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ようやく始まるパーティ

 喧騒の中、啓吾が入れてくれたホットカルピスを受け取り、乾杯をしてようやくパーティが始まった。と言っても、飲み食いするだけなのだが。 「あ、そうだ。今日はもうえっちなしね。パーティ終わったら帰らなくちゃだからね」 「もう1日泊まれねぇの?」  啓吾がサラッと不良のような事を聞いてきた。   「そんな、連泊なんて······」 「2泊も3泊も、たいして変わんねぇと思うんだけど」  啓吾は、チャラ男じゃなくて不良だったのだろうか。全然違うと思うのだけれど。親が心配するじゃないか。 「皆、連泊しても怒られないの?」 「ゆいぴは怒られるって言うか、心配掛けるのが嫌なんだよね? 俺はたぶん、何も言われないよ」 「俺も、連絡さえ入れときゃ大丈夫だな。凜人から親父に報告は行くと思うけど、怒られることはないと思う」 「つーか、なんで怒られんの?」 「啓吾、怒られないの? 親御さんが心配するんじゃないの?」 「あー、しないしない。うちの親は俺の心配より、彼氏とデートする方が忙しいだろうから」 「えー····。啓吾ん家そんな感じだっけ?」  りっくんが心配そうな顔をしている。そういえば僕、啓吾の家の事情を全然知らないや。知っているのは、兄弟がいなくて、パワフルなお母さんが居る事くらい。 「一昨年くらいに親父が出てって、去年母ちゃんが彼氏連れてきたんだけど、ラブラブ過ぎてうぜぇの。多分、今頃デートしてるだろうし、朝まで帰ってこねぇよ。連絡だけ入れときゃオッケーて感じ」 「そうなんだ。······啓吾、寂しくないの?」 「えぇ? なんで? 俺もう高校生だよ? 寂しいとかないわ~」  家族の事を話す啓吾が、強がって寂しいのを隠しているように思えた。啓吾は嘘をつく時、顔はいつも通りの笑顔を作っているけれど、目を伏せて俯いてしまうのが癖だ。   「ホントに大丈夫だよ。今は結人も皆も居るからな。で、結人はどうすんの? もう一泊できるか聞いてみる?」 「聞いてみる。メール打つと時間かかるから、電話してくるね」  僕は廊下に出て、母さんに電話をかける。 『もしもし、結人? どうかしたの?』 「あ、あのね、母さん。友達と盛り上がっちゃってね、もう一泊泊まらないかって話になってるの。りっくんも泊まるって言ってて、僕も泊まりたいなって。····ダメかな?」 『別にいいわよ。結人が悪い事するとは思えないし。お友達と仲良くできてるのね。母さん嬉しいわ』 「うん。皆仲良くしてくれてるよ。今ね、皆と過ごす時間を大切にしたいんだぁ。母さんは? 1人で大丈夫?」 『あら、母さん1人じゃないわよ? 昨日ねぇ、お父さんが帰ってきたのよ』 「えぇ!? 聞いてないんだけど····」 『あはは。昨日ねぇ、ひょこっと帰ってきたのよ。母さんもびっくりしちゃった』 「そ、そうなんだ····。良かったね。それじゃ、父さんと夫婦水入らずでゆっくり過ごしてね」 『そうするわ。····ありがとうね。母さんの心配はもうしなくていいから、自分の時間を大切にしなさい。結人、おやすみ』 「うん。泊まるの許してくれてありがとね。おやすみなさい」  僕は、少しの罪悪感と、まだまだ皆と居られる喜びで複雑な心境だった。けど、部屋に戻って皆を見て、罪悪感は少し薄れた。 「皆、どうしたの?」  凄く和んだ空気が漂っている。しかし皆、複雑そうな顔をしている。朔が口火を切ると、次々に心の内を吐露してくれた。 「わりぃ、結人。電話丸聞こえだったんだ。お前、本当に良い子だな」 「やべぇな。こんな罪悪感、初めてかもしんねぇ。俺ら、結人に嘘つかせちまってんだな····」 「ゆいぴと一緒に居たいけど、本当に申し訳ないよ。おばさんにもゆいぴにも。良心が痛むね····」 「お泊まりナメてたわ。