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これは初夜ではないらしい

 ガラス張りの、外から丸見えなバスルームで啓吾に犯された。休憩だとか言ってたけど、全然休めていない。  綺麗になったベッドに戻ると、八千代が全身にキスを浴びせてくる。少しでいいから休ませて欲しいのだけど。 「待って、ちょっとだけ休ましぇて····」 「ん? しんどいか?」 「ううん、ちょっと疲れちゃっただけ。いっぱいイッたから」 「朔からの啓吾だもんね。あの2人、初っ端から飛ばしすぎなんだよ。ゆいぴ、何か飲む?」  りっくんが呆れるのも無理はない。朔は挿れるだけでいっぱいいっぱいだし、啓吾は手があれでも誰より元気いっぱいでハードなのだ。 「飲む。何か····って、何があるの?」 「ゆいぴが好きそうなのはねぇ······。ココアとカルピスと抹茶オレもあるよ。あと、水もある」 「水でいいよ。どうせ、また吐くだろうから」 「吐きたくねぇんか?」 「······嫌じゃないけど。味があるやつよりかは、水のほうが楽かなって」  何を言っているのだろう。恥ずかしくて、小さな声でもごもごと言う。 「なーにごにょごにょ言ってんの? 吐いてイクくせにぃ」  お風呂から戻った啓吾が、水をがぶ飲みしてから言う。そして、幾分か口に含んで、口移しで僕に飲ませる。  飲み込みきれず、口端から零れた水が首筋を伝う。ヒヤッと冷たい。口移しは何度やっても慣れなくて、上手く飲み込めずに溢れてしまう。 「んぅ····んっ、ぅ、ンンッ」  溺れてしまいそうなほど飲まされると、そのまま深いキスに切り替わる。啓吾の長いキスが終わるのを待ちきれないりっくんが、背中に吸い付き始めた。  りっくんの前髪が触れる所に、ゾクゾクと快感が走る。腰をクネらせていると、後ろからりっくんのおちんちんが入ってきた。 「んんーっ!? んっ、ふぁっ、ひぁ····んんんっ」  啓吾はキスをやめてくれないし、りっくんは遠慮なくナカを掻き回す。ふわふわし過ぎて何も考えられない。 「啓吾、キス待って。ゆいぴトンじゃう」 「ん? ····もう半分トンでる。結人、大丈夫?」 「んぅ····おひり、気持ちぃ····啓吾、ちゅぅ····もっとしてぇ」 「あ〜、可愛いやつだ。暫くこのまんまでいてもらおっか。ゆいぴ、お強請り上手になるもんね」 「だな。こんくらいの時の結人、マ〜ジで可愛い」 「啓吾、早くちゅぅ····口、寂しい」 「んー、好きなだけしてやるけど、失神すんなよ?」 「んんっ····」  啓吾は僕が気を失わないように、息ができるようゆっくり甘いキスをしてくれる。時々目を開けると、啓吾と目が合って恥ずかしい。目がえっちなんだもん。 「ゆいぴ、たまにキュって締まるんだけど。そっち何かしてんの?」 「んぇ? あ〜、多分目ぇ合った時じゃねぇ? 結人、キス長いとたまに目開けんじゃん? 目合うといつもキュって締まるよ」 「マジで? 気づかなかった····。あ〜〜〜っ何それ、可愛すぎだろ」  りっくんのピストンが速まる。 「んあっ、りっくん? イクの? ん゙ん゙っ··ひぁっ····やら、もっと··(ちゅな)がってたい····」  僕は振り向いて、りっくんにお願いしてみた。ボンッと顔を赤くしたりっくんは、奥にグリッと押し込んで一時停止した。 「んはぁっ····。あっぶね。出かけた」 「そのままイけや。んで代われよ」 「やだよ〜。ゆいぴが離れたくないって言うんだもん。しょーがねぇだろ」  甘えた声とは裏腹な雄の顔で、りっくんは激しいピストンを再開した。 「あんっ♡ りっくん、(しゅ)き····大好(らいしゅ)きらよ。じゅっと僕のナカに居てぇ····」 「ほらぁ。ゆいぴが俺の事求めてんだから、しょうがないよね〜?」 「····チッ。うぜぇな。結人、俺のちんこ要らねぇの? ナカに居んの、俺じゃ嫌か?」 「やちぉ····。嫌なわけ、ないれしょ! 八千代もね、ナカに居てほしい」 「んじゃ、場野も挿れちゃえば? こないだ、俺とだったらいけたじゃん? 