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約束の土曜日

 約束の土曜日。僕たちは予定通り、場野くんの家に集まった。  僕は場野くんに迎えに来てもらい、お菓子やジュースの買い出しに行ってから場野くんの家へ。場野くんの家の前では、りっくんと啓吾が待ちぼうけていた。 「おっせーと思ったら。なんだよ、デートしてきたんかよ」 「俺がゆいぴ連れてくるって言ったの、足蹴にした理由それかよ」 「ただの買い出しだよ····。2人とも、感覚ヤバくなってるよ?」 「廊下で騒ぐな。迷惑だろうが。とりあえず入れ」  家に上がり、わいわいお菓子を食べながら僕の洗浄を巡って揉め始めた。  勿論、誰がやるかって話なのだが、大前提として自分ではさせてもらえないらしい。そもそもだけど、なんで皆できるの? 「場野は2回もやってるでしょ? 順当にいけば、次は俺の番だろ」 「ちぇー····俺はその次かぁ」 「てめぇら、何言ってんだ。結人の洗浄だけは譲れねぇ」 「はぁ!? 俺だって、ゆいぴキレイにしたいんだけど!」 「俺も! 超ぐずぐずになるんだろ? くぁー····やりてぇ。俺の手でぐずぐずにしてぇ~」 「あのね、せめて自分でさせてもらえないかな? 死ぬほど恥ずかしいんだけど····」 「恥じらってるお前がぐずぐずになってくのが堪んねぇんだよ。だいたいお前、自分でできんの?」 「うぅっ······場野くん、変態だ····」 「「変態だ~」」 「よし、結人来い」  場野くんは、有無を言わさず僕を引っ張って、浴室に連れ込んだ。  ***  浴室から、結人の嬌声が響く。莉久と啓吾は息を飲んだ。 「あれはやべぇな」 「啓吾、もうギンギンじゃん」  2人は虚ろな目で、場野によってグズグズにされていく結人を想像していた。ズボンに収まりきらず、痛いほどに滾ったモノを弄りながら、結人の帰りを待つ。 「莉久だってガン勃ちだろ? あの声だけで抜けるわ」 「わかる。俺も最初そんな感じだった」 「あー····早く抱きてぇ」 「順番だからね。多分、場野が1番だろうから、次俺ね。啓吾は最後だわ」 「マジかよ! 我慢できねぇって」 「相当辛いだろうけど、頑張れ」  莉久は、啓吾の肩をポンッと叩き、ウインクとガッツポーズを贈った。 「おっまえ、ちんこ触った手で肩叩くなよ!」 「あはっ☆ ごめんごめん」  そうこうしているうちに、場野が結人を連れて戻ってきた。既にへばっている結人をベッドに寝かし、さらに丁寧に解してゆく。  莉久が結人のへにゃったモノを弄ると、次第に大きくなっていく。しっかり勃ちきっても、3人よりかなり小ぶり。それは、結人のコンプレックスでもあった。  持て余している啓吾は、口を担当する事を決意した。可愛い声を洩らす小さな口を、啓吾が思い切って塞ぐ。舌を絡ませると、苦しそうに息と声を洩らす。 「んっ····そんな、いっぺんに、されたら····もぅ、イッちゃうよぉ····」  そんな結人の発言が、いちいち股間に響く3人。結人を弄るペースが早まる。  ***  一度イッたから一息つきたいのに、場野くんがナカに入ってくる。 「あー····結人、締めすぎ。もうちょい力抜けよ」 「無理だよぉ。んっ、あんっ····奥までずんずんするから、あぁっ、勝手に、きゅってしちゃうのぉ」 「奥、好きだもんな。····なぁ、俺の事も名前で呼べよ」  場野くんが耳元で囁く。僕が大畠くんを、啓吾と呼び始めた時からソワソワしていたのは、ヤキモチを妬いていたからだったのだろうか。 「んっ····やぁ····恥ずかしいよぉ」 「呼べ。ほら」 「や、八千代ぉ····だめぇ、またイッちゃうぅ」 「んはっ、やべぇな。俺もイクわ····」  僕を見下ろして髪をかき上げると、最奥に捩じ込ませながらイク。一頻り出しきると、僕のナカから勢いよく出ていく。この、抜ける瞬間にも軽くイッてしまう。 「次、俺ね。ゆいぴ、挿れるよ······んっ、····あぁ、やっぱ最高」 「やっ、りっくん、ゆっくりぃ····そんな、激しくしたらぁあんっ、すぐイッっちゃうよぉ」  りっくんは一気に奥まで突っ込んでくる。 「イッて。何回でもイカせてあげる。ナカでイけるでしょ?」 「あっ、ダメッ。ホントに、んあぁっ····」 「ゆいぴのイキ顔、エロすぎんだよね。やっば····んあっ」  りっくんは、僕のイッた顔を見てイッたらしい。本当に変態じみている。 「ぅおし、やっと俺の番だな。あー無理。結人が落ち着くの待てねぇ」  初めて啓吾と身体を交える、緊張感でお尻が締まってしまうのを自覚する。 「結人、挿れるよ。んっはぁ····千切れそう····締まりヤバくね?」 「あー····啓吾ぉ。気張んないと、すぐもってかれるよ。ホント名器だから」  賢者タイムのりっくんが、なけなしのアドバイスを贈る。 「ん、わかるわ。我慢してたし、余計やべぇ。