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第24話 アリ? ナシ? ①

「なあなあ真島、オレってアリ?ナシ?」 昼休みになっても佐藤は朝の話を忘れていなかった。 メシも食い終わって次の授業までのまったりタイム。 弁当をたいらげ、デザートのミルクフランスを食べながらイチゴ牛乳をキメようとするオレのまわりを佐藤はチョロチョロする。 「少しだけ食わせろ」という佐藤に「これだけはやれん」と断ったからだろう。 佐藤の少しは少しじゃすまねえからな。ほぼ全部だからな。 ミルクフランス我いのちなり~。 「うっせえなあ。知らねえって」 「ひどいわ。考えてくれたっていいじゃない。少しくれたっていいじゃない。あたしはあなたにとってなんなのよ」 佐藤のウザがらみには慣れっこのオレたちもノってやらない時は誰もノってやらない。 「中田、次オレ、ジャンプ」 「おう」 こないだからスマホでなんか検索ばっかしてる灰谷に先を越されてしまった。 「次はオレね」 「おう」 佐藤には負けじとオレは次を予約する。 「オマエら、中田の次はオレだろうが。ってまあ今日はいいや。なあなあ真島~」と佐藤はオレの腕をつかんで揺すってきた。 「ナシ。ナシ寄りのナシ」 これ以上絡まれたくないオレはキッパリと答えた。 「なんでだよう~。ってアレ?悲しむとこかココ?」 「オマエ、エロまっしぐらで束縛キツそう。イタイイタイ言いそうだし」とかテキトーにかましてみる。 「目に浮かぶわ~」とジャンプから目を離さずに中田がつぶやく。 「え?オレ、オマエに掘られる前提なの? つうか真島ってそっち?」 「そっち?」 「攻めって言うんだろ?」 「そうなの?」 「だよな中田」 「それ、BL用語だろ。ネコとかタチっていうんじゃねえの?知らねえけど」 猫? 舘? 「へえ~そうなんだ」 「おいおい真島君、カムアウトした君が知らないって事ないだろう」 とぼけるなとばかりに佐藤が詰め寄ってきた。 「いや、オレはたまたま好きなやつが男だったってだけで。元々そいつ以外別に好きじゃねえもん。用語とか、知らない」 オレはミルクフランスをガブリとかじる。 あふれ出るミルククリームが少し弾力のあるフランスパンと絡まってウマさのハーモニ-。 ウマシ!!! ミルククリームって作れねえのかなあ。 ……って佐藤が静かだな? ん? 気がつけばなんか空気がおかしい? 佐藤と中田が目と目で言葉にならない会話を交わし、灰谷はスマホを持ったまま軽くフリーズしている……ように見えた。 え?何?オレなんかヘンなこと言った? 「真島っ!」と佐藤がいきなり背中からギュッと抱きついてきた。 「やめろ、佐藤。どうしたご乱心か」 「なんてカワイイやつっ」と腕にぎゅうぎゅう力を入れるから苦しい。 「やめろやめろ」 佐藤の頬を離れろとばかりに手でぐいぐいと押した。 「イタイイタイ。いや、BLだとこういう展開になるんだって」 「いいから離れろ。キモい」 「もう~キモいとか人に言っちゃダメでしょうが~」 「オマエはっ。腐女子か?腐男子か?」 これぐらいのワードはオレでも知っている。 言いながら佐藤の頬をつねり上げる。 「イタイイタイイタイ……だあっ。ちげえよ。高校生男子だよ」 佐藤のほっぺが赤くなっている。やりすぎたようだ。 「んもうマコにゃんたらヒドイヒドイヒドイッ」 「マコ言うな。オマエ、ガンガン掘り倒して泣かせるぞこら」 言いながら佐藤のおしりを人差し指でウリウリつついた。 「泣き顔カワイイんじゃねえの~」 「ギャー。助けて中田きゅーん」 「こっち来んな佐藤」 佐藤はジャンプとキッスした。 「ヒドイヒドイヒドイヒドイ」」 ウザい。本格的にウザい。

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