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燻っているもの

 りっくんと八千代の言い合いになんて興味のない啓吾は、2人を無視して僕の前立腺を潰し続けている。少し痛くなってきたんだけど、それさえも気持ちのだから止めようがない。  それはそれとして、そろそろ奥が切なくなってきた。お願いしたら、奥にくれるかな····。 「啓吾(けぇご)··ね··奥、に、どちゅってちてぇ」 「んっは♡ 奥寂しくなっちゃった? 莉久、もう前立腺いいだろ? 結人可愛すぎ」 「ん、可愛い。いいよ、奥いっぱい抉ったげて。ゆいぴがイクところ、ちゃんと見ててあげるからね。ほら、顔隠さないで」  そう言って、俯いていた僕の顔を持ち上げるりっくん。顎を掴んで、顔を逸らせないようにしっかりと押さえる。  見ていると言ったくせに、キスをするのが我慢できないらしい。時々、貪るように唇を奪われる。  そして、キスの合間に僕の全身を舐めるように見て悦悦(えつえつ)とするんだ。視線で犯されているみたいでゾワゾワする。 「あぁぁ♡ ブジー挿さったままちんちんぷるんぷるんしてるぅ♡ 可愛いよ、ゆいぴ。今抜いていい?」 「らめぇっ! 絶対(じぇったい)いっぱい()ちゃうからぁぁ゙ぁ゙ぁ゙!! やっ、あぁっ、イ゙ッぢゃ··っイグイグイグぅッ!! んあ゙ぁ゙ぁッ」  ダメって言ったのに、ずろろろっと一気に引き抜いた。それも、振動させたまま。りっくんのバカ、そう言ってやる余裕などないのが悔しい。  ブジーと一緒に、奥から()()が引っ張り出されるようだった。それが臓器でも快感でも、もはや何だっていい。 「もうやらぁ····ちんちん、もぉイけにゃい····」 「まだまだこっからだぜ? 今日の結人可愛すぎたからさ、ちんこ痛いくらい元気なの。結人が煽ったんだから責任とれよな」    僕が煽ったと言うが、何の事だか分からない。悪いけど、思い当たる節なんてないのだが。 「僕··今日変な事、言ってにゃい····」 「うん、変な事はね。俺らが喜ぶような事しか言ってない」  嬉しそうに言う啓吾。声から察するに、きっと満面の笑みなのだろう。顔、見たいな。 (んぇっと····えっと··何か言ったかな····ンぁー··ダメだぁ)  奥を突かれながら考えるなんて不可能だ。啓吾が奥を貫き、容赦なくドクドクと熱くしているのだから余計に。  それでも、僕は懸命に記憶を辿る。すると、(たま)りかねた八千代が教えてくれた。 「お前は俺らのもんで、俺らはお前のもんなんだろ」 「んぇ?」 「そ〜れ。あんだけ僕の♡ って言われたら嬉しいじゃん?」  啓吾が勢いよくおちんちんを抜きながら言う。  あぁ、あれの事か。いや、断じてハートはつけていない。それで言うと、僕が煽ったのは啓吾たちじゃなくてミアさんだ。  いや、ミアさんを煽ったつもりもないのだが。僕は、事実を言っただけなのに。  八千代は、啓吾とりっくんから僕を奪うと、仰向けにして下半身を自分の膝に乗せて浮かせた。そして、りっくんから掠め取ったブジーを、再び挿れてくちゅくちゅ上下させる。 「なぁ、俺らはお前のもんなんだろ? ンなら、なんでもお望みのままに、姫様」  八千代のレアな王子様を見られて、僕の心臓がまた跳ねる。まったく、どこの王子様だよ。カッコ良すぎるでしょ。  けれど、純粋にそれを堪能している余裕はない。差し込まれたブジーの隙間から溢れているモノは何だろう。ゆっくりピストンする度に、透明の液体が少しずつ溢れてくる。 「もっ、姫じゃ、にゃいもん、八千代のばかぁ····んっ、もうそれやらぁ····変なの、ンンッ、キちゃう····」  必死で八千代を止めようとしているのに、緊迫感のないりっくんの声が聞こえる。 