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第12話
爽良からもらったチケットをずっと眺めていた。
いよいよ明後日がライブの日。
これが二枚あれば強制的に凛太郎を連れて行くのに……
「喜んでたけどいざライブの日が近付くと緊張するなあ……」
「なんで?目の前でお前の大好きな莉羽くん拝めんじゃん」
「あのな!A席は特別な人しか取れないチケットなの!ほとんどテレビ関係の人ばっかだよ……」
「それが?」
もう!凛太郎は本当に何もわかってないんだから!
そもそもA席に一般人の僕がいたら何者だ!?ってことになるじゃんか。
目の前でアイドルの莉羽を拝めるのは嬉しいけど緊張しかしない……
「うう……凛太郎も連れて行きたかった……」
「やだね。俺は人が多いとこ嫌いなの」
「握手会は来たくせに」
「あれはお前が無理矢理だろ!?」
まあそうだけどさ?まあそもそもLieNのチケットすら今は中々当たらないんだよ。
今となっちゃテレビで見ない日なんてないし、チケット取れることですら奇跡なのにA席って……本当にLieNのファンの子達に殺されそう……
「まあ堂々としてりゃいんだよ。そのチケットくれたのLieNのメンバーなんだろ?じゃあいいじゃん。アイドルが直接くれたんだし」
「うん……頑張るよ……」
まあ凛太郎が行ってくれない代わりに今日もライブのグッズ集めでも手伝ってもらおうかな。
チケットくれたのは爽良だし、莉羽だけじゃなくて爽良の団扇とかも作った方がいいかな?いやでもそれってなんか浮気してるみたいじゃない?
でもチケットくれたのは……あああ!!わかんない!!!もうわかんない!
「どうしたらいいと思う?」
「お前急に言ってくんのやめてくれね?」
「だから!爽良の団扇も作るべきかって聞いてんの!」
「いや今初めて言われたんだって。んーまあ作れば?一応、感謝を込めて的な?」
「よし、今から集めに行くよ!」
「またかよ……」
まあそうだよね。チケットくれた日にありがとうすら言えてなかったし……お礼として爽良の団扇も作って応援しよう。まあペンライトは莉羽のメンバーカラーしか持って行かないけどね。
さすがにペンライトまで持って行っちゃうと莉羽に失礼だし。
「はあ……なんで一般市民が食べるような牛丼屋に爽良がいるんだよー!!!」
「お前それ牛丼屋に失礼だぞ」
「だって……」
「けどその爽良って奴がチケットくれなかったらライブにすら行けてねえだろ。感謝しろ」
「うう……ごもっともです」
莉羽に話してないし明後日はサングラスと帽子被っていこう。
えへへ、莉羽ビックリするかな。
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