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そういう事だったのか
僕の足が痙攣し始めると、僕を抱えて起き上がり対面座位の体勢になった。手も足も、朔に抱きつく形で抱えられている。
このまま下からガンガン突き上げられるのかな。なんて思っていたら、ズンッと落とされ自重で限界まで奥へと入ってしまった。
「んな゙ぁぁッ!!? かはっ····ふぎゅぅぅ····」
僕は、朔の肩にしがみつき、少しでも体重を掛けないようにする。が、そんなのは無駄だった。朔は、そこから突き上げたのだ。
お腹、破れてないかな····。
「朔 ぅ····死 にゅ····お゙ぉ゙っ··お゙腹 、壊れ た····ゔぶっ····」
「すげぇな。ここまで入ってる」
朔はお腹の外から、自分のおちんちんの先を指で押してみる。指先でくりくりして、耳元に唇を寄せた。
「本当に壊れたかもな」
だって。バカじゃないの? そんな大変な事を、なんて嬉しそうに言うんだよ。お腹が壊れちゃったら、ご飯が食べられなくなっちゃうじゃないか。
「やらぁ····お腹 壊さ にゃいれぇ····ぉ゙え゙え゙ぇ゙ぇぇ」
ボロボロと大粒の涙を落とし、朔に懇願する。そして、絞り出すように吐くが、もう胃液すら殆ど出ない。嘔吐 くと全身に力が入り震えて締まる。
「ここまで挿れても大丈夫になったんだな。前はここで死にかけてたんだぞ。結人、すげぇな」
今入っている所より、少し下を指で撫でて言う朔。えっちの最中だからだろうか。優しく微笑んでくれているはずなのに、その笑顔がいやに艷麗としていて直視できない。
けれど、褒められたのは純粋に嬉しくて、朔の首筋にキスをする。と言っても、力無く擦り寄っただけの弱い口付け。
それでも朔は、嬉しそうに僕の首筋にキスを返す。顎を持って首筋を差し出させる、強引で雄々しいキスだ。それだけで、お尻がキュンキュンしてしまう。
朔がキスを楽しんでいる間、暇を持て余した八千代が背面に吸いつく。なんだって、脇だとか耳の裏だとか、ちょっと恥ずかしい所を舐めたがるんだ。
一通り舐めて満足すると、僕の髪を軽く掴み、耳元でおちんちんを扱き始めた。くちくちとやらしい音を立て、僕の鼓動を疾 らせる。
「おい、それ··俺にかけたらキレるぞ」
「わーっとるわ。一滴残らず飲ませっから睨むなって。お前地味に目つき悪 ぃんだよ」
静かにそう言って、宣言通り八千代は僕の口に突っ込んでイッた。
そして、苛立った様子の朔が突き始めると、邪魔にならないようさっと引く。
何故、朔が突然苛立ち始めたのかは分からない。それどころじゃないんだもん。
僕の肩を持つように背中を抱き締め、下へグングン押さえつける。そうしながら容赦なく突き上げるんだから、“死んじゃうかも”って文字が頭の中をぐるぐるしている。
「さっくん、それ結人死ぬって。息してる?」
「ッ··はぁっ、わかんね····わり··もうイク、から···ン゙ッ」
大丈夫だよ。かろうじて息はできている。僕、ちゃんと生きてるよ。そう伝えたいけど、朔の漏らす声があまりにえっちだから、その所為で脳髄までイッてるみたいで、嬌声すら零せないんだ。
朔のラストスパートは、誰よりも深くて重い。大きさが規格外だから、当然と言えばそうなんだけど。それだけじゃなくて、そこに愛情と必死さが乗っかって、他の皆ほど余裕がなくて、きっとその分なんだと思う。
朔は、イチャつきながらイクのが好きだ。向かい合うと、大抵キスで僕を殺そうとする。口を塞ぐようにして舌を絡めるから、全く息ができないんだもん。射精が長ければ長いほど、僕は命の危険に晒される。
それはそれで好きなんだけどね。見てるほうがハラハラするんだって、りっくんと八千代に口酸っぱく注意されるんだ。
激しいピストンに加え、力一杯の押さえ込み。そして、トドメの一撃を最奥にくらい、熱い射精を受けながら僕は意識を失った。
目を覚ますと、僕は朔の腕の中に居た。抱き締められて一緒に眠っていたわけじゃない。お姫様抱っこの状態だ。
「ん····朔、ごめんね。しんどくない?」
「ん、大丈夫だぞ。それより、無茶して悪かったな。どこか辛くねぇか?」
「ううん、大丈夫だよ。んへへ··気持ち良かったぁ」
僕が朔の胸に頬を寄せると、りっくんが覗き込んできて言った。
