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流石って感じだね

 今日も今日とて、放課後は八千代の家に入り浸っている。家にお邪魔して数分。昨日、八千代の元気が無かった原因が判明する。 「場野、これ結人に見つかったらヤバくね?」 「なに? 僕に見つかったらヤバいのって」  啓吾がこそっと聞いているのを、目敏く察知してしまった。啓吾の手には、ごってりとしたシュシュが握られている。どう考えても、八千代の趣味ではない。 「あぁ、それな。俺の」 「場野、そういう嘘は良くないでしょ」  りっくんと啓吾が、表情とは裏腹にピリピリしている。八千代が浮気するなんて信じられないけれど、物証が出てしまっている。話は聞きたい。 「昨日、お前らが帰ったあと、姉貴が来てたんだよ。兄貴の話しにな」 「言い訳か」  朔がズバっと断ち切る。 「違ぇわアホ! 姉貴が、俺の髪が伸びて鬱陶しそうだからって、勝手に置いてったんだよ。ちょうどゴム切れたから貰っただけだわ。んなジャラジャラしたもん、俺が自分で買うわけねぇだろ」 「そう····なんだ。そっか。お姉さんに貰ったんだ。えへへ。お姉さんに会ってみたかったなぁ」 「え、結人信じるの? そんな鵜呑みにしちゃっていいの?」 「だって、八千代が浮気なんてするはずないでしょ?」 「当たり前だわ」 「まぁ、そりゃそっか。面白くねぇの~。これが場野じゃなくて······あ、こん中で浮気疑われそうなの俺くらいか」 「啓吾、自分で何言ってんの? 僕は啓吾の事も信じてるよ。嘘つけないでしょ」 「あはっ。結人、ホント愛してるぅ~」  啓吾が僕を抱き締める。もう、抱きつかれて暑苦しい季節が通り過ぎた。10月に入ったところだが、朝夕は肌寒いので、僕とりっくんと啓吾はカーディガンを羽織っている。 「そういや結人、カーディガン可愛いね。春には着てなかったでしょ? 萌え袖が良い」 「そう言えばそうだね。······萌え袖なのはね、僕が大きくなると思って、母さんが大きめのを買ったからだよ。なのに、僕が大きくならないから、萌え袖にならざるを得ないんだよ。わかった?」 「おぅ····。結人、コンプレックス全開だな。俺、結人が俺よりでかくなっても好きだからな。ないと思うけど~」 「啓吾、喧嘩売ってるの? あーっそう。買ってあげる。啓吾は今日えっちなしね。お触りもなしね。見てるだけね」 「ヤるつもりだったんだな。今日は俺が綺麗にしてやるからな」 「結人がヤる気になってんのは嬉しいな。今日も泣かせてやんよ」  朔と八千代が、そそくさと洗浄の準備に取り掛かる。そろそろ、1人でもできそうな気がするのだけれど、一向にさせてはくれない。近頃は、恥ずかしさを通り越して、全て任せっきりな事に申し訳なさを感じている。 「啓吾、ドンマイ! 指咥えて見てなよ」  りっくんが意気揚々と親指を立てた。啓吾は歯を食いしばっている。少し反省したら、許してあげるつもりだけど、しばらく放って置いてみよう。 「莉久、性格悪い!」  啓吾が喚いているのを背中で聞いた。  僕は今日も、トロットロに洗われる。喘ぎ声を我慢できなくなってきた頃、啓吾が覗きに来た。扉の隙間からの視線が、気になって仕方ない。捨てられた仔犬のような、潤んだ瞳で見つめてくる。 「結人ぉ、ごめんってぇ····。俺、結人に挿れれないと死んじゃうよぉ」 「ンッ····啓吾死んじゃうの? やだぁ」 「大畠、人間はそんな事で死なないぞ。大丈夫だ」 「ははっ。死なねぇってよ!良かったな」 「鬼かお前らっ!」 「自業自得だよ。見てたら勃っちゃうでしょ。俺は挿れれるから良いけど、啓吾は辛いでしょ? 戻るよ~」  りっくんが嫌味を吐き散らしつつ、ゴネる啓吾を回収していった。 「やだぁ! 俺も結人に挿れる~!」  啓吾の声が遠退いてゆく。煩いから、早々に許してしまおうかと思った。  ベッドに戻ると、啓吾が不貞腐れていた。黙々とゲームに集中している。その背中を見ると、なんだか可哀想になった。  後ろから抱き締めたかったのだが、手脚に上手く力が入らず、もたれ掛かるようにドンッと啓吾の背中にのしかかる。 