「ねぇ、俺それ聞いてない····。俺も言われたい! ねぇ朔?!」  ヤキモチを妬いたりっくんが、朔を巻き込んで喚き始めた。面倒臭いなぁ。 「そうだな。俺も言われてぇな」  そう言って、朔が僕の背中を持ち上げて上体を起こす。僕は朔にもたれ掛かり、乳首を弄られる。  僕が小さな嬌声を漏らしていると、上から食べられてしまいそうなキスで口を塞がれた。そして、両方の乳首をぎゅっと潰される。  声が出せない。おちんちんも塞がれているから、何も出せないのが苦しくて、手探りで八千代のおちんちんを探す。  けれど、手が短くて届かない。もう、ドコでイッているのか分からず、目がチカチカして脳の痺れる感覚でイッているのだと自覚する。 「八千代(やちぉ)、ちんち····おちんちん挿ぇてぇ」 「んー··ならもっと甘えろよ」  今しがた『お望みのままに』って言ったくせに。シてくれないんじゃないか。八千代のばか。 「はぇ··? 甘····んぇっ··おちんち、欲しぃ。八千代(やちぉ)のおちんちん、もう僕のらもん! 返してぇ」 「ふはっ、意味分かんねぇ。俺のちんこは俺のもんだろ」 「違うもん! 皆のおちんちんはね、もう僕のなのぉ。僕が欲しぃって言ったらくれなきゃらめなのぉ」  頭の悪い事を言っている気がする。けど、苦しくて早くイキたくて、もうなんでもいいやと思ってしまった。  しかし、こんなの全然甘えられていないじゃないか。これじゃおちんちんを挿れてもらえない。でも、湧き上がる苛立ちで、素直に『ください』とも言えない。そういう気分なのだ。 「いいもん····。八千代(やちぉ)が挿ぇてくぇにゃいんらったら、朔の挿ぇてもらうもん!」 「へぇ····。んだよ、イラついてんな。我儘ばっか言いやがって」  こめかみに青筋を浮かべ、僕以上の苛立ちを見せる八千代。僕の顎を持って、粗雑なキスをする。そして、乱暴に挿入された。けれど、チョロい僕は、それだけでイッてしまう。  どうやら怒らせてしまったらしい。まぁ多分、これはヤキモチだろうけど。 「んっ、八千代(ひゃひぉ)、やぁっ··んんっ!?」  舌を絡めながら唾液を流し込んでくる。熱くて甘い、脳みそが蕩けてバカになっちゃうやつだ。 「どう考えてもヤキモチだろ。ゆいぴ、ミアって子の所為で妬いてんでしょ、可哀想に····。なんで分かんないんだよバーカ」  りっくんがまた悪態をつく。  そうか。僕も妬いてたのか。この苛立ちは嫉妬だったんだ。  自分の中で燻っていた感情が腑に落ち、途端に素直になれる気がした。 「マジか。いや、今日コイツしれっとしてたぞ」  奥をグリグリしながら言う八千代。それに合わせて朔が乳首を抓るものだから、喋れず嬌声を漏らす事しかできない。 「それ、俺が手握ってたからじゃね? ミアちゃんに色々言われてる時とか手震えてたよ」  八千代の動きがピタッと止まる。 「んぇ? 八千代(やちぉ)?」  僕の頬に手を添える八千代。その手に、僕は震える手を重ねて八千代を見上げる。八千代は、凄く辛そうな表情(かお)で言葉を落とした。 「辛かったンか?」  きっと、今の八千代ほど辛くはなかった。そう思えるほど、八千代を見ると胸が詰まる。  ミアさんの勢いや桜華さんの登場もあって、それどころじゃなかったからだろう。自分でも、妬いている事に気づかなかったくらいなのだ。  けれど、やはり嫌だったのは事実。 「うん。八千代(やちぉ)許嫁(そういう人)がいるの、ヤだった。とられちゃうのかなって、不安になったよ」 「アホか。絶対誰にも渡さねぇんだろ? 不安になってんじゃねぇよ」  言葉とは裏腹に、とても優しいキスをしてくれる。そして、そこからは激しくも甘いえっちになった。  