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それどころじゃないね
猪瀬くんと冬真を帰らせた朔は、僕たちを並んで座らせお説教を始めた。くどくどと順番にダメ出しをされ、何故か僕には諭すように注意をした。
完全に小さい子扱いされている。けれど、何も言い返せないくらい圧が重くて怖い。
ひとしきり言いたい事を言い終えた朔は、突如として甘い顔を見せる。そして、僕の腰を強引に抱き寄せた。せっかく洗浄したのだからと、朔は僕を担いで八千代のベッドへと運ぶ。
僕をベッドに寝かせるや否や、甘いキスが全身に降り注ぐ。気持ち良いような擽ったいような、えっちで甘えん坊なキスだ。
「んやぁ····朔、待ってぇ」
「待たねぇ」
「違うの。朔に言いたい事があったの」
「ん? なんだ?」
僕は、勇気を出して想いをぶつける。
「あのね、宿泊研修の前も最中も、八千代と啓吾止めてくれてありがと。朔、ずっと我慢してくれてたでしょ?」
「まぁ、そういう約束だったからな。莉久と3人で、あのバカ2人には気を揉んだよな」
「ねー。理性ぶっ壊れてる猿にはホント参ったよ」
「あはは。えっと、それでね····、最初にえっちするのは朔とって思ってたんだ。なのに、向こうでえっちシちゃってごめんね? あのね、もう··好きにシていいから抱いてくれる?」
律義に約束を守ってくれた朔への、ほんのお礼のつもりだった。まさか、他の3人に渡さなくなるくらい僕を独占するなんて、この時は予想しなかった。
「ッ、フゥゥゥー······結人、先に言っとくな。今ならちゃんと憶えとけるよな」
「んぇ? うん。大丈夫だよ。どうしたの?」
朔は、わざわざ僕を一度座らせて、荒ぶった呼吸を静めてから言った。
「俺ん家への挨拶の事だけどな。日取り決まったぞ。来週の土曜な」
「本当!? やったぁ!」
「親父の都合がついた日になって悪かったな。お前らも、予定空けといてくれ」
八千代は軽く返事をしたが、りっくんと啓吾は緊張を孕んだような反応を示した。そりゃ、世界規模の大グループの社長さんだもん。普通の友達のお父さんと会うのとは、ひと味もふた味も違うだろう。
「朔のお父さん、すっごく忙しいんでしょ? 仕方ないよ。むしろ、僕たちの為に時間作ってもらえて嬉しい」
「親父は早く結人に会いたいつってたぞ。母さんも」
「えへへ、そっかぁ。うぁ〜、もう緊張してきたよ····。けど、僕も早く会いた──んわぁっ!!?」
まだ話しているのに、朔は待ちきれず僕を押し倒した。そして、お尻の穴にローションを馴染ませる。僕が朔の指を咥え込むと、ナカを撫でるように丁寧に解し始めた。
じっくりと時間をかけて解し、僕を四つ這いにさせると穴に亀頭を滑らせる。ようやく挿入するのかと、期待で胸が高鳴りお尻がヒクつく。けれど、朔は焦らすばかりで挿れてくれない。先っぽを出し挿れしては、僕の腰が揺れるのを『可愛いな』と言って愉しむ。
なかなか挿れてもらえないまま、全身にキスマークと噛み跡をつけられる。それだけなのに、イキ過ぎてヘロヘロになってしまった。きっと、我慢していた反動がきているのだろう。
「朔 ····も··早く挿ぇてくらしゃい。朔のおっきぃおちんちん、僕のナカにずんってシ て?」
僕は、両手でお尻を拡げて強請った。朔は、親指でさらに穴を拡げると、おちんちんを押し当てて入るか入らないかという所で遊ぶ。
朔がくちゅっと音を立てる度に、お尻がキュッと締まって亀頭を飲み込もうとしている。
「すげぇ吸いついてくるな。よし、ちゃんと息してろよ。しっかり解したからな、一気にいくぞ」
そう言って朔は、結腸口まで一息に突き挿れた。
「ンはあ゙ぁ゙ぁっ!! んぐぅぅ····朔 、おっき··すぎ····ずんっ··て、強 いぃ····」
「痛いか?」
「ひにゃ··気持゙ぢぃ····やあ゙っ、まだ ··奥抜いちゃらめっ! イッてぅかゃ待゙っ──」
僕の声は届かず、軽く奥を解すと強引に貫かれた。噴き出した潮が、既にできていた水溜まりに跳ねる。
「ひっ、ンあ゙ぁ゙あ゙ぁ゙ァ゙あ゙ぁ゙ッ!!! 奥゙ぅ゙ッ! おにゃ··お腹 ····変····イッてぅのに、またイッてぅ······かはっ····」
「朔、もうちょい加減してやれ。結人、白目剥いてんぞ」
「あ? ····お。結人、大丈夫か?」
「らい··じょばにゃいぃっ! しょこらめぇ、も゙う出にゃいぃ! にゃんにも出にゃ、イケにゃぃ──んえ゙ぇぇぇ····ぉえ゙ッ、ぅ゙っ、ゔえ゙ぇぇぇ····」
僕が弱音を吐くと、吐かせるために奥をおちんちんで抉られた。僕は吐きながらイキ続ける。
