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出会い(2)
「やっぱり居ないじゃん!」
「そこ!静かに!入学式の最中ですよ!」
入学式の場でみんな一様に男子の制服に身を包んでるいることをあらためて再確認し、絶望のあまり飆太は叫んでしまい、先生に注意された。
(やっぱり…嫌な予感が的中した…
高校では彼女を絶対に作ろうと思ってたのに…
どうして男子校なんだ…なんで知らずに…
女の子居ないなんて…居ない…いな…)
「いっ、居たっ!」
「ほらそこっ!」
すかさず先生に注意されるが、飆太の耳には入っていない、目線の先、数列左後ろの席には肩に僅かにかかるストレートの綺麗なつやつやの髪をしたモデルかと思うほど顔の整ったおしとやかな雰囲気の正統派美少女が居た。男子の制服を着ているが。
(なんだぁ〜やっぱり女の子いるじゃん〜!
一人だけ笑。
あの娘に後で絶対声掛けよ〜!)
なんて思ってるうちに、気づいたら入学式は終わっていて、各教室に移動になった。
クラスは6クラスあるうちの1組だった。
先程見かけた黒髪の子は途中で見失ってしまった。
(ま、そのうちまた会えるよね…!)
―――
「これから1年間、1組の担人をする永井です。よろしくお願いします。」
クラスで担任の先生の挨拶も終わり、点呼が始まる。
飆太は朝生(あさい)が名字なので、1番最初、席も扉の1番近く、右前の端っこだ。
「朝生 飆太くん!」
「はいっ!」
飆太は勢いよく返事する。
「朝海 凛月(あさみ りつ)くん!」
「はい…」
飆太のすぐ後ろから、少年のような少女のような声の静かな返事が聞こえてきて思わず振り返る。そして…
「あーーーーっ!!!!可愛い子!!!!!
声掛けようと思ってたんだ!オレは朝生飆太!よろしくね!この学校キミしか女子が居ないみたいだから是非仲良くしたいな〜って、それにキミみたいな清楚系黒髪ちゃんめっちゃ好きなんだよね…眼鏡とかかけてもすごっいタイプだよ!性癖にぶっ刺さるというか…」
「僕、男なんだけど?」
「あ、急にごめんね!びっくりしたよね…とにかくよろしくね!」
(やってしまった…ついオタクの癖が出てしまった…オレ2次元の推しキャラ黒髪清楚ちゃんなんだよ…やばい嫌われる…)
これには朝海ももちろんだがクラス全員呆然としている。一呼吸置いて…
「わっはっはっはっ!!!」
クラスが笑いに包まれた。飆太は顔を赤らめる。
「まぁ…よろしく。」
皆の笑いが収まった頃、背後から小さく凛月が言った。
「え!?う、うわっ!ありがとう!じゃ、じゃなくてよろしく!」
恥ずかしさでハイになってしまっている。
(返事返してくれた…)
その後、特に何事もなく学校初日は終了したが、このうるさいボーイッシュ美少女(年)と、おしとやかな黒髪清楚系美少女(年)の噂は瞬く間にこの男子校中に広まったのであった…
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