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酔っぱらいだって····
朔に『好きに喉を使って』だなんて、我ながら後先を考えずに言ってしまったとは思う。けど、本当に壊れてもいいと思ったんだもん。
知らない誰かに壊されるくらいなら、大好きな皆に壊されたい。そんな僕の想いが伝わってしまったのか、朔も八千代も同時に激しさを増した。
2人は容赦なく僕を壊そうとする。りっくんが止めているようだが、耳がボワーッとしてよく聞こえない。
そして、僕はその直後に意識を失ってしまった。
タンッタンッと、小気味良いリズムで快感が打ち込まれている。ナカに居るのは八千代だ。覆い被さるようにして抱き締められている。肌と肌が触れ合っているのが凄く心地良い。
気絶する前とは打って変わって、とても優しいセックス。僕を愛でるように頭を撫で、浅い所を擦っている。
「はぇ····八千代 ····」
「お、起きたか。お前、寝ながらイキっぱだったけど大丈夫か?」
「んっ、らいじょぶ····あっ、はぁ··ン、あぁっ」
心配しつつも、突くのをやめない八千代。状況がわからない。
まだ少し、頭がフワフワしている。お酒の所為なのか、えっちの所為なのかは定かではないが、とても気持ちが良い。
「あぇ? 朔は?」
「あー····今ベランダで頭冷やしてるよ」
りっくんが、ベランダへ視線を送りながら言った。どういう事だろうか。
「朔··ろうしたの?」
ベランダの方を見ると、ガラスに映る啓吾が見えた。ほっぺに湿布を貼っている。
「んぇっ!? 啓吾、ほっぺろうしたの!?」
「ぁはは····。朔に殴られちった」
啓吾は、にへっと笑って誤魔化そうとする。キレた朔に思い切り殴られたのだと、りっくんが呆れ顔で教えてくれた。よく見ると、部屋が少し荒れている。
「ら、大丈夫 ? ほっぺ··ひぁっ··やちぉ、待って」
「待たねぇ。アイツのは自業自得だからな」
なるほど。アレがバレたのだろう。
それならば、僕だって共犯だ。拒否しきれず流された挙句、快楽に身を委ねて共に愉しんだのだから。
「らったら僕も、朔に殴らぇてくるぅ!」
「「なんでだよ····」」
啓吾と八千代が声を揃える。僕も共犯だというと、それは違うと諭された。流されやすい僕を、誑かした啓吾が悪いのだと言う。
いやいや、そんなワケないじゃないか。皆の感覚がおかしいとは思っていたけれど、よもやここまでとは····。
「皆 バカなの? どう考えたって、僕も同罪 れしょ」
「大畠は見られてんの分かっててヤッたんだろ。俺らはお前を守んのが最優先なんだ。なのに、流されんのを利用してヤリたい放題ヤッた挙句、結人が危険な目に遭ったんだぞ。今回ばかりは許せねぇ」
ベランダから戻った朔が言う。朔の言う事は尤もだ。けど、やっぱり僕にだって責任の一端はあると思う。
状況を聞くと、僕が気絶している間に、啓吾は自分から今回の件を告白したそうだ。
話し終えると、ひたすら謝っていたらしい。けれど、激高した朔が気持ちを抑えられず、ついに手が出てしまったそうだ。
啓吾がどう説明したのかは知らないが、やはり僕も一緒に怒られるべきだと思う。
八千代が、僕の奥で静かに沢山射精し終えるのを待ち、僕は皆に思いを伝える。
「あにょね、僕も一緒にえっち愉 しんらんらよ? 流されちゃったけろ、受け入れたのは僕にゃんらよ? なんれ僕は怒られないの?」
「所構わずヤッてたのは良くないけどな。1番重要なのは、バレてんのがわかってんのに続けた事だ。そん時にちゃんと対処してりゃ、あんな事にはならなかったかも知れねぇだろ」
それは概ね、朔の仰る通りなのは分かる。
だけど、所構わずえっちをした事に関しては、僕も怒られるべきだろう。そう伝えると、りっくんに滾々 とお説教された。
そして、あらかた話終えると、今度は意味のわからない事を言い出したりっくん。
「ゆいぴさ、そのえっちな目やめて。さっきから上目遣いでうるうるさせてんの、お説教しにくいからホントやめて」
「そんな目してない····」
「してる··よ····。なんで今ちんこ見たの?」
「またおっきくなってるなぁって····。ぁ····ごめんなしゃい」
指を咥えて言ってしまい、ハッとして謝る。すると、何かが吹っ切れたかのように、りっくんの雰囲気が軽くなった。
「わかった。酔ってるゆいぴに何言ってもムダだったね。······せっかくだし、ゆいぴがしんどくないなら楽しもっか。夏休み最後の“朝までえっち”ね」
「朝 まれえっち····してくぇうの?」
「はぁぁぁ〜〜······。その代わりさ、俺らの耳元でえっちな事言って煽って」
「「「「····は?」」」」
「もうさ、なんかバカらしくなってきちゃった。ゆいぴは酔ってて何言っても分かってないだろうし。たぶん朝には殆ど忘れてるんでしょ? それに、啓吾と朔がギスギスしてたらゆいぴが泣きそうだし」