吐けなくなるまで、朔は奥に捩じ込んだまま小刻みにこつき続ける。その間、腰を押しつけたまま1ミリも離れないのが凄く好きだ。けど、身体はもう悲鳴をあげている。
僕が吐けなくなると、奥の入り口にカリを引っ掛けて扱く。あまりの気持ち良さに脳が焼き切れてしまいそうだ。全身を電流が流れているような、ビリビリと痺れるような快感が留まる所を知らない。
僕の呼吸が、カヒューカヒューと危うくなってようやく、朔がラストスパートをかける。けれど、僕はとうに限界を超えていた。意識があるだけでも及第点だ。
「へぁ····朔 ぅ····も、イケにゃ····苦 ひぃ····」
「もうイクからな。あとちょっとだけ頑張ってくれ」
苦しそうな声で頼まれ、僕は“あと少しだけ”と踏ん張った。朔には我慢してもらった分、存分にイッてもらいたい。ちゃんと満足してほしいんだ。
「ん゙っ、ぅあ゙っ····頑張ゅ····かゃ、僕のナカれ、いっぱいビューって······朔ぅ、大好き ♡」
「ッハ····あんま煽ってんじゃねぇぞ」
最後の最後で煽ってしまったらしく、完勃ちした朔が根元まで挿れてしまった。そして、物凄い勢いでぐぽぐぽするんだ。
朔がイク為に、奥で亀頭を扱く。耳元で『出すぞ』なんて言って、耳でもイかせる意地悪な朔。前回よりも、ほんの少しだけ余裕がある気がしなくもない。だが、無論息などできない。
「ぅ゙··ハッ····ァ····」
朔が1番奥で長い射精をしている。僕の腰は勝手に振れ、僕の意志とは関係なく自ら奥をぐぽぐぽしてしまう。朔が僕の両手首を後ろ手に持って、押さえ込んでいるから逃げられない。ついに足がピーンと伸び、身体が言うことを聞かなくなった。
いつもなら、出されながらのぐぽぐぽも気持ち良いが、今はそんな余裕なんてない。イキ続けて全身がガクガクしてしまい、声にならない嬌声を零す。口を閉じる力すらなく、はしたなくも涎を啜れず垂れ流してしまう。
「朔抜け!」
八千代が叫んだ。余程焦っているのだろう。八千代の呼び掛けに驚いた朔は、慌ててズルルッと引き抜いた。
「ひに゙ゃぁ゙ぁ゙ぁぁ!!! 出ちゃっ、内蔵 ··出ちゃうぅ!!」
この、内臓ごと引っこ抜かれそうな感覚は久しぶりだ。
「アホか! マジで結人殺す気か」
「わ、悪ぃ····」
「結人、内臓出てないからちゃんと息して」
「かはっ、ハッ、あぁっ、やっ、んぎゅぅぅ····」
朔は僕のナカから出たはずなのに、お尻でイクのが止まらない。お腹のナカに朔がまだ居るような感じがして、快感が抜けてくれない。
「け··ご、イクの、止まんにゃ····んふぅッ····あっ、んんっ」
僕は啓吾にしがみつき、ナカで留まっている快感をどうにか逃がそうと試みる。
啓吾がギュッと抱き締め、優しいキスをして意識を散らしてくれる。
「ん····ふぁ····」
徐々に身体が落ち着き、啓吾とのキスに集中できるようになった。
「落ち着いた?」
「はへぇ····大丈夫 。ありがと、啓吾······あぇ? 朔?」
「久々に焦ったわ。朔も大丈夫?」
朔は顔面蒼白で固まっていた。2度目の失態なのだ。きっと、自分を責めていることだろう。
「朔、僕大丈夫 だよ。らからね、ギュッってして?」
「や、お前、大丈夫じゃねぇだろ? え、大丈夫なのか?」
「んへへ、大丈夫。またね、啓吾が落ち着かせてくぇたから」
「朔がヤリすぎたら俺らが止めてあげるからさ。ほら、ゆいぴ待ってるよ」
りっくんが朔の背中を押す。
「って莉久はなんもしてねぇだろ」
「だって俺、ゆいぴの水取りに行ってたんだもーん。はい朔、飲ませてあげて」
「ぉ、あぁ。結人、水飲むか?」
「うん、飲ませてくぇる?」
「あぁ」
朔が口移しで水を飲ませてくれた。朔の心臓が、ドクッドクッと強く打っている。相当焦ったのだろう。呆れ顔の八千代が、朔にコーヒーを入れてきてくれた。
落ち着いた朔にひたすら謝り倒されたが、誰もさほど気にしていない。啓吾なんて、2回目だからか慣れたものだった。
「朔。僕ね、すっごく気持ち良かったよ。朔は? スッキリした?」
「スッキリはした。けど、結人を危ない目に合わせちまうのはダメだろ····」
「あれは煽った結人も悪いかんね。まぁ、イキ過ぎてるだけだから何とかできるし。俺らが居ないトコでやらかさなきゃ大丈夫だよ」
「そ、そうなのか? 何にしても気をつける。悪かった····」
僕は朔の膝に収まり、朔を見上げて言った。
「朔、皆が居てくれるからいーっぱい気持ちぃ事できるね」
「アホか。お前も煽んの気ぃつけろ」
「はーい。あはは、僕も怒られちゃった」
朔は、困った顔で僕の頭を撫でた。そして、ギュッと強く抱き締め、耳元で『大事にする』と呟いた。
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