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確かめ合う想い

 啓吾が視線で合図し、僕は慌てて振り向く。部屋の入り口にはりっくんが立っていた。早くもベルトを外している。  そして、背後から僕を抱き締め、項や肩に吸い付く。とびきり甘い声で『愛してるよ』と囁くと、僕のナカに入った。 「んぅ····りっくんの··おっきぃ····お尻(あちゅ)いぃ」 「痛くない?」 「苦ひぃ··けろ、気持ちぃ····」 「ゆいぴ、ただいま」  わざわざ耳元に口を寄せて言って、ちゅぱちゅぱと耳朶をしゃぶる。 「んぁっ····お、おかえりなしゃい」    僕のナカで2人が大暴れしている。八千代と朔はどうしたのか聞きたいのに、そんな余裕を与えてはくれない。 「待っ··んあ゙ぁ゙ぁっ!!」  僕が話そうとすると、りっくんは奥まで強くねじ込む。これは、ワザとだな。  そう確信した僕は、聞くのを諦めて搾り取ることに専念した。下腹に力を込め、意図してお尻を締める。締りを良くして早くイカせてやろうと思ったのだ。  しかし、そんな甘い目論見が上手くいくはずもなく、イキ狂ったのは僕のほうだった。2人のおちんちんが交互にナカを擦り、唾液も飲み込めないくらいイキっぱなしになる。 「うはっ♡ 結人、そのままキスして」  キスと呼べるのか怪しいが、とりあえず要望通り唇を重ねた。啓吾が僕の顔を支えてくれて、されるがまま口内を犯される。 「啓吾、ゆいぴトンでない?」 「軽く。お前そろそろイケよ。俺もう限界なんだけど」 「抜け駆けしてるからでしょ。俺まだムリ」  りっくんは静かに奥を責め続ける。啓吾は先に達してしまい、りっくんに僕を預けてずるんと抜け出た。  僕はりっくんにもたれ掛かり、足を広げたまま突き上げられる。もう、自分がイッているのかも分からない。  りっくんはピストンをユルめてくれない。どうやら、最後まで力いっぱい突き続けるつもりらしい。  奥にくる衝撃の強さで、僕は何度か気を失った。その度に、耳や肩を噛んで起こされる。りっくん自体は静かなのに、行為はどんどん激しさを増す。  僕を四つ這いにさせ、好き放題に突き潰すりっくん。突然、りっくんがスマホを手にして何処かに電話をかけ始めた。僕とえっちしている最中に、何をしてくれているのだろう。  ムッとした僕は、ワザと声を上げてやろうかと思った。だが、馬鹿な事をしなくて····いや、厳密には声を上げる余裕などなくて、本当にそれで良かったと思う。  だって、電話の相手は僕の母さんだったのだから。 「あ、おばさん? こんばんは。ゆいぴ、場野の家で寝ちゃってさ」  どうやら、僕は眠っているらしい。乱れた呼吸すら伝わらないようにしなくては。 「······うん、そう。起こすの可哀想だから、明日の朝連れて帰る感じでいいかな?」  意地悪な啓吾が、横から僕のおちんちんを扱き始めた。啓吾には、反省という概念がないのだろうか。  さらに、りっくんは片手で僕の口を塞ぎ、根元まで押し込んでグリグリグリグリ執拗(しつこ)く奥を抉る。声を出させたいのか我慢させたいのか分からない。 「はーい。それじゃ」  りっくんは電話を切る直前、これまでで1番深くまでねじ込んだ。ズンッと鈍い快感が脳へと突き抜ける。  一瞬だけ耐えたが、すぐに絶叫に近い声を上げてしまった。母さんに聞こえていないだろうか。言い知れぬ不安が過ぎる。  けれど、今はそれすらどうでも良いくらい、足の先まで巡る快感に身を委ねていたかった。  イキっぱなしで息ができなくなった頃、りっくんがラストスパートをかける準備に入った。腰を上から押さえつけ、お尻をツンと上げさせる。  そして、また奥をグリグリとこねくり回し、僕がイクと同時に貫く。イッている最中に結腸へ侵入されるのは辛い。脳が焼き切れてしまったかのような、頭の中で何かが弾ける感じがして怖いのだ。 「やら··かはっ····りっくん(ぃっふん)····そぇ(こぁ)ぃ····」 「ん〜? 何が怖いの?」 「イキしゅぎへぇ、頭おかひくなゅ····」 「ふーん、っそ。んじゃ、結人のアタマ、俺のちんちんでもーっとおかしくしてあげる♡」  りっくんは、僕にのしかかるように耳元へ来て囁く。甘くてえっちな言葉(こえ)を流し込まれ、それだけで噴いてしまった。僕、まだ噴けたんだ····。  りっくんは上体を起こすと、再び腰を上から押さえつけて本気のラストスパートをかける。 「ゆいぴ····結人、愛してるよ。これからもずっと··ン゙ッ····」 「んに゙ぃ····イ゙ぁ゙っ······」  お酒の所為だろうか。こんなに苦しくなっても失神できないのは。1度眠って体力を回復させたいのだが。 「結人、水飲んで。ちょっと身体起こすよ」  啓吾は、僕をひっくり返し上体を起こさせると、口移しで水を飲ませてくれた。少し落ち着いたので、りっくんへ質問を投げる。 「りっくん、怪我してない?」 「····え? うん。