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呼び出し(5)
数分が経っただろうか。一人の男が、
「俺、そろそろだわ。」
と告げると、他の男も
「俺ももうイける。」
と次々に声を上げる。
それを聞いた藍川が飆太に命令する。
「おい。口を開けろ。これ以上開かないってくらい大きくだ。」
ここまで来てやっと飆太はこれから自身に行われることを察し、目を見開き戦慄する。
その瞳は絶望の色に染まり、大きい雫を溜めている。
従わなくてはいけない。分かっているのに、身体が動かない、口が開かない。早くしなくてはいけないのに…
「おい。」
「ヒッ…」
痺れを切らした藍川が低く唸ると、恐怖に身体が大きく跳ね、いよいよ次の言葉を発せさせたらこれ以上の仕打ちを受けると察し、決死の思いで目を閉じ口を大きく開いた。
「全部飲むんだぞ。」
藍川の言葉を合図に、ほぼ時を同じくして、4人の欲望が飆太の口めがけて注がれた。大量の苦く生臭い液が口内を満たす。
その一部は口を外れて、鼻や頬にもかかる。
(飲まなきゃ、飲まなきゃ…)
嘔吐きそうになりながら、それを必死に堪え、飲み込むために口を閉じる。これが飲めなかったかったらどんな仕打ちを受けるか、それだけを考えるようにした。
だが、、、
「げほっ!ごへっっ、、う゛ぅぉぉぇ゛ぇぇ!」
初めて感じたこの世の終わりのような味と匂いに身体は反射的に嘔吐をおこした。とても耐え切ることはできなかったのだ。
そして数刻後、自分のやってしまったことに意識が向き、ガタガタと震えだす。
「ゴ、ゴメンナサイ、、ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。」
現実逃避するように小さく謝罪を繰り返しながら、来るであろう衝撃に備え、目を強く瞑る。
―――
「ふん。まぁそんなとこだろうと思ったよ。行くぞお前ら。」
来るだろうと予想していた衝撃は来なかった。そして、藍川は今日の陵辱の終わりを告げ、飆太の手の拘束を外す。他の者たちも指示を受けていそいそと服装を正し教室を出ようとする。
去り際に、
「ここの床綺麗にしとけよ。」
とだけ告げて彼らは教室から出ていった。
“ハッ”と堪えていた息が漏れ、全身からは力が抜けへなへなと床に座りこむ。
(終わったんだ、、、)
安堵と共に絶望感が全身を重くつつみ、静かな涙が絶えることなく流れ続けた。それと同時に、興奮状態であまり気にならなくなっていた、風邪の症状が再燃し一気に悪寒と気だるさに襲われた。
(これは明日学校いけないかもな。)
なんて他人事みたいに思いつつ、重い身体を引きづりながら無心で教室の後始末をし、帰路についた。
家に帰ってからの事はあまり覚えていないが、すぐに泥のような眠りについた気がする。
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作者の風遊ですm(*_ _)m
飆太クンかわいそうですね。
ちょっと、やりすぎましたかね…
ただ風邪を引いてる時にやるのを描きたかっただけだったので、ここまで酷いことにするつもりはなかったのですが、書いてる内にこうなってしまいました。嗜虐心とは恐ろしいものですね。
気分悪くされた方いたらごめんなさい。
次回は暖かい回にしたいと思います。
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