「ぅわっ····え、結人!? どした?」 「啓吾、可哀想だからね、もう許してあげる」 「結人····じゃ、挿れていい?」 「なんでだよ! 俺ジャンケンで勝ったのに!」  りっくんが文句を垂れているが、どうでもいいや。 「だぁってぇ、結人が抱きついて離してくんないんだもん。しょうがなくね?」 「ごめんね。脚に力入んない、から、もう動けない。あのね、僕は誰からでもいいよぉ」  僕は、りっくんに抱えられてベッドに戻った。 「啓吾は最後ね。今日は俺からだから。····ね、ゆいぴに1番に挿れるのは俺だよ? 誰でもいいとか言わないで」 「ひぁんっ。耳元でっ、そんな甘い声でえっちな事言わないでぇ」 「あーーーっ、可愛い!」  りっくんが後ろから僕を抱き締めて、首元に埋もれて叫ぶ。 「りっくん、煩いよぉ。早く挿れてぇ?」 「ん、挿れるよ。ったく、ホントにえっちになっちゃって····」 「結人、俺の口でできるか?」 「朔の、おっきいから入んない····先っぽだけ舐めてていーい?」 「うん。それでいい」  朔は自分で扱き、僕が大きな亀頭をしゃぶる。 「じゃ、俺のは手で扱いてて。悪いけど、最後まで待てねぇよ」  啓吾が僕の手にローションを垂らし、おちんちんを握らせた。案外、舐めるのと扱くのを同時にできている。けれど、それもほんの一瞬だけだった。  りっくんが容赦なく突く所為で、数分後には突かれる度にイッてしまうようになった。朔に順番が回る頃には、潮を噴くのが止まらなくなっていた。  八千代が朔と入れ替わりで「しゃぶれ」と言ってきたが、そんな余裕はない。今入っているのは朔なのだ。啓吾だって、1度イッたからと退いてくれた。  八千代は退いてくれず、朔に奥をこじ開けられている最中(さなか)にも、喉を奥まで犯してくる。 「場野ぉ、今日乱暴じゃね? 結人、可哀想だよ」 「コイツ、喉マンでイけるだろ。仕上げようと思って」 「あー、なるほど····。けど、朔の番でやんのキツくない?」 「大丈夫そうだぞ。ナカすっげぇ痙攣してる。あー、もってかれそうだ」 「そろそろデカいの、来るんじゃねぇか?」 「んっ、締まりすぎて痛てぇ。あっ、無理だ。イクッ──んぁっ····」 「俺もイクぞ。吐くなよ。飲め──んぅっ····」  朔が持ち上げていた腰を、八千代が抑えていた顎と頭を、それぞれ離した。僕は支える力もなく、ベッドに倒れ込んだ。  啓吾が心配そうに寄ってくる。 「結人、まだできる? しんどい?」 「だ、大丈夫らよ。僕は動けないかもらけど、啓吾にも、僕のナカ、愛ひてほしい····」 「ホント結人は····煽んなって言ってんじゃん。呂律回んねぇくらいグデグデなのに、加減してやれねぇだろ」 「加減······いいよ。好きにして。啓吾が気持ちくなってくれたら、僕も気持ちぃから」 「あー、そっかそっかぁ。結人、一気に挿れるからな」  啓吾は、うつ伏せでへばっている僕の腰を持ち上げ、一気に奥をこじ開けた。全身に電気が走り、勢い良く潮を噴き出す。 「脚、ピーンってなんのエロいな。そんで潮って····」  啓吾が何か呟いたけど、何がエロいと言ったのかは聞き取れなかった。 「ぁに? けーご、なにぃ?」  僕が聞き返すと、啓吾はあのゴロゴロした甘い声を、耳に流し込んできた。 「結人は淫乱だなって」 「んああぁっ! やっ、そんな事言わにゃ····やあ゙っ」  淫乱という言葉に、背中を這うゾクゾクが全身を駆け巡った。それを啓吾のえっちな声で言われると、耳まで犯されてしまったかのようだ。既に、全身が性感帯と化していた。 「結人、満足した? 俺、もうイきそうなんだけど」 「も、イケない····どっちで、イッてるのかぁ、わかんないよぉ」 「ははっ。そっか。んっ····奥の部屋に出すよ。ん゙ん゙っ」 ──ガチャ 「「「「「!?」」」」」  突然、玄関の鍵が開いた。そして、誰かが入ってきた。  全裸の男5人、しかも僕と啓吾は繋がったまま。八千代と朔が扉の前に立ち、りっくんが僕を庇うようにして入り口を睨みつける。  凄い光景だ。全員フルチンだよ。誰が入ってきたとしても、とんでもない状況だよ。 「啓吾、さっさと抜きなよ」 「お、そうだな。