僕を安心させる為なのか、それとも機嫌をとる為なのか、時々愛を囁いて身も心も満たしてくれる。不器用な愛情表現が愛おしくて、八千代の頬を包んで引き寄せキスをした。  僕が深くイクと、奥を押し上げるようにゆっくりと挿れてくる。ナカを全体的に擦られて、ビクビク跳ねるのが止まらない。  八千代が甘くなった時にする挿れ方だ。凄く好きだし奥がキュンとして気持ちいいんだけど、“好き”が溢れ出して困るんだよね。 「八千代(やちぉ)、ぎゅぅして。ギュッてして、奥で出して。んっ、好き····八千代(やちぉ)、好きぃ♡」 「お、甘えたな結人だな。可愛い」  朔が僕の耳に沢山キスをする。チュッチュと音を立てるやつ。その音が脳まで響いて、あっちでもこっちでもイッて大変だ。  八千代がナカにぶち撒け、ゆっくりと引き抜く。待ちきれなかった朔が、直後に入ってくる。  そして、激しいピストンと共に耳元で『潰してぇ····』と囁かれ、お腹の底が痙攣するような激しい絶頂を迎えて、僕は気絶してしまった。  目が覚めると、ボーッとしたまま八千代にお風呂へ連れて行かれた。ちゃちゃっと綺麗にしてくれて、それでも頭がスッキリしないままリビングへ手を引かれる。  ホットミルクを入れてもらい、ウトウトしながら啜る。ダメだ、瞼が重くて仕方ない。  目を開けようと頑張っていたら、朔が電話をしている声が聞こえた。 「俺だ。こんな時間にわりぃ。違う、私用だ。なぁ、俺に許嫁とか居ないのか?」  一瞬で目が覚めた。それぞれ、飲んでいたものを吹き出しそうになっている。 「──そうか。ならいい。いや、なんでもない。じゃ」  電話の相手はお義父さんだろう。一体、何を聞いているんだ。 「朔、今のって····」 「あぁ、俺も言ってほしかったんだけどな、俺には許嫁とかは居ないらしいんだ」  しょぼんとして見せる朔。そうか、そう言えばさっき、りっくんと揃ってヤキモチを妬いてたっけ。 「そ··れは····僕としては万々歳だよ。んー······もし、ね、もしもだよ? 朔が誰かに告白とかされたら、その時は僕が断ってあげる。それじゃダメかな?」 「····いい」 「「俺もぉっ!」」  りっくんと啓吾が便乗してくる。予想はしてたけど、声を揃えて同じような勢いで言われると、なんだか面白い。全然似てないのに双子みたいだ。 「いいけど、僕がその場に居たらだよ? ホントにもう····。まずねぇ、告白なんかされないでよね。すっごく妬いていーっぱい拗ねてやるんだから」 「マジで? 明日にでも告られてこよっか?」 「俺も! 秒で告られてくる! ゆいぴはずっと俺と一緒に居てね。5回くらいはゆいぴの勇姿見れそう♡」  どこからその自信が湧いてくるのだろう。て言うか、告白してきそうな人がいるって事だよね。大問題じゃないか。  僕が指摘すると、りっくんと啓吾はあからさまに目を逸らした。どうやら、僕が一緒に居ない時を狙って、未だに声を掛けられているらしい。  早くも拗ね気味の僕に、朔は残念そうな顔を見せる。 「俺は告白もされねぇだろうから、一生言ってもらえねぇ····」 「僕はそのほうがいいんだけど。ねぇ、なんで皆僕を妬かせる方向で考えてるの? 意地悪なの?」 「そういうつもりはないけどさぁ、妬かれたら愛されてるって感じして嬉しいじゃん?」  啓吾の言う事も分かる。分かってしまうだけに、それ以上は何も言えなかった。揃いも揃っておバカなんだよね。  また睡魔に襲われ始めたので、ミルクを飲み終えると八千代の手を引いてヤリ部屋へ向かう。今日は、八千代とりっくんに挟まれて寝るのだ。  とにかく明日、啓吾とりっくんが告白されない事を祈っておこう。

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