ホント軽く考えてた。結人にとってのお泊まりがどんだけ重いか、俺らわかってなかったわ」  皆、どういう感情なのだろうか。僕は良い子なんかじゃないのに。親に嘘をついて、恋人と乱れた夜を過ごすんだ。良い子なはずがない。  罪悪感を覚えたのは、恋人だと言えず嘘をついてしまった事にも。早く、ちゃんと話せる日がくるといいな。 「もう····。皆、何言ってんの? 僕が皆と一緒に居たいから、居れるようにしてるだけだよ? そうだ! さっき母さんが言ってたんだけどね、昨日父さんが帰ってきたらしいの」 「そういや、予定より少し遅れたけどそろそろだって言ってたな。わりぃ。伝えんの忘れてた」 「ううん。朔、ホントにありがとう。母さん、すっごく嬉しそうだった。声がね、凄く元気そうだったの」 「そうか。頑張った甲斐があったな」 「八千代も。朔と一緒に色々動いてくれてたんでしょ? ありがとう」 「俺は何もしてねぇよ。つーか、俺にできる事がなかったんだよ。だから気にすんな」  皆が僕の為に必死になってくれている。僕が傷ついたりしないよう、母さんが悲しまないよう、どんな時だって細心の注意を払ってくれる。  それを知っているから、皆が僕に悪い事はさせないという安心感がある。僕だって、皆に悪い事はさせないつもりだ。  僕が皆を信じているように、母さんにもそう思ってもらえるようにしなくちゃ。 「あーっ!! 忘れてた! 結人、着替えて」  啓吾に促され、サンタのコスチュームに着替える。予想通り女物だ。可愛い帽子までついている。 「こ、こんなの見て楽しいの?」 「「「「楽しい」」」」 「ホント、こういう時だけ息ぴったりだよね。もういいや。お腹空いたし、早く食べようよ。冷めちゃうよ」 「ゆいぴ、チキンかぶりつく? 切り落とそうか?」 「かぶりつくよ。りっくん過保護すぎ。でも、ありがと」  皆、僕に構ってばかりで変なパーティだ。ツリーもないし飾り付けもない。ただクリスマスっぽいものを食べているだけ。それなのに、どうしてこんなに楽しいのだろう。  幸せという瞬間が、こんなにも沢山あってバチが当たらないだろうか。なんて思ってしまうほど、皆と過ごす時間をかけがえのないものだと思う。   「結人、そろそろケーキ食べる?」 「食べる~」  啓吾が持ってきてくれたのは、チョコクリームとホワイトクリームが半々になっていて、沢山の苺が乗ったケーキ。八千代が選ぶ物は、本当にハズレなく僕の好みなのだ。 「わぁ! 半々だぁ。美味しそう」 「ゆいぴはここね~」  そう言って、りっくんは2色の境目の所を切り分けてくれた。一度に二度おいしい所だ。  ケーキを食べ終えると、満腹でウトウトしてしまう。きっと、皆これからえっちをするつもりなのだろう。けど、暖かくてお腹いっぱいで、大好きな皆が傍に居て、安心感に包まれるともう耐えられない。 「あれ? 結人寝てんじゃん」 「本当だ。幸せそうな顔してんな。これは流石に起こせねぇな」 「あはは。ほっぺにクリームついてる。可愛いなぁ」 「あっ、莉久舐めんなよ! 俺がやろうと思ったのに」 「お前ら変態かよ。普通に拭いてやれよ」 「え。場野、舐めたくないの? ゆいぴについたクリームだよ。クリームまで可愛く見えるじゃん」 「莉久、それは流石にキモい。クリームは可愛く見えねぇよ」 「お前ら、2人ともなかなかだぞ。俺も舐め取ろうとは思わねぇな」 「マジか。お前らのがわかんねぇわ。つーか、スカートやっべぇ。太腿やっべぇ。捲りてぇ。まさぐりてぇ」 「って言いながらもうやってんじゃん。啓吾、ホント変態だよね」 「変態でいいもーん。こんな据え膳我慢できるわけねぇだろ。その辺の女より可愛いんだよ?」 「それはわかるけどね。もうちょっと寝かせてあげなよ」 「え~。この絶対領域ってやつの良さが初めてわかったのに? 鬼かよ」 「えへへっ。