結人、声我慢な」  りっくんが小声で指示を出す。それに従い、啓吾が勢い良く引っこ抜く。バカなのだろうか。 「んやぁっ」  踏ん張りが効かず、声をあげてしまった。皆が身を強ばらせる。なんで皆、この状況で息子さんたちを少し大きくしたの。余裕なの?  いよいよ、足音が止まる。扉の前に侵入者が立った。扉を開け、先手必勝で飛びかかろうとした朔を、八千代が止めた。 「待て朔!」 「あ゙ぁ!? ぁんでだ······誰だ?」  開かれた扉の向こうには、とても綺麗な女性が立っていた。 「桜華(おうか)····」 「桜華って······お姉さん!?」  僕は、反射的に上半身を起こした。が、ふらっとして倒れ込んでしまった。 「ゆいぴ! 大丈夫!?」 「大丈夫だけど、大丈夫じゃないよ。この状況だよぉ?」  僕は必死に毛布を手繰り寄せ、肌触り最高のそれに(くる)まった。 「アンタたち、何これ。どういう状況? その子、輪姦(まわ)してんの?」 「んなわけねぇだろ。アホな事ぬかすな。つーかどうやって入ったんだよ」 「まず、下くらい隠しなさいよ。向こう向いててあげるから」  ガッツリ見たのに、と思ったのは僕だけじゃないはずだ。僕たちは早急に着衣を整え、上げることのできない顔を並べた。 「まず、これは合意なのね?」 「当たり前だろうが」 「知らないわよ。ていうか、1対4? 状況だけ見たら、完全に輪姦してんじゃないの」 「えっと、お姉さん。皆、僕の彼氏です。ちゃんとお付き合いしてます!」  気迫の凄いお姉さんに、僕は勇気を振り絞って弁明した。 「ちょ、アナタ男の子なの!? やだ、可愛い! ····え、どういう事? 男同士なの? 待って、ホントに男の子? 可愛すぎるんだけど。アタシの事、揶揄ってるの?」 「いちいち煩っせぇな。コイツ、俺らの嫁な。詳しい事は後で説明してやるから、とりあえず帰れ」  八千代は追い返そうとしたお姉さんに、頭を(はた)かれた。それも、かなりの強さで。スパーンと、スリッパで叩かれたような音がした。 「いってぇな! 何しに来たんだよ!?」 「珍しくアンタが頼み込んできたから、連れてきてやったんでしょうが」 「あん? まさか、千鶴連れてきたんか」 「何よ。マズイの?」 「待て。今はマズい。アイツと結人は会わせらんねぇ。結人が危ねぇだろ!」 「だぁから、こんな状況だなんて知るわけないでしょ! 知ってたら、こんなタイミングで連れて来ないわよ!」  2人の怒涛のやり取りに、僕たちは口を挟むどころか、正座のまま指ひとつ動かせない。 「とりあえず、千鶴は一旦連れて帰れ。結人帰らせてからまた──あっ」 「やっほ~。八千代、久しぶり」 「死ね!」 「え、酷。あ、どうも〜。オレ、八千代の兄の千鶴で~す」 「帰れ!!!」 「あ、八千代の恋人の、たけっ──んがっ」  八千代が僕の口を塞いだ。 「名乗るな。コイツに名前知られたら終わりだと思え」 「千鶴くんは、死神か何かなのか?」 「そんな感じだ。たいして変わんねぇ」 「ちょっとちょっと、いくらなんでもお兄ちゃんに酷過ぎない? あんまり調子に乗ってると、皆食べちゃうよ?」 「俺ら、食べる側なんでやめてください」 「朔、ちょっと黙ってような? 良い子だから」  啓吾が涙目で朔を黙らせる。 「千鶴。この子らに手ぇ出したら、アタシが始末つけるからね。覚悟しなさい」 「お姉ちゃん、冗談だって~。オレが食えそうなの、この子だけだよ」  お兄さんが、僕の頬に手を添えようとした。その手を、八千代がもぎ落とす勢いで払った。   「お前、コイツに指一本でも触れたら、本気で殺すからな」 「その前に、アタシが殺してやるわよ」 「八千代、皆仲悪いの?」 「ん? いや、千鶴がゴミ扱いされてるだけで、俺と桜華は仲悪くねぇぞ。心配すんな」 「あっま。アンタ、そんな表情(かお)できんのね」 「八千代も俺と一緒で、愛に生きる男なんだよ。な~?」  八千代の凄まじい蹴りが、お兄さんの鳩尾に入った。  僕たちは帰され、翌日詳しい話を聞くことになった。  ······八千代は、大丈夫なのだろうか。

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