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僕と猪瀬くん

 もっともっと八千代が欲しいと伝える。すると、八千代はぢゅぽんっと勢いよくおちんちんを抜いて、僕の片足を持って半回転させた。  背中がベッドに落ちたところに、八千代がどちゅんっと入ってくる。一突きで奥を貫かれた。  目がチカチカして、声が出せないくらい深くイッている。吐くどころか、息をする余裕もない。 「猪瀬、お前もこんくらい強請ったれや。女抱いた事あんだったら分かんだろ。強請られて犯し潰してぇってのよぉ」 「わ、分らなくはないけど····」 「あぁ····、()()()()じゃ微妙なんか。ンなら神谷が上手く強請らしたれや。それよかテメェ、さっき結人に強請らせるとかほざいてたん聞いてたからな」 「うへぇ〜地獄耳ぃ」 「しょうもねぇやり方してんじゃねぇぞ。折角勉強しに来たんだろ。甘い方の強請らせ方も教えてやっから、しっかり覚えて帰れや。んで2度と来んな」 「あざまーす。来なくていいように頑張りまーす」  八千代が、猪瀬くんと冬真に何かを話している。だけど、快感を留めないようにするので精一杯だから、内容まではよく分かんない。  そんな中、八千代が大きくピストンし始め、僕の頭を撫でながら耳元で話しだした。 「結人、俺の事好きか?」 「んぁぁ··(しゅ)きぃぃ♡」 「俺にどうして欲しいか言えんだろ? 言えたらご褒美な」 「はふっ··言えぅ····」  僕は、八千代にギュッと抱きついて続ける。 「よちよちしにゃがら、ゆっくりじゅぽじゅぽさぇぅの()きぃ····れもね、首()めらぇてお(にゃか)(こぁ)しゃぇたい。八千代にね、えっちにゃ顔でイジめらぇたい」 「ふはっ··、くっそドMだな。ぅし、首輪外して絞めてやっからな」  結腸口をグリグリしながら首輪を外し、啓吾に投げ渡した。そして、大きな手で首を覆い、グッと力を込める。けれど、まだ息ができるやつだ。  下腹がキュンキュンしてイクのが止まらなくなると、指で顎の下をキュッと絞める。これが息のできないやつだ。  僕の首を絞める、八千代の筋張った手首を握るのが好き。ふわっとして限界だいうタイミングで離し、空気を吸い込むとまた絞める。それの繰り返し。   「すっげ。結人まだ噴けんだ」 「結人ねぇ、ちんこでイけなくなったらケツでイキっぱか、ずーっと噴いてるよ。超可愛いだろ」 「駿もできるようになるし。なっ?」 「んぇー····。そんなの分かんないよぉ。えっと····冬真がそうしてくれる··ん、だよね?」 「よっし駿、ケツ向けろ」 「えっ、まだヤんの!?」 「今ので勃った。駿が悪い」  冬真達の2回戦始まったようだ。僕は、もうすぐ死んでしまいそうなのに。 「八千代(やじぉ)····死゙にゅ····も··イキしゅぎへ()んじゃぅ····」  僕が限界を伝えると、八千代は僕の耳に口付けてこう囁いた。とびっきりの甘い声で、僕の脳髄を蕩けさせるように。 「イかせ殺してやろっか?」 「ひっ、んあぁぁっ! やらっ、しょんな事言っちゃらめぇっ♡ やぁぁっ、勝手にイッぢゃう··ひあぁっ、イクの止まんないよぉっ!」 「うぁ、ナカすっげ····んなに良かったんかよ。んぁ、クソッ····イキ過ぎだろ····ンッ、出る····」  八千代が僕のナカで長い射精を終える頃、冬真達の2回戦も終盤を迎えていた。 「駿は俺に優しくされたい? 酷くされたい?」 「ふぇ····ど、どっちも··?」 「我儘かよ。けどそっちのが好き。駿もさ、いっぱい我儘言えるようになれよ」 「んぁっ、頑張ぅ····。冬真、奥もっと解して····それからいっぱい奥シて」 「おーっけぇ〜」  冬真は猪瀬くんの片脚を肩に乗せ、腰を押し付けて奥を抉っているようだ。けど、あれはたぶん解してあげているのだろう。  猪瀬くんの声が甘くなったら、奥を抜いてぐぽぐぽし始めた。猪瀬くん、気持ち良さそうだなぁ。  僕がベッドに横たわって2人を見ていると、不意に冬真と目が合った。 「なに? 結人もシてほしそうな顔しちゃってさ。羨ましい?」 「そうだよなぁ。シてんの見てたらシたくなるよな〜」  なんて、ご機嫌な啓吾がやってきて、僕を四つ這いにすると猪瀬くんと向かい合わせた。何この状況····。 「うわ〜····思ってた以上に絵面やべぇな」  啓吾がナカにねじ込みながら、何かに感動したような言い方をした。何が“やべぇ”のだろうか。 「駿と結人さ、手繋いでみてよ」  冬真に言われ、僕と猪瀬くんはわけも分からないまま指示に従う。2人して上体を起こされ、支え合うように手を繋いだ。  僕がみんな以外と手を繋いだら、妬くんじゃないのかな。八千代が怒りだしたらどうしよう。とか思っていたのに、予想外の反応をされた。 「うっは♡ めっちゃイイ眺め」  冬真が凄く興奮した顔をしている。めちゃくちゃえっちだなぁ。なんてぼんやり見ていたら、2人ほどヤキモチを妬いてしまった。 「武居、あんま冬真見ないで····」  猪瀬くんが、とろっとろな顔で言う。 (うわぁ····猪瀬くん、すっごくえっちだぁ····) 「そーそっ。