さっきね、八千代がチキンにかぶりついてるのね、見てたのぉ」 「「「「····え?」」」」 「ゆいぴ、急にどうしたの? 寝てたんじゃないの?」 「でねぇ、すぅっごい男らしくってねぇ」 「これ完全に寝惚けてんな~。目開いてねぇし。ちょっと様子見ようぜ。んで、場野が男らしくてどうしたの? かっこよかった?」 「んふふ。いつもかっこいいけどね。それでね、僕もね、いつかあんなふうに噛み千切られちゃうのかなって思ったらね、お尻キュンてしたぁ。あははっ」 「ちょっ、ゆいぴ大丈夫? ん? ゆいぴお酒臭くない?」 「······わりぃ。おかわりん時、カルピスサワー作っちゃった」 「ホットで? 啓吾バカ過ぎない? ゆいぴもなんで気づかないかなぁ····」 「薄くしたつもりだったんだけどなぁ」 「薄けりゃ飲ましていい事にはなんねぇだろ。ったく、マジでアホだな」 「だぁってぇ、酔った結人見たかったんだもーん。泊まる時じゃないとできねぇだろ? 超素直な結人、もっかい見たくない?」 「それは見たいな。けど寝てるぞ? このまま犯すのか?」 「朔ったら野蛮な言い方しないでね。ちょっとえっちな起こし方するだけだよ。莉久、そこのタオルちょうだい」 「はいはい。けど、今日は絶対吐かすなよ。せっかく美味しそうに食べてたんだから」 「わーってるよ。吐くまではしないって····たぶん」 「お前ら元気だなぁ。久々にボウリングして疲れたわ。肩いてぇ」 「ジジィかよ。ま、場野はボウリング以外でも忙しそうだったもんねぇ」 「あ? お前らも聞こえてたんだろ。殺気立ってるクセに結人ばっか見てやがってよ。誰も行かねぇから俺が行っただけだろうが」 「そりゃどうも。俺も莉久も、戦闘要員じゃねぇしな」 「俺と啓吾は、ゆいぴが場野探しに行くの阻止したもん。ちゃんと仕事したもんね~」 「俺が手ぇ出すと、お前怒るだろ」 「お前が加減できねぇからだろ。香上落とした時の容赦のなさな。俺でも一瞬焦ったわ」 「マジで!? アイツの鼻折ったの朔だったの? 場野だと思ってたわ」 「折ってねぇぞ。チョークスリーパーで落としただけだ。結人が離せって言うから離してやったら、勝手に顔面から落ちたんだ。だから、折ったのは俺じゃねぇ」 「「えぇ····」」 「朔やべぇよ。サイコパスじゃん。怖ぇよ~」 「最初に言っただろ。朔はやべぇって。こういうトコだよな」 「ん? 何がだ? 俺、何かヤバいのか?」 「朔は····実直すぎるんだよ。うん。良いように言うとね。ゆいぴとは違った真面目さって言うか、うーん····ま、良い意味のヤバいだよ」 「わけわかんねぇけど····そうなのか」 「そうそう。よし、そろそろいっか。とろっとろだなぁ。結人ぉ、挿れるよ?」 「んっ、んぁ····やぁ····ん~······」 「起きねぇなぁ。このままイかせちゃうよ?」 「ふあぁっ····ん゙っ、ぅあっ、あぁっ、ひあぁぁ····な、なにぃ、やら、イッ····ひぁんっ」 「結人、おはよう。いっぱい出たな。気持ち良かった?」 「ふぇ····? うん。気持ち良かったぁ。しゅっごく良かったぁ。啓吾、もう終わり?」 「ははっ、そう来なくちゃな。まだまだ終わんねぇよ」 「ひゃぁっ、おっ、奥っ、ごちゅごちゅさぇうのしゅきぃ」 「知ってる。ここぉ····グッて、挿れんのもっと好きだよなぁ」 「にぁ゙~~~っっ!! しゅきぃっ、もっと奥挿れてぇ。ぐぽぐぽしてぇ」 「だーめ。これ以上したら吐いちゃうだろ?」 「吐くのはやらぁ。けど、もっといっぱい啓吾が欲しいいぉ」 「奥ぶち抜かなくてもさ、いーっぱい気持ち良くなったらいいじゃん。結人はドコでも感じれるイイ子だろ?」 「んぅ····皆に触ってもらえたらね、何処でも気持ちぃ。もうね、全身でイけそうだよぉ」  啓吾は僕を抱き起こすと、優しく奥をこつきながら耳元で小さく喘ぎ声を漏らす。さらに、乳首を弄り始めた。 