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起きちゃうんだよね

 僕は、鏡を見ようとトイレに駆け込んだ。教室からは近いけど、通路を渡った別棟にある利用者の少ないトイレ。本館のほうは何処も混んでいるから、空いていると思ってこっちに来た。  だが、そこには不良っぽい高校生が3人居た。堂々と煙草を吸っている。いくら人の出入りが少ない場所だからって、他校で喫煙だなんてとんでもない連中だ。 「おいおい、ここ男子トイレだぞ」 (そうだった。女装したまま男子トイレ······って、あれ?)  僕は慌ててトイレを出ようとした。何故なら、そこに居た高校生たちに、見覚えがあったからだ。 「可愛いな~。間違えて入ったのぉ? ドジっ娘かなぁ?」 「俺ら退屈しててさぁ、ちょうどいいや。相手してよ」 (あれ? 僕だって気づいてない? 化粧してるからかな。だったら····) 「や、やめてください····」  渾身の裏声だ。ここは早く逃げなくちゃ。と、思っていたら、背後から寄ってきた男がスカートの中に手を突っ込んできた。 「やぁっ····」 「んわ、可愛い声出すねぇ。やっべ、ちょっと勃ったわ~」  今のは裏声じゃないのだが、反応がおかしい。男の声に対して、可愛いとは何事か。そんなとち狂った事を言うのは彼氏達だけで充分だ。 「俺も~。これじゃこっから出れねぇじゃん。責任とってくんねぇかな~」 「なっ、やめ····」  この間、八千代に殴り飛ばされた奴だ。顎クイされて、まじまじと顔を見られた。 「あれぇ? お前、どっかで····」 (ヤバいヤバいヤバい! バレちゃう····) 「思い出した。場野の女だ。ユイトだっけ?」 「ち、チガイマス」 (片言になっちゃった····違う。バレちゃった····どうしよ) 「場野シメめに来たんだけどさ~、なっかなか1人になんねぇからタイミング探ってたんだわ。お前が捕まるなんて、ラッキ~。つーか、やっぱ女だったんじゃん。なぁ、ちょっと俺らの相手しろよ」  八千代をシメるって事は、大人数で来てるはず。ここに居るのが全部じゃないはずだ。いよいよ状況が悪い。  八千代が負けるとは思わないけど、もし僕が人質になってしまったら。八千代は無抵抗でやられてしまうだろう。それだけは回避しなくては。  しかし、3人に囲まれて逃げようがない。タバコ臭い。ガラが悪い。威圧感がありすぎて怖い。 「ホントに、僕、女の子じゃないから····やめて····ぅださ····」 「あーあ。五十嵐が女の子泣かした~」  僕のスカートに手を突っ込んで、太腿をまさぐっている男が揶揄った。八千代に怪我させられた人は、五十嵐というらしい。 「泣いたら余計に可愛いな~。よし、順番でいいだろ。俺から~」 「ひぁっ! やだっ! 待って、やだぁっ」  そう言って、五十嵐は僕を個室に連れ込んだ。残った2人は見張り役のようだ。 「おい五十嵐、口塞いどけよ。っと、ナカ出しすんなよ。次俺らも使うかんな」 「わかってるって~」  五十嵐は、僕のエプロンに入っていたハンカチを口に突っ込んだ。えらく奥まで入れられて、吐きそうだ。 「声出すなよ。痛い思いしたくなかったら、そっちに手ぇつけ」  恐怖で逆らうことができず、言われるがまま五十嵐にお尻を向けた。五十嵐は、スカートを捲ってパンツを降ろす。 「トランクスだからまさかと思ったけど、マジで男なん? はぁ~、でもお前だったらイけそ」  五十嵐の指が、ナカに入ってくる。 「お前、ケツ穴柔けぇな。締まりもやっべ。もう挿れて大丈夫か? 挿れんぞ。····っあ、キッツ」 「んふぅ····やぁ····」  お尻にあてがわれたモノの先端が、僕のナカに入った。  痛い。ローションではなく、五十嵐の唾液だけだから滑りも悪い。何より、物凄く気持ち悪い。 「あ? 何? 声出してんじゃねぇよ」 「痛っ····んぅっ、ひっ····ぅっく······」 「泣くなよ~。おー、すっげ。めっちゃ吸い込まれる~。もうちょい挿れんぞ······んぉぁ····」  おそらく、先がすっぽり入った。