「そうやって俺らに甘いから、いつも滅茶苦茶にされちゃうんだよ? ゆいぴはもっと、しんどいとか辛いとか言って良いんだからね」
優しいりっくん。怒っているのかと思ったらこれだ。愛されてるなぁ。
「あのね、皆にされて辛い事なんかないよ。皆、僕のこと一番に考えてくれてるでしょ。ちょっと無茶しちゃう事もあるけど、僕の身体強いから大丈夫」
胸の前で拳を握り、僕の屈強さをアピールする。と、愕然と項垂れるりっくん。溜め息を吐いて、握り拳に手を添えた。
「えっちもそうだけど、それ以外でもだよ」
「それ以外····?」
「ゆいぴ、なんでこうなってるか覚えてる?」
「んぇー······っと······ハッ!!」
「そう、それね。俺らはゆいぴの本心が聞きたいんだけど。強がりも理屈も常識も要らないからね。我儘も勝手も全部上等だよ」
また、僕に都合のいいように誘導される。けど、それがまた許されるのなら、一つだけ我儘を言ってもいいかな。
「あのね、女の子と··遊ばないでほしい」
数秒沈黙が続き、八千代が呆れた顔で静かにツッコんできた。
「······だけかよ」
「え、他に何かあるの?」
「それは結人しか分かんねぇだろ。他にはないのか? どんな要望でも聞くぞ」
ほら、また甘い事を言う。僕を抱き寄せ、額に頬を擦り寄せる朔。これ以上、何を望めと言うのだろう。
女の子と遊ぶなだなんて、束縛まがいの事を言ってるんだ。鬱陶しがられたっておかしくないのに。
「だったら····もうひとつだけいい?」
「お、なになに? 言ってみ」
「女の子は嫌だけど、男の子とはちゃんと遊んだり交流してね。僕抜きでもいいから。そっちは心配じゃないから」
そう、皆に関しての心配事と言えば、女性関係ばかりだ。それ以外には何もない。
「あぁ〜、そういうね。んー··そっか。そうだよな〜」
「ん? なに?」
「いやさぁ、手っ取り早く諦めさせようと思って女の子と遊んでみたんだよ。そっちどうやって説得するか考えてなかったわ。勢いでいっぺんに撤回すると思ってたからさ」
どうにも啓吾と話が噛み合っていない気がする。これはなんだか怪しいぞ。
「そもそもだけど僕ね、女遊びしてこいなんて言ってないよね? 友達とも遊んだりしたほうがいいんじゃないかなって思っただけだよ。そりゃ新しい友達もできたらいいなって思うよ。けど、大前提として男の子だと思ってたよ····」
「「だよな」」
八千代と朔がハモる。キョドキョドと啓吾が慌て始める。
「え、そうなの? 新しい出会いとかそういうの促進キャンペーン的な事言ってなかった? ほら、場野だってヤキモチがどうのって····」
「コイツ、男と遊んでても放置されっと拗ねんだろ。そこに女絡んだら妬くし。結局っつぅハナシだろ」
「バカ啓吾。そんなバカなキャンペーンみたいなコト言ってないよ。ゆいぴがそんな事言うわけないでしょ。俺らよりヤキモチ妬きなのに。なんで分かんないの? 何を勘違いしたらあぁなるんだよ。ほんっとバカ啓吾。それに巻き込まれた俺の身にもなれよな。妬いてるゆいぴが可愛かったからちょっと便乗したけど二度としないから。可哀想で見てらんなかったよ。だいたいさぁ──」
「りっくん、それくらいにしてあげて? 僕の伝え方も悪かったんだと思うし。まさか、女の子と遊ぶと思わなかったから、変な伝え方になっちゃったんだよ、たぶん」
すごい剣幕で捲し立てるりっくんを、何とか宥めようと言い訳を並べた。でも、なんだか余計に啓吾を責めるような事を言った気がする。
見るからに焦ってヘコむ啓吾。勘違いだったのなら仕方ないし、啓吾らしいと言えば啓吾らしい。それに、素直な啓吾の事だ。何も言わなくたって──
「ごめん、結人。マジで勘違いしてた。ま〜たしょうもない事言いだしたなぁと思ってちょっとイラッとしてさ、妬かせて懲らしめてやろうとか思ってた····。マジでごめんな」
モジモジしながら謝る啓吾。狡いくらい可愛いんだから。そんなに真っ直ぐ謝られたら、怒るなんて無理だよ。と、思っていたのは僕だけだった。
その後も、啓吾はりっくんと八千代からネチネチお説教を受けている。僕と朔は、その間にお風呂デートだ。
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