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不穏な視線(1)

次の日の朝から…金髪ボーイッシュ八重歯美少女(年)朝生 飆太の、同じクラスの黒髪清楚系王道美少女(年)朝海 凛月に対する猛アタックが始まった。 「ねー!りつって名前なんだね!りっちゃんって呼んでいい!?」 「住んでるところどこなの!?中学はどこ!?」 「L○NE交換しようよー!えっ!?スマホ持ってない!?いやw今触ってるじゃんwえー!ダメなのー?」 教室に入ってからずっと続く飆太の猛アタックを凛月はずっとさりげなくいなし続ける。 「は〜…L○NEもダメなのか〜… りっちゃんはオレに話しかけられるの嫌? 友達になれない?」 悲しそうな顔をして飆太は尋ねる。 「りっちゃん?何それそんな呼び名で呼んでいいって言った覚えは無いけど?」 凛月は相変わらず無表情のまま。 「うっ…ごめん。。」 さすがにここまで冷たくされると堪えるものがある。と… 「友達…ならなってもいいよ。」 「え…?」 「だから、友達!」 「友達?え!うそいいの!ありがとう!」 なんと友達になるのはOKしてくれたのだ。飆太は満面の笑みになる。 「そしたらさ、今日から一緒に登下校しない?」 「う、うん。まぁ、いいけど。」 「まじ!?嬉しっ!やったー!住んでるところはどこら辺?」 「春日町のほう…」 「げっ!逆かぁ…泣きそう… 仕方ない…じゃあお昼ご飯一緒に食べるのはどお?」 「僕いつも購買で買って食べるけどそれでもいい?」 「もちろんいいよ!やったー!」 帰る方向が逆で一緒には帰れない事にはガッカリしたが、昼休みの時間凛月を独占出来るのはあまりにも嬉しい。 それからも、飆太と凛月は発言量9:1くらいの割合で会話を続け、凛月の趣味や、中学時代のことなど多少のことは聞き出せて、連絡先も交換してもらった。 ほとんど飆太が話していることには変わりないが、凛月もだんだんと飆太のノリになれてきたようだ。 飆太と凛月は朝ホームルーム前に話し、昼ごはんを食堂で一緒に食べ、放課後は30分くらい残って話して校門まで一緒に行って別れるといった感じで順調に1週間ほど学校生活を送っていた。 ――― 「今日はりっちゃんの中学の時の部活のこと聞けて嬉しかったよっ!」 「飆太がサッカー部なのはなんか意外だった…」 「え!?そーお?オレ何部やってそう?」 「え〜…チアリーディングとか?」 「いや、オレそんな女子みたいなことしねーし!ってしたことはあるけど…りっちゃんよりは男っぽいもんね〜!」 「はいはい…ってあるのか!笑」 いつものように、放課後の楽しい会話を終え校門を出る。 「あっ!オレ、ノート忘れちゃった!ちょっと取りに行ってくる!先帰ってて!」 「う、うん。わかった。じゃあまた明日。」 「うん!また明日!」 忘れ物に気づき、取りに帰りに急いで教室に戻るった。 ――― 「よし、あった!かーえろっ!」 教室で目的のノートを見つけて帰宅しようと廊下に出て、階段に差し掛かったところ… “ドンッ!!” 「ったぁ〜!あ、すみません!」 とても背が高い、男子生徒にぶつかってしまったようだ。飆太は慌ててその顔を見上げる。 その少年は黒髪の耳にはかからない長さのトランクスヘアで、整いすぎている顔が冷たくみえるほど端正な顔立ちだ。 「いや、大丈夫。こちらも不注意だったよ。ただ、走るのは危ないから気をつけるんだよ。」 その生徒の言葉は優しいものだったものの視線は氷るように冷たく自分を射てくるようで思わず萎縮する。 「ほんとすみません!ではこれで!」 飆太は逃げるように背を向けこの場を去った。 その背に先程とは違うじっとりとした不穏な視線が注がれていたことには気づいていない…

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