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八千代の番だ
大学生活が始まって1ヶ月。少しずつ生活リズムが安定してきて、勉強にも集中できるようになってきた。
八千代と朔は、学部が違うので講義が被ることはほとんどない。その分、同じ学部のりっくんと啓吾がぴったり張りついている。
大学構内では、八千代と朔に会うこともあまりない。その所為で、八千代の家に行くと構い倒される。
そんな中、啓吾とりっくんが順にお泊まりを終え、八千代の番がきた。真尋対策だったとはいえ、朔だけ泊まったのが狡いだなんだとゴネられ、本当に全員泊まることになったのだ。
父さんも母さんも、皆のヤキモチには呆れていたが歓迎してくれた。ということは、レアな大人しい八千代が見られるのだ。
親の前だと、借りてきた猫の様に静かで、無駄に大人っぽくなる八千代。凄くカッコイイから、ドキドキして心臓がもたない。
「すんません。風呂、お先にいただきました」
「あら場野くん、丁度良かったわぁ。ちょっとこっちにいらっしゃい」
「はい、なんスか」
「こーれ。結人の赤ちゃんの頃の写真。見る?」
テーブルいっぱいに広げられたアルバム。僕がトイレへ立った隙に、またやられた。そして、食い気味に返事をする八千代。
「見ます」
「えぇっ!? やだよ! そんなの見せないでってばぁ····」
朔と啓吾の時にもやられたのだ。だから、警戒して母さんに張りついていたのだが、また阻止できなかった。
「あらぁ、いいじゃない。場野くん、凄く嬉しそうよ。それに、場野くんにだけ見せないなんて不公平でしょ〜」
とても楽しそうな母さん。その通りなんだけどね。八千代にだけ見せなかったら、とんでもなく拗ねるだろうから。
そして、すっごくニマニマしながら席に着く八千代。早く僕の部屋でイチャつきたいと、さっき耳打ちしてきたくせに。
「ふはっ、すげ。あんま変わんねぇ」
「なっ··凄い成長してるでしょ!?」
「いや変わんねぇよ。すげぇ可愛い」
「なっ··やっ、八千代のばぁぁぁか!」
あまりにも緩んだ笑顔を見せられ、顔面が真っ赤になったのを自覚する。恥ずかしさを掻き消そうと、渾身の悪態をついた。
「こら結人。場野くんに失礼じゃないか」
「ははっ、大丈夫です。いつもの事なんで。それに、これ以外の悪口知らないみたいなんで」
「もう! 他にもいっぱい知ってるもん!」
皆して、僕を揶揄って笑う。恥ずかしくて、これ以上この輪に居られない。僕はキッチンで1人、ココアを啜って地獄の時間を乗り切った。
羞恥を耐えきり、漸く2人でベッドに入る。
壁側に追いやられ、少し火照った身体を寄せ合う。まだ4月だと言うのに暑くて、ブランケットすら掛けられやしない。
僕はモジモジしながら、八千代の誘導で腕に頭を乗せる。それぞれと、初めて過ごす2人きりの夜は緊張から始まった。今回も例外ではなく、慣れた腕枕ですら落ち着かない。
「ねぇ八千代····」
「ん?」
「狭いね」
毎度思っていたが、男2人で寝るベッドではない。いくら僕が小さいといってもだ。
朔と八千代は特に大きいから大変で、ベッドの半分以上を占めている気がする。八千代が少しでも広く寝られるように、僕はギリギリまで壁に寄った。
「だな。けど、離れんな」
そう言って、僕を抱き寄せる。せっかく寄ったのに。
「んへへっ」
仕方がないから八千代の胸に擦り寄って、鼻を胸に埋 め、雄臭い八千代の匂いを吸い込む。これだけで、いつもお尻がきゅんきゅんしてしまう。
八千代は僕の髪に口付け、ゆっくりと僕を吸い込む。お互い、何をしているのかと思うけど、これが存外心地良い。
「ちょっとだけ触っていいか?」
「う····ぁ、だ、ダメだよ。絶対声我慢できないもん」
「どうせ、アイツらとヤッたんだろ? な、塞いでてやっから」
「ひぁ··んっ····」
八千代は、キスで僕の口を塞ぐ。熱い吐息が絡み合い、鼓動はどんどん加速してゆく。
