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これが噂の····
今日は八千代と朔に、沢山幸せだと感じてほしい。だから、僕にできる事は、ひとつでも多くしたい。
そんな気持ちを素直に伝えられた。それを聞いて、真っ赤になった八千代。僕を抱き起こすと、観念したように後ろへ倒れ込んだ。
そして、指を絡めて固く手を握る。
「う、動くよ?」
「無理すんなよ。足、もう力入んねぇんだろ」
「大丈夫だもん。朔、後で朔にも何かさせてね」
僕が朔を見てにへらと笑うと、嫉妬した八千代が突き上げた。
「んあぁっ」
「ぉら、動いてくれんだろ? 頼むぜ」
僕を見上げる八千代もえっちだ。熱の籠った瞳。見つめられるだけでイッてしまいそうなのに、これから動かなきゃいけないんだった。
一生懸命腰を振るが、それほど動けている気がしない。意図せず、自重で奥をグリグリしてしまう。もう、何度イッただろうか。手にも力が入らなくなってきた。
眉間に皺が寄る。上手く息ができなくて苦しい。動くのに必死過ぎて、八千代の顔を見る余裕もない。
こんなので、八千代は気持ち良くなってくれているのだろうか。不安で胸が押し潰されそうになる。
なんとか目を開けて 、恐る恐る八千代を見た。その瞬間、手でべチッと目を覆われる。何故だ。
片手を離された所為でバランスを崩し、八千代の胸へと落ちた。
「八千代 ····なんれ、手··離すのぉ」
「わりぃ。後は俺が動いてやっから、そのままヘバってろ」
「やらっ」
「嫌って··お前なぁ····」
僕は、自力で上体を起こし、再び手を握って自ら動く。
「八千代 ····気持ちぃ?」
「ん、気持ちぃ。から喋んな。お前が上で跳ねてんの、視覚的にやべぇつってんだろ」
「へぁ····? イきそう?」
「気張ってねぇとイクかもな」
「ん··へへ····イカせてあげる♡」
気合いを入れて、深い所まで挿れてみる。そして、ベッドのバウンドを利用して、八千代のおちんちんをお尻で扱く。
八千代が、声を漏らし表情を歪める。イきそうなのだろうか。もう少しだ。そう思った瞬間だった。
「あんま調子に乗ってんじゃねぇぞ。イかせんのぁ俺だろ」
そう言って、八千代は繋いでいる手を引いて僕を倒し、お尻を鷲掴んで下へ押さえつけた。激しい突き上げで、僕は八千代の胸にへたり込んで動けない。
「やら、僕が動──んあぁあっ!! あぁっ、やっ、ふ··んぅ、八千代 、激しっ··ん゙ん゙ん゙っ!!」
「結人、イクぞ。ナカ、俺でいっぱいにしてやっからな····んっ、出る····」
本当に、今日はいつもより甘々で優しい。耳に心地好 い、蕩けるような言葉を蜜度 たっぷりで囁いてくれる。
出し終えても離してくれない八千代。僕を隣に寝かせ、腕枕をしてくれる。りっくんと啓吾はゲームをしていて、今日はえっちをする気がないようだ。
「結人、気持ち良かったか?」
「んぇ····」
いつもはそんな事聞かないのに、どうしたのだろう。
「気持ちかったよ。苦しくなくても、いっぱい気持ちかったの」
「ふはっ、そうか。んなら、たまにはこういうんも悪くねぇな」
「そうだな。時々は、甘くシてやんねぇとな」
朔が後ろに張りついてきた。
「ぁんでお前まで腕に乗ってくんだよ。降りろ」
「結人の隣に来たら腕があったんだからしょうがねぇだろ。俺だってお前に腕枕なんかされたくねぇぞ」
「なら降り······クソッ、今日だけだぞ」
「ふっ··揉めてる場合じゃねぇもんな。なぁ結人、俺とのセックスも良かったか?」
「んへへ····。気持ちかったよ。朔のおちんちん大っきいからね、ゆっくり入ってくるだけで凄いの」
「そうなのか。結人が満足してくれてんならいいんだ」
えっちの感想なんて、今までほとんど聞かれた事がない。何か、不安に思う事でもあるのだろうか。
「僕のほうが不安だよ····。いつもすぐヘバっちゃって、みんな遠慮してくれてるでしょ? 満足できてないんじゃないかなって····」
「んなこたねぇよ。お前がヘバってようが、勝手に抱き潰してっしな。お前はそれで大丈夫なんか?」
「うん。気絶するくらい気持ちぃの、好きだよ」
「ん、ならいい。いつも無理させてわりぃな。もっと大切にしてやりてぇのに」