動くぞ~····よっ」  バチンッと打ち付けられ、目がチカチカした。奥まで一気に突き上げられ、一突きでナカイキしてしまった。 「お゙っ····あ゙っ······」 「結人、大丈夫?」  啓吾がまた、耳元で息を吐くように囁く。 「ひゃぁぁっ! だめだめっ、イッちゃう! あぁぁん」  啓吾の囁きだけでお腹の奥がギュンとして、突き上げられたポイントで快感が弾けたように、激しくイッてしまった。  そのあとも、数回続けてイッてしまった。奇しくも、全部ナカで。もう、わけがわからなくて、声も我慢できなくて、実はあまり覚えていない。  いつの間にか意識を飛ばしていたようで、目が覚めると全裸の啓吾が床で正座させられていた。 「結人、ごめん! 気持ち良すぎて、イカせ過ぎて失神させちゃった。やりすぎだって、こいつらに怒られた。あんな無茶しないから、もうシないとか言わないでくださいっ」  啓吾は額を床にガンッと叩きつけ、深々と土下座した。 「だっ、大丈夫!? 凄い音したよ!? 僕は大丈夫だから、顔あげてよ」 「またシてもいい?」 「うぅ~~~····いいから、そんな目で見ないでぇ」  捨てられた仔犬のような、潤んだ瞳で見つめられると、僕には断る事ができない。僕は、なんて意志の弱い人間なんだ。 「結人、大丈夫か? 水飲めるか? コイツは後で絞めとくから安心しろ」 「うん。大丈夫だよ。ありがとう。でも絞めないであげて」 「ゆいぴ、ホントに大丈夫? 無理しちゃダメだよ」 「りっくんもありがとう。本当に大丈夫だよ。き、気持ち良すぎただけだから····」  僕は恥ずかしくなって、毛布で顔を覆い隠した。 「俺も、次は失神させたる····」  そう呟いた場野くんに、りっくんが怒った。 「俺らのモットーは、ゆいぴを大切に、だろうが。バカは啓吾だけで充分なんだけど」 「わかっとるわ。冗談だっつの。お前マジでうぜぇな」 「場野くんが言うと、冗談に聞こえないよ」  僕がそう言うと、場野くんが僕を睨みつけた。 「呼び方、戻ってる」 (そうだった。この人、ヤキモチ妬くんだった。でも、今更恥ずかしいんだよね····) 「や、八千代····くん?」 「あん?」 「八千····代····」 「なんだよ、結人」  名前を呼ばれるのがそれほど嬉しいのか、場野くんは緩く微笑んで、愛おしそうに僕を呼んだ。普段とのギャップがエグい。 「今度から、そう呼ばねぇと返事しねぇし、話も聞かねぇからな」 (凄····甘ったるすぎる。なんて顔して笑うんだよ。早く慣れないと、トキメいて心臓がもたないな····) 「はい、あまーい。吐きそうなくらいあまーい」  りっくんがちゃちゃを入れてくる。 「てめぇ、後でシバく」 「ゆいぴ、俺も俺も! 莉久って呼んでみて?」 「莉久」 「なんっでそんな普通なの!? 恥じらいは!?」 「別に、りっくんは何とでも呼べるみたい」  八千代と啓吾が、腹を抱えて笑っている。  すると、腹を立てたりっくんが僕を抱き締めて、耳元でこう囁いた。 「今度、ハメながら莉久って呼ばせてやるから」  少し顔を離して、にやっと悪い笑みを見せたりっくんに、悔しいけどトキメいてしまった。 「毎週こうしてたい。毎日でもいい」 「啓吾が言うと、シャレになんないよ····。僕、干からびちゃうよ」 「じゃ、毎週だな」 「勝手に決めんな。それはうぜぇ」 「だって、ここ提供してくんないと、存分にヤれないじゃん」 「だからって、俺の居ねぇトコでヤんなよ」 「え、揃わないとしちゃダメなの?」 「てゆーか結局さ、啓吾とも付き合うの?」 「え!? 違うの?」 「えっと、僕····やっぱり決められないよ····皆気持ち良かったもん····ホントに、ごめんなさい······」 「そっか····ま、しゃーないわな。とりあえず俺も参戦だな。つーか、マジで一人暮らしいいな~」 「何勝手な事ばっか吐かしてんだよ····。一人暮らしなんざ、お前らもテキトーにすればいいだろ」 「簡単にはできねぇよ。俺だって一人暮らしだったら、毎日結人連れ込むのにな~。だって、これ完全にラブホじゃーん」 「アホか。はいどうぞって獣の家に結人を行かせるかよ。つーか、俺ん家をラブホ扱いすんな」  ケタケタと笑う啓吾が、八千代に枕を投げつけられた。  顔面にクリーンヒットし、りっくんと僕は腹の底から笑った。だって、あまりにも予想通りの展開だったんだもの。  こんなに楽しい時間は初めてだ。今まで、りっくん以外と、深く関わる事がなかった。大人数で騒ぐのも、休日に集まるのも、何もかも全部初めて。  友達を通り越してしまった関係だけど、こうしてわいわい楽しく過ごせるのは嬉しい。  こんな関係が、いつまで続くのかは分からないけれど、暫くは続いて欲しい。と、内心では思っていることは、皆にはまだ内緒にしておこう。

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