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帰りたくない
お漏らしするのを手伝うだなんて言った朔は、膀胱目掛けておちんちんをねじ込んだ。叩き込まれた快感で、僅かながら下腹に込めていた力が弛む。
そして、膀胱をナカから潰された衝撃で、僕は我慢できずにショロショロと漏らしてしまった。
「やっ、やらぁ····」
皆は当たり前のようにお漏らしを受け入れているが、恥ずかしくて堪らない僕は枕で顔を隠す。啓吾はこの瞬間も撮影しているし、八千代は呆れて替えのタオルを取りに行った。僕から枕を剥ぎ取ったりっくんに至っては、嬉々として耳を弄りながら尿道に残った精液をお掃除させる。
皆にとって僕の羞恥心なんて、きっとゴマ粒みたいにちっぽけな物なのだろう。なんなら、恥ずかしがっている僕を見て喜ぶのだから手に負えない。
昂りを抑えなくなった朔が根元近くまで挿れるから、いつも以上の圧迫感でお腹が変になりそうだ。イキ過ぎて、イッているのか何なのか分からない。
朔は僕の上体を起こし、後ろから抱き締めて乳首を弄り始めた。そして、項から首筋に唇を這わせ、際どい所に噛み痕をつける。痛みで仰け反り、腰が反って自分でイイ所に当ててしまう。
「ンあ゙ぁ゙あ゙あ゙っ····朔 ····も··イッてぅか分かんにゃ····ひぁ····奥、らめ····頭 、変になぅ····」
「変になるの嫌か?」
腰を打ち付けるのを止める事なく聞いてくる。返事をするのも一苦労だ。
「違っ····けろ、怖 い····離 れらんにゃくなぅ····」
「一生離れねぇから大丈夫だぞ。そんじゃ、ちょっと頭変にしてやるからな」
「へぁ····?」
朔は訳の分からない事を言って、僕の顔をベッドに埋めると腰を押さえつけて無理やり反らせた。そして、奥の入り口を物凄い勢いでぐぽぐぽする。
「イ゙··に゙ゃぁ゙あ゙ぁ゙ぁっっ!!? やぁ゙っ、奥゙ッぐぽっ、ぐぽぐぽダメぇッ!! 頭 らめになゆっ! も、やぇへ····脳 みしょ溶 げぢゃゔぅ゙ぅッッ!!」
「結人の頭がダメになっても、脳が溶けても愛してる。安心してそのままイッてろ。んぁ····こら、締めすぎんな····。もっとヨくしてやるから力抜け」
そう言って下腹を揉みながら、おちんちんを結腸にねじ込むと大量の精液を放った。お腹が熱く重くなってゆく。
僕は、その間もイキ続ける。朔の足の間で行儀良く揃えていた足が、バタバタバタと小刻みに振れるのが止まらない。それを見ていた八千代に『エビみてぇ』と笑われた。
りっくんに拭いてもらっている間に少し落ち着いた僕は、ベッドから転げ落ちるようにして啓吾の隣に座った。ココアを手渡してくれた啓吾は、そのまま僕の腰を抱いて引き寄せる。
啓吾の手はいつも温かいなぁ、なんて思いながらココアを啜る。そして、ふとマグカップから視線を上げたら、コーヒを飲んでいる八千代と目が合った。
「ん? どした?」
「··ッ····別に。····ねぇ、僕のこと見る時ね、なんでそんなえっちな目で見てくるの?」
「あ? ぁに言ってんだよ。誘うような目で見てきてんのお前だろ。つかお前、いつからンな誘うような目ぇできるようになったんだよ」
「なっ、僕が!? そんな目してないよ····。て言うか、誘うような目ってなんなの?」
「俺らがいつもお前を見てる目だろ」
朔が、さも常識かのように言う。
「俺らのは“犯すぞ”って目じゃねぇ? けどまぁ、確かになぁ。結人に誘われてる感じすんな~って思う時あるわ」
「な、ないよ····」
「あるよ。ゆいぴが自覚してないだけで。ゆいぴねぇ、外でもたまにそういう目で俺らの事見てるよ。えっちぃ事して欲しそうにしてる」
皆みたいにえっちな目で見つめるなんてのは、経験豊富な玄人が使える技だ。僕にできるはずがない。
「みっ、見てないもん! 外でえっちな事なんてシないもん! なんでそんな意地悪言うの!? 僕がそんな高等技術使えるわけないでしょ····」
「おい場野、あれって高等技術なのか?」
朔は驚いた顔で八千代を見る。
「んなわけねぇだろ。アホか」
「抱きたいとか抱かれたいとか思って相手見てたらさぁ、自然とそういう目で見ちゃうんじゃねぇ? つぅかそんなん意識した事ないからわかんないけど」
「ゆいぴが最近までそういうのした事なかったからさ、俺らも慣れがなくて吃驚してるトコだもんね」
「俺ら、付き合ってそろそろ1年だよな? いっくらなんでもさ、普通いい加減慣れてこねぇ? つぅか、結人のエロに対する成長が受身的すぎてビビるわ」
