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微睡み(1)

“プルルルル…プルルルル…” (ん…?) “プルルルル…プルルルル…” 「ぇ………?」 (………でんわ………?) 着信の音に、深い眠りから呼び戻される。まだ朦朧とする意識の中で、手探りで携帯を探し当て通話ボタンを押す。 『ひょうた!ひょうた!?』 「ぇ………?りつ…………?」 聞こえてきた予想もしなかった声に驚き、少し意識が浮上する。 「ひょうた!もう昼だけどどうしたの?L○NEも返信ないし!」 「ぇ……?ひる……?」 顔を上げると時計は12時半を示していた。 (うわっもうじゅうにじ…) 「ぇ、オレ寝てたの?げほっ、、げほっ、、」 「なにバカなこと聞いてんの!寝てた以外ある?…って大丈夫なの?」 「あははっ…そっか(笑)。オレ寝てたんだ…(笑)」 やっとまともに意識が戻って、凛月が可愛い声で真剣に心配してくれるのがなんだかおかしく感じる。 「あはははっ、、あはっ!………ぐすっ、ぐすっ、、、」 「ひょうた?ひょうた!?どうしたの!大丈夫?」 昨日のことを思い出したからなのか、凛月の声を聞いて安心からなのか、今度はなぜか涙が出てくる。 「いや、どうしてだろ…笑。ぐすっ、、なんでもないよ!」 「ほんとに?うーん。心配だなぁ。」 「大丈夫だって。凛月は心配性だなぁ(笑)。」 「とにかく安静にしてるんだよ!じゃあまたね。」 「うん。ありがとう。」 “プーッ”と音が鳴って通話が切れる。 「ふっ、、りっちゃんは優しいなぁ。」 泣き笑いしながら、心が暖かくなるのを感じる。 (あんなことがあった後なのになぁ。。。) 凛月と話すだけでここまで心が浄化されるとは飆太自身も思っていなかった。 “ピロン!” 通話が終わってすぐ、凛月からL○NEが来た。 『心配だから、住所教えて。』 (え!住所!なんで!まさか来るつもりなの!?) 凛月が家にくるかもしれないなんて緊張するが、断ることもできず、大人しく住所を送信する。 『わかった。』 とだけ返信が来たのが見えて、眠気が襲ってきたので飆太はまた微睡みの中に落ちた。 ――― “ピーンポーン!…ピーンポーン!…” (うるっさいなぁ…) 階下から聞こえる音に眠りを妨げられ、目を擦りながら状態を起こす。 “ピーンポーン!…ピーンポーン!…” (え、これうちの玄関鳴ってるのか…?) 次の瞬間、ハッと気づいて飛び起きた。 (きっとりつだ!りっちゃんが来たんだ!) 慌ててベッドから飛び起きて、1階の玄関へ向かう。今は家に飆太しかいないので、断続的にインターホンは鳴り続けていた。 “ガチャ” 玄関に到着し、慌ててドアを開けるとそこには予想通りの訪問者が居た。 「ひょうた!良かったぁ。」 凛月が飆太の顔を見て安心したように告げる。 「りっちゃん、来てくれたんだぁ。わざわざ悪いよう。」 若干の申し訳なさとむず痒さを感じながらも、素直に嬉しくて破顔する。 「まだ元気そうでよかった。熱はどお?」 「うーん。どうかなぁ。測ってないから分かんないや。」 昨日から熱を測ったり体調を気遣う余裕なんてなかったから、全く今の自分がどういう状況か、把握できていない。 「ちょっと、見せて。」 と言われ、凛月が顔を近づけてきた。 「ひぇっ…?」 びっくりして、素っ頓狂な声が出てしまう。 次の瞬間、額と額が触れ、心臓の鼓動が一気に高まる。 「うーわ!すごい熱!こんなんで起き上がっちゃダメだって!ほら、早くベッド行くよ!…ってほっぺたもめっちゃ赤いじゃん。しんどかったでしょ〜…」 (多分ほっぺたが赤いのは熱のせいじゃないな…) なんて思いながら、凛月が急かすように背中を押して部屋に入ろうとするとするので、大人しく従う。 「はい。肩貸して。部屋は?どこ?」 有無を言わさず肩を組んできて、部屋の場所を尋ねるので、大人しく部屋の方向を指さして伝えると、実に手際よく飆太を担ぎながら階段を登り、部屋のベッドまで運んでくれた。

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