大丈夫だよ」  真っ先に八千代と朔について聞かれると思っていたらしく、拍子抜けしたようなキョトンとした顔で答えた。  そりゃ、2人の事も気になるけど、目の前に居るりっくんの状態だって同じくらい気になるのだ。当たり前じゃないか。 「そっか。良かったぁ····。りっくん、喧嘩なんてガラじゃないんらからね? 無茶しないれよ····」 「無茶じゃないよ。俺だってキレたら喧嘩くらいするし」 「嘘らぁ····りっくん優ひぃもん」 「買い被りすぎだよ····。香上だって殴ったし、ゆいぴを傷つけた奴に優しくなんてできないよ」  りっくんは、悲しそうな顔で僕の頬を指で撫でる。あぁ、またこんな表情(かお)をさせてしまった。僕は、何度同じ事を繰り返すのだろう。 「八千代と朔は? そうら、凜人しゃんは?」  八千代は先にシャワーを浴びていて、朔は着替える為に1度家に帰っているらしい。一体、何があったんだ。  八千代と朔も怪我はなく、それどころか相手をズタボロにしたんだとか。八千代が大地さんの頭を鷲掴み、壁に叩きつけた時は『本当に()りやがったって思ったよ』と、りっくんは遠い目をして言った。  凜人さんは、この件を杉村さんと内々に処理すると言って、りっくんたちを送り届けるとまた戻ったらしい。  僕の所為で、あちこちに迷惑をかけている。これじゃ、おちおち外出なんてできない。 「僕、皆らけじゃなくて、他の人にも迷惑掛けてばっかぃらね····。もう、外に出にゃいほうがいいのかな····」 「悪いのはゆいぴじゃないでしょ。ゆいぴの事守れてない俺らの所為だし、そもそも悪い事する人がいけないんだよ。だから、ゆいぴが責任感じることないの」 「だな。あんだけ偉そうな口叩いて守れてねぇ俺らの責任だわ」  と、八千代が髪を拭きながら部屋に入ってきた。目つきが鋭く苛立った様子なのは、まだ興奮しているからなのだろうか。けれど、不思議と怖くはない。 「お前らもうヤッたんか」 「うん。けど、これ相当飲まされたんじゃない? ゆいぴ、全然酔い醒めてないよ」 「結人、抱かれんの辛いか?」 「全然(じぇんじぇん)大丈夫(らいじょーぶ)らよ! あのね、八千代(やちぉ)にも()いてほしぃな····」  八千代は、興奮した様子で僕を押し倒す。両手首をベッドに押さえつけ、青筋を浮かべた雄の顔で『煽ってんじゃねぇぞ』と言われた。  ベッドに座った状態で、立っている八千代を見上げて言ったものだから、必然的に上目遣いになってしまったのだ。  けれど、今更『上目遣いで強請ってんじゃねぇ』と理不尽に怒られる筋合いはない。だって、身長差的に僕はいつだって上目遣いじゃないか。 「八千代(やちぉ)、待っ··待って!? おちんちんおっきくにゃい?」  べチッとアナルを叩くおちんちんの重量感に驚いた。揺れる視界の中、いつもより大きい八千代のJrが顔を見せる。  八千代の耳には僕の言葉など届いておらず、荒い息を抑えながら亀頭をめり込ませた。 「ン゙ぁ゙っ!? ひぅ····おっきぃ····やち··ぉ、おっきしゅぎぅよぉ····」 「朔よりゃマシだろ。こんくらいで無理だっつぅんなら、朔には抱いてもらえねぇな」  ズンズンと奥へ押し込みながら言う。もう、少し(こす)れるだけでイクのが止まらない。  暫くイキっぱなしでまた呼吸が浅くなった頃、やっと朔が戻ってきた。そして、何も言わずに僕の口へおちんちんを突っ込む。 「んぉ゙、ゔぇ゙ぇ····かはっ、ぅ゙··ぁ゙····ぉ゙ぼっ、ん゙ぇ····」  虚ろな目で僕の頭をガッシリと掴んで、容赦なく喉奥を責める。大地さんのお友達が突っ込んでいるのを見たからだろうか。同じ様に、乱暴な捩じ込み方をする。  けど、大きさが違うのだから、それに伴って苦しさも辛さも桁違いなのだ。 「わりぃ。1回口で抜いてくれ。完勃ちしたまま突っ込んだら危ねぇからな」 「さっくんさ、それ口でも辛いと思うよ? あんま乱暴に奥まで突っ込んじゃダメだかんね?」 「けどさっき、こんくらいされてたぞ」 「お前とじゃサイズが違いすぎんだろ。結人が息できてねぇわ。落ち着け、アホ」 「おぁ、結人悪ぃ。大丈夫か?」 「ゲホッゲホッ····らいじょ··ぅ····」  朔は慌てておちんちんを抜いてくれた。僕は全然構わないのに。息ができなくたって、喉が壊れたって、皆が僕を求めてくれるのなら何だっていい。 「朔、もっと····朔のおちんちん、食ぇたい····」 「ん。それじゃ苦しくないトコまででいいからしゃぶってくれるか?」 「やらぁ。息れきにゃいくらいのがいぃ····。壊れてもいいから、朔の(しゅ)きに喉使(ちゅか)ってぇ」  我ながら、後先を考えずに言ってしまったとは思う。けれど、本当に壊れてしまってもいいと思ったのだ。  知らない誰かに壊されるくらいなら、大好きな皆に壊されてしまいたい。こんな歪んだ想いが伝わったのか、朔も八千代も同時に激しさを増した。

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