莉久とでもいけんだろ」 「ダメだって! 今2本挿れたら、絶対ゆいぴトぶじゃん」 「トんでも問題ねぇだろ。奥抜いて起こしゃいいしな」  段々、扱いが乱暴になってきている気がするが、それさえも胸を高鳴らせる要因にすぎない。快感を叩きつけられて意識が戻るのも、悪くないと思ってしまう。 「りっくん、僕、トばにゃい····。八千代もりっくんもしゅき、らから····僕のナカ、皆でいっぱいにしてほしぃよぉ」 「あーっそ。そんじゃ、場野と2人で挿れてあげるけど。その代わり、今日はずっと素直に俺らの事求めてね」 「ひんっ····うん。今日はね、素直になれそうらよ。皆の奥さんになる約束もれきたもんねっ」  僕は、薬指の指輪を見せつけた。 「ぶはっ····それ俺らがあげたやつじゃん。んな自慢げに見せられてもなぁ」 「んぇ? 見せちゃらめなの? 嬉しかったんらもん····」  啓吾に笑われてしまった。何かおかしかっただろうか。 「はぁ····。ほんっっとアホ可愛いなぁ。ゆいぴ、俺の上においで」  僕はりっくんに跨り、息を荒くしている八千代を後ろから迎えた。メリメリと入ってくるのがわかる。この、お尻が拡げられていく時の熱さが堪らない。 「ん゙ぅ、お゙ぁ····にゅぅぅぅ······」   「結人、力抜けるか? 亀頭千切られそうなんだけど」 「ゆいぴ、口開けて」  頑張って少しだけ口を開けると、りっくんは舌先を差し込みキスで僕をイかせた。イクと少し弛むようで、八千代がその隙に深く入ってくる。 「ん゙にぃ゙ぃ゙ぃぃっ····」 「んだよその喘ぎ声。気持ち良いんか苦しいんかわかんねぇな」 「り、両方らよ······あ゙ぁっ!! 待っ、動くの待って! 入ってぅらけれ····イ゙ッぢゃぅ」  待ってと頼んだのに、2人は容赦なくナカを擦り続ける。僕がイこうが噴こうがお構いなしだ。  僕は精液も潮も尽きたのに、それでも2人のピストンは止まらない。途中、少し意識を飛ばしていたが、りっくんに乳首を捻り上げられて目が覚めた。 「んな゙ぁ゙ぁぁ!!? いだぃっ、チクビいだいぃぃ!!」 「ぉあー····すっげぇイッてんな」 「ゆいぴ、締めすぎ······」 「り゙っぐん! 乳首(ぢぐび)取れ(どぇ)ぢゃうぅ!! やぁぁ゙ぁ゙っ!!」 「結人、声ちょっと抑えろ」  八千代に後ろから口を塞がれ、またお尻が締まった。 「んぉっ····やべ、イクぞ」 「俺ももう限界。ゆいぴ、イクよ」  八千代に口を塞がれたまま2人にナカ出しされて、僕も深く長い絶頂を迎えた。 「抜くぞ」  八千代が勢いよく引っこ抜き、僕はまたイッてしまう。 「俺も抜くよ」 「や、やら····。もうちょっとらけ、このままがいい」 「ん、いいよ。あはっ、奥すっごいビクビクしてるね。あ、穴締まってきた」  りっくんに抱き締められ、僕はそのまま眠ってしまった。 *** 「あーあ。寝ちゃった」 「うはっ、かーわい。涎垂れてる」 「マジで? 撮って。この体勢も撮って。絶対可愛い」 「結人、段々丸くなってんな。赤ちゃんみてぇ。お、ちんこ抜けそう。動画にする?」 「もち。あ、抜ける! 早く!」  ピコンと啓吾が録画を開始する。さながら、AVの撮影だ。 「んにゅぅ······」 「結人、寝ながらイッたんじゃね? 抜ける瞬間マジで好きだよな」 「ホンット可愛い····。けど、そろそろ降ろしたげて。この体勢苦しそう」  八千代が結人を抱き上げ、そのまま綺麗に拭きあげてゆく。朔がタオルを替えるとそこへ寝かせ、啓吾が口移しで少しずつ水を飲ませる。  結人は寝ながらそれを飲む。起きている時よりも上手く飲めているのを、4人は不思議がっていた。 「どうする? このまま寝かせる? 一応、1周はしたけど」 「俺、こんな幸せそうに寝てるゆいぴ起こせないよ」 「まぁ、俺らが寝れりゃこのままでいいんじゃねぇ? 起こすんも可哀想だしな。んぁー····飲みてぇな。コンビニ行くか?」 「バカかよ。こんなトコで問題起こしたら、おばさんに信用してもらえないだろ」 「あー、そうだな。くそっ、ヤリ足んねぇな····」  八千代の荒々しい態度に、莉久と朔が呆れている。 