啓吾は怒っているのか呆れているのか、僕の頭を自分の胸に抱き寄せながら言った。
「······んぇ?」
「あはは。全然意味わかってないね。あ~····けどさ、ゆいぴが酔ってもないのに迫ってきたら俺らビビるんだろうね」
「それな。俺らも耐性無いやつはビビんの良くないな。結人が進歩しない原因のひとつだろね。まぁ結人はアレだ····襲い受け? とか言うの無理そうだよな」
襲い受け····。皆、僕と付き合い初めてから勉強だとか言ってBLに目を通すようになり、なんなら18禁モノに関しては僕より詳しい。僕はえっちなのは読めないからわからないけど、それらしい用語が飛び交うようになった。
「んな事もねぇんじゃねぇか? テンション狂ったらいけそうだろ。まぁ、コイツは今んとこ誘い受けだな」
「「「あぁ~」」」
ベッドに座った八千代が、僕を後ろから抱え膝の間に座らせて言った。テンションが狂ったらってなんだ····。それに『あぁ~』って何を納得してるんだ。
そして、後ろから抱き締めると僕の頭に顎を置いてスマホを弄り始める。こういう時って、画面を見ていても良いのだろうか。正解が分からず目が泳いでしまう。
「それよかコレよぅ、今年も行くか?」
スタタタと操作して開いたページには、綺麗な打ち上げ花火の画像と祭りの開催日が記されていた。去年、朔と付き合うきっかけになった祭りだ。
「わぁ!! お祭り! 行··こうかな····どうしよ····」
行くと即答しかけて思い留まった。あの日、とんでもなくハレンチな事をしたのだと思い出し、瞬時に顔が熱くなる。
「ゆいぴ、行きたくないの?」
「また外であんな事になったら困るし、花火見れないでしょ?」
あの時は、花火を見る前に帰ってしまったのだ。リベンジしたいところではあるが····。
「んじゃ、今年は絶対花火見ようぜ。チョコバナナもしゃぶらせねぇから安心しろ」
八千代が、意地悪な笑みを浮かべて言う。そう、元凶はそれなのだ。八千代を信用しないわけではないが、僕だってお祭りには行きたい。
「わかった。でも、約束だからね!? 朔の時みたいな事になったら、ホントに困るんだからね? 外ではシないでね?」
「わーってるよ。んじゃ、また浴衣着せてやっから朝から俺ん家な」
今度は不敵な笑みを浮かべて言う八千代。その意図に気づかない皆ではない。
「今年は俺と朔も朝から来るから」
「そうだな。場野と大畠だけだと、また何かやらかしそうだもんな」
「俺ら信用ねぇのな~。まぁ、なんもシないわけないけどな」
やる気満々の啓吾は、それを隠そうともしない。きっと、1年前と同じ事になるのだろう。
「けど··そっか····1年かぁ······。なんか、あっという間だったね。まさか、皆とこんな事になるなんて夢にも思わなかったよ」
「そうだな。感慨深いな」
朔がしみじみと言う。
「そうだね。あぁ····、あの日なんだよね。僕が自分の気持ち自覚したの」
「おー··、そうだな。あん時ゃお前、自分が優柔不断だから俺らの事傷つけてるとか言って泣きじゃくってたよな」
「えっ!? ゆいぴそんな事思ってたの? つぅか場野に泣かされたの!?」
八千代が経緯を話すと、啓吾がベッドに腰を上げて僕の頬を指で撫でながら言った。
「結人はホント優し過ぎんだよ。俺らが振り回してたのに結人がそんな風に泣いたらさ、俺らすげぇ悪いみたいじゃん」
「みたいじゃなくて、実際振り回して困らせてたんだったらお前らが悪いんだろ」
「あっはは。朔きっつ~。まぁそうなんだけどさ? 自分の気持ち認めて俺ら傷つけてると思って泣くとかどんだけいい子なんだよ! よし、来い結人~」
ハイテンションで八千代から僕を奪い、抱えるように抱き締めた啓吾はベッドにダイブした。八千代に『ガキか』と冷ややかな目で見て言われたが、啓吾は無視して僕にキスを浴びせる。
もう帰らなくちゃいけないから、キスだけで我慢してくれているんだ。けど、大きくなったおちんちんを僕の股間に擦りつけるものだから、僕まで反応してしまう。深いキスをされるだけでお尻がキュンとしてしまうのも、この1年で皆に仕込まれた色々の賜物だ。
この1年の出来事を思い返し、皆への想いを馳せる。そして、僕は啓吾にギュッと抱きつき、思わず心の声を漏らしてしまった。
「帰りたくないなぁ····」
皆の小さな溜め息が聞こえた。困らせてしまうのは分かっている。けれど、込み上げた気持ちは飲み込めるようなものではなかった。
「俺もねぇ、帰したくない」
啓吾は、僕をギュッと抱き返した。
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