「それは俺が悪いから····。マジでごめん」
「啓吾がヘコんでのが1番気持ち悪いんだよ」
「確かにな。バカだバカだとは思ってたんだから今更か。けど、今度やらかしたらマジで場野に締めてもらうからな」
「俺よかお前のが容赦ねぇだろ····」
「俺は一発で済ませたぞ。それもかなり軽めだ」
「え。啓吾吹っ飛んでたけど、あれで軽いの?」
人を吹っ飛ばすような軽いパンチって何だ。朔の“加減”は恐ろしいのがよくわかった。
「んで莉久、耳責めろって何だよ」
折角、話が逸れていたのにわざわざ戻すなんて、八千代のバカ····。
「ゆいぴに誘われたくない? 酔ってる時しかやってくんないよ? あと、そういうお仕置き」
「今の結人でお仕置きになるのか?」
「まぁ、酔ってるから積極的にはなってるし、恥じらいも薄いけどねぇ。それはそれで貴重だから良くない?」
という事で僕は、順番に皆の耳元でえっちなお誘いをする事になった。そして、皆はそれに耐えるという、理解不能な我慢大会が始まった。
僕にホイホイ煽られない特訓なんだそうだ。本当に、おバカしか居ないんだから····。
まずは言い出しっぺのりっくん。
座って待つりっくんに股がり、首に手を回して耳元へ唇を這わせる。そして、吐息混じりに言葉を流し込む。
「ねぇ、りっくんも僕の声だけでイってほしいな····」
早くも、りっくんのおちんちんが跳ねる。お尻に当たるそれを感じ、普通に欲しくなってしまった。
「ねぇ、莉久····やっぱり僕のナカれイッてほしんぁっ、おっぱい触っちゃらめぇ」
「おい、触んのなしだろ。全然耐えれてねぇじゃねぇかよ」
八千代が言うと、りっくんは顔を覆って後ろへ倒れ悶絶した。
「あぁぁぁんなの耐えらんないってぇぇぇ!! 無理だってぇぇぇ!!」
言い出しっぺのくせに激弱だ。
「あっはは! りっくんちょろ〜い」
「んじゃ、次俺ね」
まだ少し落ち込んでいて静かな啓吾。ここは、僕が一肌脱いで元気づけてあげなきゃ。
「けーいご♡ 啓吾のおっきぃおちんちんれぇ、ガン掘りして濃い雄汁いーっぱい飲ませて? ンやぁっ、お尻揉んららイッちゃうよぉ」
「くっそ····こんなん我慢できるわけないじゃん! 耳元で言われんのヤッッバッ!!」
啓吾は叫びながら僕のお尻を揉みしだく。少し元気が出たみたいだ。啓吾に教えてもらった誘い文句が役に立った。
僕は後ろから八千代に回収され、半回転して膝に乗せられる。膝で僕のおちんちんを刺激しながら、後頭部を持って耳元に寄せた。
「八千代····んっ······」
僕は、八千代のおちんちんを握って言う。
「おっきぃの早く欲しい····。これ、僕のおちんちんらよね?」
そして、耳輪をはむっと食べてみた。八千代は僕のお尻を開き、アナルに亀頭を押し当てる。
「おい。挿れるなよ」
朔が、八千代のおちんちんを握って制止する。
「ぉわっ!? 何握ってんだよ!」
「わりぃ。けど、俺だって握りたくて握ったんじゃねぇ。気持ちわりぃ····」
「テメェ····勝手に握っといて何だよその言い分は····」
「挿れようとした場野が悪い。よし、次は俺の番な」
朔は僕を抱き上げ、お姫様抱っこの様に抱えて胡座に収める。僕は、コソコソ話をする様に囁く。
「朔、あのね、朔のおちんちん食べていーい? おっきぃので僕の喉奥、また潰 してほしぃな♡」
朔は僕をベッドに降ろすと、そそくさとズボンのファスナーを下ろす。
「はは、みんな惨敗だね。ゆいぴ強すぎだよ····」
「んぇ? 僕強 いの? やったぁ〜」
「結人、誰のちんこから欲しいんだ? 今日はお前の我儘全部聞いてやるぞ」
朔は僕に覆いかぶさり、頬に唇を這わせながら言う。聞いておいて、自分が挿れる気満々なんだ。
「順番はジャンケンらねぇ」
「····ふはっ。ジャンケンか。選んで強請んねぇのかよ」
朔が笑っている。刺々しい雰囲気が少し和らいだ。僕は、それに安心して両手を伸ばす。
「ん? 俺からでいいのか?」
「朔がね、もう怒ってない」
「あぁ····、そうだな。わりぃ。怖かったか?」
「ちょっとらけね。そぇより、朔と啓吾が仲直りれきなかったらどうしよって······」
不安が溢れ出したのか、安心したからなのか、涙が勝手に溢れてきた。朔はそれを優しく拭ってくれる。
「すげぇムカつくし、今後の行動次第だけどな。別に仲違いするつもりはねぇぞ」
「そっか。良かった····。あのね、僕も気をつけるね。ホントにごめんな··しゃ····ぃ」
突然、ふわっと眠気に襲われた。
「結人? どうした!?」
「眠い····」
「え、おい····嘘だろ······」
朔の落胆する声を最後に、僕は眠りについてしまった。
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