「家だとお前、ちょいちょい飲んでんもんね」 「マジで? ゆいぴに飲まないって言ってなかった?」 「結人の前ではな。結人の可愛さが振り切ってた日とか、飲みたくなんだよ」  八千代は、結人の可愛さを酒の肴と捉えているようだ。 「ゆいぴにチクろ〜」 「ふざけんなよ。まぁ、あんま飲まねぇようにしてっから」 「場野くんは、結人に『長生きしてほしい』って言われたもんね〜? 長生きしねぇとなぁ」  啓吾が八千代を揶揄う。そして、頭をはたかれるのだ。 「なぁ、んな事はどうでもいいんだけどよ。今日の結人、一段と可愛かったな」  朔が脈絡もなく、1日を振り返って言った。3人も思い返して、結人の愛らしさを噛み締める。 「指輪、喜んでたな」  八千代が、結人の指輪に指を這わせながら言う。 「あんまプロポーズって感じしなかったけどね。ゆいぴに言いたい事言っただけって感じ」 「そだなぁ。まぁ、結人が喜んでくれたんならいいんじゃね?」 「あと1年····か。生活が落ち着いたら、誰も呼ばなくていいから結婚式してぇな」  朔がポソッと呟いた。 「結婚式かぁ。いいね、やりたい。けど、結人にどっち着せんの?」 「ドレスかタキシード? ドレス一択でしょ」  4人は未来に胸を躍らせ、少し先の話を楽しむ。 「なぁ、結人さ。もうちょっと寝かせたら起さねぇ ?」 「だな。アホな話してたら抱きたくなったわ」 「あ、また涎垂れてる。ほっぺフニフニだな。すげぇ気持ち良い。マシュマロみてぇだ」  朔が結人の頬を指で摘まむ。莉久は、結人の寝顔をカメラに収め、眼前に転がる可愛さに声を殺して悶えた。  暫く4人は、真剣に将来の展望について語り、12時を過ぎたあたりで結人を起こす事にした。 ***  僕は、お尻に打ち込まれる快感で目を覚ました。ペタッと蹲るように四つ這いになっている。 「んぁ····りっくん?」 「あはっ、よくわかったね。おはよう、ゆいぴ」 「おは、んっ····ごめんね、寝ちゃってた」 「いいよ。むしろ、起こしてごめんね?」 「だい、じょーぶ。りっくん、ゆっくりシてくれてるの、起きてすぐ気持ちかった」 「んはぁ····♡ ゆいぴ、こっち向いて」  少し上体を起こして振り返る。りっくんにキスをされ、ゆっくりと奥を抉られる。 「んっ、ふぅぅぅ····はぁっ··んぅ····」 「ゆいぴ、イクよ。奥、抜かないで出してあげる」 「ひぁっ、僕もイッちゃう····んっ、くぅぅぅン」  りっくんは、寝起きの僕を気遣って優しくイかせてくれた。 「結人、まだできそうか?」 「できるよ。でも待って。お水飲みたい」 「ほい。あ、口移しがいい?」 「······うん」 「マジで!? おっけ〜····って、場野待てよ」 「お前、さっきやっただろ。今度は俺が飲ませる番な」 「誰でもいいけど、揉めないでね? 僕に水飲ませるくらいで····」 「ばーか。俺らにとったら重要だわ」  八千代に口移しで水を飲ませてもらったのだが、また少し零してしまった。 「結人、寝てる時は上手く飲めるのにな。なんで起きてると零すんだ?」  朔に言われたが、寝ている時の事など僕が知るはずもない。 「僕、寝てる時も飲ませてもらってたの?」 「ちょっとだけな。喘いでそのまんま寝たら、喉キツいかなぁって思って」 「ありがと。啓吾、そういうとこホントによく気づいてくれるよね」 「なんだよ〜。照れんじゃん」 「人の事はガンガン褒めてくんのに、自分が言われたら照れんのかよ」 「褒められ慣れてないんですぅ〜」 「なんでだよ。女にちやほやされてただろうが」 「あれは違うだろ。女の子ってさ、結構上辺だけだもん。彼氏でもない奴を心底褒めたりしないって。それに、褒められんのって基本外見だけだったしさ」 「女の子って結構キツいよね。ホント顔だけで寄ってくる子とか多かったし。中身とか二の次って感じ」 「どうせアクセサリー感覚なんだろ。んな奴、相手にする方がどうかしてるわ」 「俺にはわかんねぇけど、お前ら苦労してたんだな」 「苦労っつぅか、今思い返したら馬鹿だったな〜って思うな。