「耳っ、やらぁ····乳首ぃ、爪でカリカリしないでぇ。い゙ぁっ、ん゙ぅぅ····抓っ、ら、にゃいれぇ····」 「あぁ····すっげぇ締まる。乳首イッちゃう?」 「イッちゃう····ちゅねったら痛いよぉ」 「でもイッちゃうんだろ? ほら」  啓吾は奥をゴリゴリ押し潰しながら、乳首を思い切り抓り上げた。 「い゙あ゙ぁ゙ぁっ!い゙だぃっ、いだぃぃ····乳首取れちゃうぅ!! ん゙ん゙~~~っ」 「あ~あ。痛いのにイッちゃった。結人は痛いのが好きだよな。ははっ、変態♡」 「ひぅっ····」   「まぁた耳でイッて····。誰がイッていいつったよ」 「ふあぁぁっ」 「結人はイキやす過ぎるなぁ。ちょっと我慢してみよっか」 「む、むりらよぉ」 「無理じゃなくてぇ、我慢すんの。できるよな?」 「ひゃい····できぅ····頑張りゅよぉ」 「じゃ、今からガンッガン奥突くけど、イクなよ? 吐くのもダメだかんね」  啓吾の威圧感を感じる度に、背中をゾワゾワが走り抜けてゆく。僕を押し倒してお尻を持ち上げると、最奥の扉の位置を確認するようにググッと奥まで押し込んだ。 「へぁっ、待っ、いっぱいしたら、我慢できにゃ──」 「知ーらない」  僕の大好きな、啓吾のSっ気全開の顔だ。口調はおどけているが、容赦のないピストンが始まる。 「ん゙お゙ぁ゙ぁっ、ん゙っ、い゙ぁっ、ぐぅぅっ、ん゙はぁっ、やぁっ····らめっ、も゙ぉっ、むり゙ぃっ····イッ····ん゙ゔぅぅぅ」  必死でイクのを我慢する。正直、できているのか分からないが、なんとか射精はしていない。少し先走りが溢れてきてはいるが。もちろん、噴いてもいない。 「ははっ。頑張れんじゃん。じゃ、そろそろイッていいよ。結人の大好きなトコ突いてやっからな。ほぉら、イけっ」 「ひぅっ、がはっ、イ゙ぐぅぅんあぁぁあぁぁっ!!」  僕が我慢できる程度で突いていたのだと、最後の一突きでわかった。 「なぁ結人、俺の声そんなに好き?」 「しゅき、だいしゅき。啓吾の声、しゅごいの、耳で聴いてるのにね、腰の辺りでイッちゃうの」 「はは。何それ、わかんねぇよ。けど、耳元で喋ったらすっげぇ締まるよな。めっちゃ気持ちぃ。次、後ろからヤっていい?」 「ん、いいよ。ここ、啓吾のおっきぃの····もっかい挿れてぇ」  四つ這いになり、啓吾に向けてお尻の穴を拡げて見せる。 「んはっ。結人、上手にくぱぁできるようになったな」 「ゆいぴ、俺のしゃぶって」  酷く紅潮した顔で目を座らせたりっくんが、有無を言わさず口に突っ込んできた。容赦なく腰を振るから、嗚咽混じりに嬌声が漏れてしまう。 「吐いちゃダメだよ。ちゃんと吐かないように加減してあげるからね。まだ大丈夫だよね。もうちょっと奥行くよ」 「ゔっ、も゙ぉ····んえ゙っ····ぅあっ」 「莉久も酷いなぁ。どっちが吐かせるかやんねぇ?」   「やんねぇよ。バカな事言ってんじゃねぇぞ。吐かさねぇつっただろ····。ん゙ん゙っ。ゆいぴが可哀想でしょ」 「え、誤魔化せてないかんね? ははっ、口悪ぅ。莉久の素ってそっち?」 「はぁ? んなわけないでしょ。ゆいぴに怖がられちゃうじゃん」 「んぷぁっ····怖くないよ?」 「え?」 「だってね、僕には見せないりっくんが見れて嬉しいの。僕にはさ、えっちな時しかキツく言わないよね。あれね。すっごくドキドキするんだよ」 「へぇ。ドキドキしちゃうんだ。んー····、普段はゆいぴにキツく喋れないけど、スイッチ入っちゃうと言えるんだよね。ほら、喋ってないでしゃぶってよ」  りっくんも啓吾も、好き勝手に僕をイかせて、まるで遊んでいるようだ。啓吾が、出なくなるまでやるって言ってたのを思い出して、どれくらい滅茶苦茶にされるのかと胸を躍らせてしまった。

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