんなことより……莉羽が僕の話を聞いてくるなんて嬉しすぎて鼻血出そうなんですけど!?
「はあ……好き」
「は?」
「え?」
わあ!何言っちゃってるんだ……!僕は……
ごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい。
「好きってどういう意味で?」
「どういう意味ってそりゃファンとして?怒った?怒ったよね?僕みたいなキモオタに言われて怒ったよね?ごめん、ほんとごめん」
女子のファンに言われるならまだしも……
男の僕に好きなんて言われちゃ嫌だよな。
どうしよう、本当に怒らせちゃったらどうしよう。
「なんで怒んの?」
「え?」
「べつに怒る必要ないだろ。お前熱狂的なファンなだけじゃん」
「え?あ、え?う、ん……ありがと?」
よかった。怒らせてなかった。
お前とはもう二度と住まない!とか言われたらどうしようかと思ったよ。
でもやっぱり莉羽のプライベートの顔を見て思ったことがある。
なんだかんだ莉羽は優しい。冷たい言葉に聞こえるけどその中には優しさがいっぱい詰め込まれてる。
やっぱり僕は一生、莉羽のファンでいたい。
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