結人の相手は俺だろっ」 「んあぁっ!! やらっ、啓吾ぉ··ひぁ····んぅっ、奥(ちゅぉ)いぃっ」  啓吾が感情に任せて、ナカをぐちゃぐちゃに掻き回す。僕は視線のやり場に困り、とりあえず目の前の猪瀬くんを見つめた。 「ご、ごぇんね。冬真、見ないよ··に、すぅからぁっ····」  僕も猪瀬くんも、喋る余裕なんかなくなって、啓吾と冬真がイクまで突かれ続けた。2人とも容赦なく奥を抉るから、イキっぱなしで手足も腰もガクガクだ。僕が猪瀬くんに寄り掛かると、りっくんが冬真の後ろからバカみたいに連写していた。  その間もりっくんたちは、“嫁同士の絡みがエロい”だとか“キスは嫌だけど、触りっこくらいなら”だなんて、ワケの分からない事を言っていた。  啓吾と冬真が、好き放題にナカにぶち撒け終えるのを待ち、僕と猪瀬くんは力尽きた。  呼吸を整える間に、りっくんが後処理をしてくれる。指1本動かせなくなった僕を、甲斐甲斐しくお世話してくれるのだ。冬真も然り。猪瀬くんを介抱している。  そして、座る余裕ができたら、八千代が入れてくれたホットココアを啜る。ついでだと言って、猪瀬くんの分も用意してくれた。心まで温まる。僕は、八千代をチラッと見て『自慢の彼氏だなぁ····』と心の中で呟いた。  自力ではフラついてしまうので、朔を背もたれにしている。朔の胡座にすっぽりとハマって、これが存外居心地が良い。  じゃない。皆に文句を言うんだった。 「ねぇ、こういうのはね、事前にちゃんと話してほしいんだ。急に始められたら、心の準備とかできないでしょ」 「お前、心の準備なんかさせたら実行するまでに何週間も掛かるだろ。待てねぇ」 「····朔のばぁか。ばーかばーか」 「ふっ····バカでわりぃな」 「なんで笑ってんのさっ! 僕、怒ってるんだからね」  僕が怒れば怒るほど、場の空気が和んでゆくのは何故だろう。解せない。  気を遣って、猪瀬くんが何度も謝ってくれる。けれど、他の皆は謝るどころか、悪びれた様子もない。  僕が唇を尖らせ、(だんま)りを決め混んでココアを飲んでいると、朔が耳や肩に唇を這わせて謝ってきた。 「わりぃ。今度から、ちゃんと結人に許可貰ってからする。だから、機嫌なおしてくれ」  狡いや。そんな甘い謝り方をされたら、まんまと許してしまうじゃないか。 「今度僕に黙ってこういう事したら、またケーキバイキングに連れてってもらうからね」 「それで許してくれんのか? なんなら毎日連れてってやろうか?」 「毎日悪さするつもりなの?」  朔はキョトンとして、ふわっと笑みを零した。 「ふはっ、そうなっちまうな。大丈夫だ。もう怒らせねぇように気をつけるから」  僕が許すと、朔は首の付け根を噛んで痕をつけた。なんだか気分が昂ったらしい。相変わらず、タイミングが読めないや。朔らしいけど。  満足した冬真は、シャワーを浴びると猪瀬くんを連れて帰った。そのまま、ぶらっとデートをして帰るんだとか。もうすっかり仲が良くて、これまでの2人を思うと僕は安心した。  それはそうと結局、僕はお強請りのお手本なんてできていたのだろうか。今日も今日とて、ふわふわしだしてからの事はあまり覚えていない。  頭上で朔がご機嫌にコーヒーを啜っている。片手で僕の腿裏を撫でながら。なんだか変態っぽい。  言ってもやめてくれないので、僕は枕を抱き抱え、八千代の匂いを堪能する。そういえば、カラオケで猪瀬くんが気になる事を言っていたっけ。 *** 「冬真がさ、俺の事好きか分かんないとか言っといてさ、ピロートークすげぇの。俺もあんな甘いのした事ないわ····」 「ピロー····トーク······」 「え? 啓吾達にされないの?」 「····って、何?」 ***  なんて話をして、ピロートークについて教えてもらった。けれど、そこで疑問がひとつ浮かぶ。  猪瀬くんの説明によると、事後の甘いやり取りの事らしい。けど、それだと事後じゃないってだけで、普段の会話と変わらないような気がしたんだ。  日常的にピロートークをされているという事なのだろうか。僕1人では、いくら考えても分かりそうにないので、思い切って皆に聞いてみる事にした。 「あのね、皆いつもね、あの····普段の会話とかで、その····ピロートークしてるの?」  八千代はコーヒーを吹き、啓吾はお菓子を喉に詰めた。りっくんはスマホを落としてしまい、それに構わず僕をガン見する。 「ゆいぴ、ピロートークって何か知ってるの?」 「うん。猪瀬くんに聞いたよ。それってね、いつも皆と話してる時がそんな感じだよって言ったら笑われたの。なんでだろ····」 「ゴホッゴホッ····お前がアホだからだろ」 「ゆいぴ、今度ちゃんとピロートークしてあげるから····」 「え、いつもと何か違うの?」 「それは····まぁ、してみりゃわかんじゃね? 説明ったって、よくわかんねぇよなぁ」 「だね。場野は絶対した事なさそう」 「あ? ったりまえだろ。んなもんねぇわ」 「俺も無いぞ」 「いや俺も無いからね!? ゆいぴ以外との甘い時間とか耐えらんないから」  どうやら、啓吾以外のハジメテを貰えるらしい。なんだかよく分からないけれど、皆との甘い時間は楽しみだな。

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