八千代が、僕を見つめて前髪を後ろへ流す。そして、とても優しく微笑んで、頬に手を添えた。その手に、僕の手を重ねる。大きいなぁ。
「結人見てると、ついついヤリすぎちまうんだ。なまじ、結人が強 ぇから甘えてるんだろうな。まぁ、可愛すぎる結人も悪いんだけどな」
「ははっ、んだそりゃ。反省する気ねぇだろ」
朔はずっと、後ろから項にキスをしている。どうやら止められないようだ。
「んはは。朔、擽ったいよぉ」
「擽ったくねぇの、シてやろうか?」
擽ったくないのって何だろう。そう思うと同時に、朔は僕の首に吸いついた。なるほど、これなら擽ったくはない。
「んぁ····」
何度も何度も吸いつく。背面が弱い僕は、それだけで軽イキしてしまう。
僕の身体が跳ねると、八千代もスイッチが入ったらしく瞼にキスをしてきた。そして、久々にアレをされる。
「目ぇ開けろ」
八千代は親指で瞼を軽く押さえると、眼球をべろんと舐めた。腰から肩まで、ゾワゾワが走り抜ける。
「ふ····ぁ······ひゃぁ」
「ふっ··しょっぺぇの」
やらしく笑って、僕の頭を毛布の中へ押し込む。しゃぶれという事だろうか。それならば、試してみたい事がある。
奥までしゃぶって、ぬるぬるしたのが出たら手で扱く。そして、扱きながら玉を舐める。結構難しいな。
「んっ····それも漫画か?」
「違うよ 。啓吾だよ 」
「大畠はロクな事教えねぇな。結人が俺らを喜ばせたら、どうなるか分かってて教えんのが良くねぇ」
と、言いながら朔は、僕のお尻におちんちんをねじ込む。さっきよりも大きい。
「朔 ····挿れたら しゃぶれないよ ぉ」
「お前の可愛いケツが目の前にあるんだぞ。挿れねぇわけねぇだろ」
ワケの分からない事を言って、容赦なく動き始めた。八千代はおちんちんを喉にねじ込む。
あれ? 優しいのはもう終わりなのかな。
「まだ途中だったのにな。あのまま寝かせてやるんじゃなかったのか?」
「うるせぇ。お前が結人にちょっかいだしてっからだろうが。あんなビクついてんの放っとけるかよ」
「わりぃ」
“途中”って、何の途中だったのだろう。さっき、何かしてたっけ。
気になるけど、聞ける状況じゃない。そろそろ息が限界だ。
「喉締めろ。出すぞ」
八千代の精液を喉で直接飲む。味が分からないのが残念だ。
続いて、朔もラストスパートをかける。
「奥抜いて出すぞ」
そう言って、奥を抜いてぐぽぐぽしながらイッた。この2人の短期決戦は重みが違う。回数とかの問題ではなく、1度でもうイケないと思うくらい深くイッてしまうのだ。
「朔····抜かないの?」
「ん? あぁ、抜きたくねぇ····」
朔は挿れたまま、僕を抱き締めて眠ってしまった。嘘でしょ····。
「八千代、朔どうしよう。このままじゃ、僕のお尻開いたままになちゃうかも····」
平常時でも、僕が勃った時より大きい朔のおちんちん。こんなのが朝まで入りっぱなしだなんて、考えただけで恐ろしい。
「そのうち抜けんだろ。嫌だったら自分で抜けよ」
「えぇ〜····」
自分で抜くのは、寂しいから絶対に嫌だ。僕にはそんな事できない。仕方がないから諦めよう。流石に、寝ているうちに抜けるだろう。啓吾が挿れっぱなしだった時も、朝には抜けていたのだから。
僕が諦めた事を察した八千代。小さく笑ってから心配された。
「ケツ、大丈夫なんか? 苦しくねぇの?」
「圧迫感はちょっとあるよ。けど、なんか気持ちぃの」
「お前、んっとに俺らの事好きだな。普通はどうか知らねぇけど、入ったまま寝るとか嫌なんじゃねぇの?」
「だって、抜くの寂しいんだもん····」
そう言うと、八千代はおデコをくっつけて、見つめ合いながらそぅっとキスをしてくれた。唇を、ぢゅっと吸うだけの優しいキス。とても温かい。
(また、僕ばっかり幸せにしてもらっちゃってる····。僕も幸せにしてあげたいのになぁ····)
そして、眠りに落ちる瞬間、猪瀬くんから聞いたアレを思い出した。
(もしかして、あれってピロートークだったのかな····。だとしたら、今度はりっくんと啓吾ともしたいな。すごくあったかくて気持ちぃや······)
そんな事をぼんやりと考えているうちに、僕も眠ってしまった。
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