ギチッと、無理矢理ねじ込まれている。亀頭が大きいのか、解せていないのか、僕が拒絶しているからなのか。理由は分からないが、とにかく痛いし気持ち悪い。  窒息を防ごうと、なんとかハンカチを吐き出した。気持ちとは裏腹に、声がひとりでに漏れ零れる。 「んあっ、いぁっ······やっ、やだ····それ以上挿れないでっ。ダメっ、抜いてぇ」 「マジでケツやべぇ····ってお前、声も可愛いのな。けど、バレっとマズイから静かにしてろ。こんなトコ、見られんの嫌だろ?」  仰る通りなのだが、犯されるのも嫌だ。 「お願い、抜いて····ください。やだよぉ····お願い、します····」  恐怖と気持ち悪さで、涙が止まらない。 「ここでやめれねぇよ。うーし、奥まで挿れんぞ~」 「んうっ、あぁっ、やあぁぁっ」 「おい、五十嵐! 声ヤベェって」  見張りの奴が注意する。少し苛立っているようだ。 「嫌がってる声も可愛いなぁ。俺も早く犯してぇ~」  もう1人の見張りが、気持ち悪い事を言っている。これがまだ続くのか。何とかして逃げなくては。  どうして僕は、こうも非力なんだ。このままじゃ、八千代の足でまといだ。 「助けて····八千代····朔ぅ······」  僕がトイレに来ている事を知っているのは2人だけだ。秒で戻るって約束したのに。振り切って来ちゃったバチが当たったんだ。 「マジで彼氏なんか? 派手に校内練り歩いてんの見たぞ。あれ、お前だったんだな。アイツら今店番してんだろ? ここ来る前にチラッと見たぜ。はは。だぁからぁ、来るわけねぇだろ?」  ううん。それでも来てくれるのが、僕の彼氏たちだ。けど、だからってそれに甘えて、僕だって抵抗しないわけじゃない。頼りきりになるつもりはない! 「来てくれるもん! 僕の彼氏、バカにすんなぁっ!」  僕は、後ろ手に五十嵐を叩いてやった。無作為に振り回しただけだが、一発当たった感触がある。きっと、顔にクリーンヒットしたはずだ。 「いってぇ。可愛いなぁ。手ぇ弾かれちった~」 (手? 顔じゃないの?) 「お前の手の短さで届くわけねぇだろ。けど、反抗したからお仕置きな」  バチィィン 「ひあぁあっ」  お尻を強く平手打ちされた。ジンジンと残る痛みから、恐怖心が一気に膨れ上がる。 「痛い目見たくなかったらジッとしてろつっただろ」  両手を壁に押さえつけられ、そのままの勢いで奥まで突き上げられた。 「いぎっ····ひぅ゙っ······」  抵抗も虚しく、五十嵐はズンズン奥まで突いてくる。    ***  その頃、朔と八千代は喫茶店を抜け出す為、画策していた。   「結人、遅せぇな」 「だな。見に行くか」 「つっても、このタイミングで抜けんの難しいぞ」 「1人だけならすぐ抜けれるだろ。お前行ってこい」 「いや。俺がこっち何とかするから、場野が結人探してきてくれ。何かあった時、お前のが対応できるだろ」 「わかった。じゃ、こっち頼むわ」  八千代はタイミングを見計らい、店を抜け出した。    ***  『来てくれる』なんて言ったけど、他力本願すぎて情けない。僕がこっちのトイレに来ていることなんて知る由もないだろうに。人気のない所に行くなって、あれほど言われていたのに。  香上くんの時は未遂だったけど、今回は未遂じゃないんだ。ごめんなさいじゃ済まない。せめて、なんとかして自力で逃げなくては。そう思った時だった。 「あー····イきそう。なぁ、ナカで出していいだろ?」  五十嵐は、見張りの2人に聞こえないよう、耳元で囁くように聞いてきた。 「ひんっ······だ、だめに、決まってる、でしょ······」 「お前、耳元弱いん? か~わい~。敏感過ぎだろ~」  そう言って、五十嵐は僕の耳を噛んだ。 「ひあぁっ! ふっ····んっ······」 「お~····やっば。マジでイク······」  僕の嬌声を聞き、昂った五十嵐がラストスパートをかけピストンを速めた。その直後、一筋の光が射し込むのだった。

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