何が良かったのかよくわかんねぇもん」 「可愛かったんじゃないの? 啓吾、可愛いは正義だって言ってたもんね」  少しムスッとして言葉を挟んだ。何故だか、啓吾の顔を見たくない。 「あ〜、それね。女の子は裏の顔見なかったら可愛いからね。一生懸命アピってくるとことか健気じゃん?」 「ふ〜ん。僕にはわかんないけどっ」 「あっはは。女の子の話しだしてからドコで拗ねんだろって思ってた。知ってんだろ? 俺が愛してんのは結人だけだよ。今までも、これからもな」  押し倒されて耳元で囁かれる。僕の好きな声の出し方で、甘い言葉を流し込んでくるんだ。 「そっ、んん····そんなの狡いよぉ」 「俺さ、結人とえっちすんの好きだけどね、こうやって抱き合って寝るだけでも幸せ」 「わかる〜。俺もゆいぴ抱き締めて寝んの好き」  りっくんと啓吾が、僕を抱き締めて寝る体勢に入った。 「おい。寝るんなら退けよ。結人、来い。抱かせろ」  八千代に呼ばれ困惑している僕を、りっくんと啓吾が呆れ顔で解放してくれた。僕は、八千代の膝の上に乗り、お尻を揉みしだかれる。  さっきはりっくんと一緒に挿れたから、きっと満足していないのだろう。ずっと我慢してくれているけれど、八千代は誰よりも独占欲が強いのだから。 「八千代、もう挿れて? 早く、八千代のおちんちん欲しい····」 「マジで今日は素直だな。ほら、ケツ浮かせろ。····挿れんぞ」 「うん····んんっ、あっ··ふぅぅん····おちんちん、おっきぃよぉ」 「あんま締めすぎんなよ。お前が上だと、視覚的にヤバいからな」  視覚的にヤバいとはどういう事だろうか。時々、皆はよく分からないことを言うが、悪い事ではないのだと思う。それくらいは分かってきた。 「んっと、何がヤバイの?」 「お前がエロすぎて、すぐイッちまいそうだってコト」  なんてえっちな事を耳元で言うんだ。 「いぁぁっ」 「ん? イッたんか。お前マジでチョロいな」 「ちょろ····くても、いいでしょ。皆が、僕の事そうしたんじゃない。僕、悪くないもんっ」 「おーおー、お前は悪くねぇな。最っ高に可愛いわ。けど、チョロいんは俺らにだけな」 「ンあぁぁん♡ わっ、わかってるよぉ」  八千代は僕をギュッと抱き締め、奥をグリグリ押し潰す。   「イッちゃう! 八千代、それイッちゃうぅぅ!! あ゙ぁ゙ぁっ、らめっ、イクイクイクッ!!! イ゙ぁぁっ」 「すっげぇ噴いたな。気持ち良かったか?」 「良かった。良かったから待っで····動かにゃいれ、まだお尻イッてぅからぁあ゙ぁ゙ッ!!」 「もっとイけ。泣いて俺の名前呼びながらイきまくれ」 「やあっ··八千代、またイクッ! やらっ、しゅごいのキちゃう!! んっぁあ゙あ゙ぁ゙ぁぁ!! 八千代、やちぉ····しゅき♡ らいしゅき、愛してぅ♡♡ やちぉのせーえき、僕のナカにいっぱいちょーらい」 「お前なぁっ、なんつー顔で言ってんだよ。アー··クソッ、イクぞ。結腸(はら)で全部飲めよ」 「ひゃいっ、やちぉのせーえき、じぇんぶお腹でにょむっ♡ んあぁぁぁイクイクッ!! またイッぢゃうぅ〜〜〜っっ♡♡」  八千代に激しく抱かれている間に、朔が寝てしまった。おちんちんは起きているようなのだが、本体の方がもたなかったようだ。気がつくと、啓吾も寝ていた。 「朔と啓吾、服も着ないで寝ちゃってるよ。風邪ひかないかなぁ」  2人は全裸でベッドに転がっている。おっぴろげとはまさに。八千代とお風呂に入り、戻ってきたらこの有様だった。 「パンツくらい履けっつぅの」  なんて文句を言いながら、りっくんは2人に毛布を掛けてあげる。なんだかんだ皆、僕以外の事もお互いに大事にしている。  それが何より幸せだ。これが僕たちの在り方で、僕たちだけの幸せのカタチなのだと思うと、この関係が愛おしくてたまらない。  皆に指輪をもらって、これで本当に形として婚約を果たした。あとは、りっくんと朔のご家族に挨拶をしなければ。僕はそんな事を考えながら、りっくんと八千代に抱き締められて眠った。

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