本当に念の為、今日も一応洗浄はした。八千代の言う通り、啓吾とりっくんとも結局えっちシちゃったから、八千代も例外ではないと踏んだのだ。毎回、流されないように頑張ったんだけど、全然無駄だったよね。
それにしても、皆同じ口上でえっちに持ち込むのが面白い。それに、どれだけしっかり塞がれたって、出ちゃうものは出ちゃうんだよ。
「八千代 ··待っ····んっ、ぁ····」
「こっち、使えんのか?」
八千代がアナルに指をかけた。お尻を鷲掴んで開き、中指と薬指の腹で穴の周りをクニクニと揉む。
「ひぅ····」
「なぁ、綺麗にした?」
耳元で囁くんだもの。素直になるほかない。
「し、したぁ····」
「俺だけの為に?」
これは非常に厄介な気がする。独占欲が爆発寸前だ。ただでさえ、八千代はそういうのが誰よりも強い。こんな状況で、僕が首を縦に振ったら····。
頭では分かっているのに、八千代の綻んだ表情 が見たい。それだけの為に、僕はバカ正直に答えてしまった。
「うん。今日はね、八千代の為だけに準備したんだよ」
どれだけ口先でシないと言っても、僕だって八千代が欲しい。他の3人の時もそうだったけど、意思の弱さと我儘が理性を飛ばす。
僕の言葉を皮切りに、八千代は甘い仮面を脱ぎ捨て雄の本性を現した。滾ったそれを僕に押し当てる。そして、グッと腰を引き寄せると、再びキスで口を塞ぐ。
僕の熱くなったモノと擦り合わせ、ゆっくり小刻みに腰を振る。僕は堪 らず、自分のものと八千代のおちんちんを取り出す。先走ったお汁で、ぐちゅぐちゅになっている。
それを合わせて握り、一生懸命に扱く。なんだっけ····何とか合わせってやつだ。
「俺がイクまで、イッても手ぇ止めんなよ」
「はぇ····そんなの、んっ····が、頑張りゅ」
お尻でイキすぎて、握る手に力が入らなくなってきている。それに、このガチガチの大きなモノを挿れて欲しくて堪らない。
「や、八千代 ぉ····まだ··イけにゃい?」
「もうちょい。頑張って、な?」
甘い声に耳が痺れる。もうヤケクソだ。渾身の力を込め握って扱く。僕のおちんちんが抜けてしまいそうだ。
「んぅっ····僕のおちんちん··取れちゃう····」
「ふっ····結人、愛してる?」
「んぁ、愛ちてるよっ····愛ちてぅ。八千代 、大好 きぃ」
「んっ、俺も。イクぞ····」
僕は、手で八千代の精液を受け止めた。沢山出たから、零しそうになって焦る。ティッシュも間に合いそうになかったので、慌てた結果、手から溢れそうな分を舐めとってしまった。
これに、興奮が最高潮を迎えた八千代。容赦なく朝まで犯された。僕の家だって忘れてるんじゃないかと思うくらい、激しくて深いえっち。声を抑える為に枕で顔を覆っていたから、酸欠でクラクラしていた。
意識を失ったのが5時くらいらしい。そこでえっちを終え、片付けをしてから僕を抱き枕にして、八千代も眠りについたのだそうだ。
苦しくて一瞬目が覚めた時、身動きが取れなくて驚いた。けど、八千代の温もりと圧迫感が心地よくて、そのままもう一度眠ってしまった。
9時頃、母さんに起こされ目を覚ました八千代。なかなか起きない僕を、指でイかせて起こす。不意に声をあげないよう、手でキツめに口を塞がれている。
「んんっ··!?」
目をバチッと開けて、八千代を探す。秒で見つけた。
僕の股ぐらに座り指を突っ込みながら、狩人 の様な鋭い目で僕のお尻を凝視している。
バチッと目が合うと、雄から彼氏の目に和らげて言う。
「はよ。目ぇ覚めたか?」
「ん゙っ、ふ··ぅぅ····」
快感に支配され、“おはよう”も言えない。そして、八千代は再び雄に戻る。
「もっかいイッとけ」
「ん゙ん゙ん゙っ♡」
起きがけに2回もイかされ、酸欠も相まって身体に力が入らない。こんな起こされ方、家だとめちゃくちゃ困る。なのに、満足そうな八千代を見てしまっては怒れない。
りっくんの時は、口におちんちんをねじ込まれたっけ。文句は言ったけど、その時も怒れなかった。ホント、僕はダメだなぁ····。
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