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積極的に····
格好がつかず耳まで赤くする朔。覚悟を決めたのか、僕を抱えて布団へ戻る。僕は朔の首に腕を回し、グッと引き寄せて唇を食む。
勇気を出して、唇をチロッと舐める。すると、朔が僕の舌を拾って絡めてくれるんだ。あとは安心して任せられる。
熱い吐息が混じり合い、不意に目が合うとさらに興奮する。より激しく舌を絡められ、僕は反応できなくなってゆく。けれど、もっと朔に応えたくて、今日は舌を引っ込めないように頑張る。
必死になりすぎて息を忘れる。と言うか、する余裕なんてない。息ができなくなると、ようやく唇を離して息継ぎをさせてくれる。
「積極的だな。どうしたんだ?」
「はぁ····ん··、あのね、朔だけじゃないんだよ」
「何がだ?」
「僕だって····こ う い う 事 するの、楽しみにしてたんだからね」
「······はは。そうか、なら遠慮することねぇな」
「え? わっ、んあぁっ····」
布団に押し倒され、唾液で濡らした指を突っ込まれた。さっき挿れた余韻なのか、まだ柔らかいらしい。指3本をすんなり飲み込んだ。
「ね、朔··、大丈夫だから、もう挿れて?」
「あのな、お前にそういう強請られ方すると、それだけでイッちまいそうになるんだ。だから、あんまり可愛いのは勘弁してくれ」
「な、ば··ばかぁ····」
僕は、両手で顔を覆って隠す。その手を優しく握って、朔は僕の顔を覗き見る。いつもの優しい表情だ。
落ち着いた朔は、いつも通り静かに昂り僕を求める。
浴衣が脱げてしまわないよう、丁寧に手を突っ込んで愛撫してくれる。家では浴衣なんて滅多に着ないから、絶対に脱がせたくないらしい。
腰や脇腹を撫でられるだけでも感じてしまう。朔が首筋から頬にかけて唇を這わせるだけで、僕の身体はビクビク跳ねて甘イキを始める。そして、耳に熱い息を掛けられ、簡単に射精させられてしまった。
チョロ過ぎやしないかと、自己嫌悪すら感じる。だってまだ、おちんちんどころかお尻すら弄られていないんだ。早すぎて情けない。
「待って、朔··、また動けなくなっちゃう。僕もね、朔に何かシたい」
「何かって、何シてくれるんだ?」
「何··シてほしい?」
「んー··そうだな····、あぁ、なら結人からエロいキスしてほしいな」
「エロ··い、キス····」
舌を絡めるやつって事だろうか。僕には難しいと知っているはずなのにな。
抱き起こされ、膝に乗って朔の頬を包み持って唇を重ねる。いつもされるのを思い出しながら、朔の唇を吸うように食む。けれど、唇をチロッと舐めても、朔は僕の舌を拾ってくれない。あぁ、詰んだ。
どうやって舌を絡めればいいのだろう。いや、そもそも朔の舌を上手く拾えないのに、絡めるどうこうの話ではない。
絡めてこないという事は、無理に絡めなくてもいいのかな。なら、僕にできるのは、もうアレしかないじゃないか。
「んぇっと····えっと····、いっぱいべってして?」
「ふっ····ん」
朔が舌を出して待ってくれる。それはありがたいのだけれど、何故笑ったのだろう。何をするのか、分かっているのだろうか。
「えと、ヤだったらごめんね?」
僕は先んじて謝り、朔の舌を大きく舐めた。舌のザラザラを擦り合わせるように、ゆっくりめにベロンと。
少し前まで、僕たちの間で大流行していたアレだ。久々なので恥ずかしさが込み上げる。
最近はシなかったから、飽きたのかと思っていた。だから、念の為に謝ったのだ。けれど、そうではなかったらしい。照れた朔の顔を見れば、一目瞭然だった。
後に聞いた話だが、飽きたのではなく歯止めが利かなくなるから控えていたのだという。
確かに、それだけで止まらず必ずベッドに運ばれていた。時間を問わずそれじゃ、生活に支障をきたすものね。
そして、そのまま舌を飲み込む勢いでもぐもぐしながら吸う。僕にはこれが限界だ。
「ん··ぅ····ふ、ぁ····んぅ····」
焦れったくなったのか、朔が舌を拾ってくれた。いつもみたいに、息ができなくなるくらい深く絡め合う。
けれど、いつもと少し違う。キスをしながら、おちんちんの先に指をねじ込もうとしているのだ。拡げようとグリグリする。
気持ちイイのか痛いのか分からない。けれど、僕でも分かる事がひとつ。朔が物足りなさそうだという事。
「ん··は····。啓吾、今日は何か持ってきてねぇのか」
朔が、不躾に言葉を投げる。
「んー? 何かってぇ?」
スマホを弄りながら、啓吾がニマニマして聞く。
「チッ····」
小さな舌打ちが聞こえた。
「いつも何か余計な物持ってきてるだろ。出せ」
「え〜、さっくんまたイラついてんの? 横暴なんですけど〜」
とか言いながらも、嬉々として何かを取り出す啓吾。余 計 な 物 、持ってきてるんだね。
「今回はぁ····ほら、あんま声出たらマズイだろ? だーかーら〜♡ じゃーん」
「あ····」
僕は、思わず声を漏らした。
意気揚々と見せびらかせてくるその手には、猿轡 と手錠、いつもと形状の違うバイブらしき物が。
以前、朔に挿れられたアレに似ている。なんだっけ····、アナルなんとか。あと、猿轡を見て嫌な記憶が過ぎった。
僕の顔を見て、啓吾が表情を変える。おちゃらけた雰囲気から一転、真面目な男の顔になった。そして、朔に猿轡を手渡しながら言う。
「結人さ、これ嫌いだろ」
「え··っと、嫌いって言うか····」
チラッと八千代を見る。僕が拒絶すると、八千代が気にしてしまうのではないだろうか。そんな考えが過ぎり、言葉が続かなかった。
「嫌な思い出、な」
啓吾は僕の髪を指で攫い、側頭部を優しく撫でる。その手で耳をキュッと持ち、耳輪をなぞり耳朶をふにふにと揉む。擽ったくて、竦 んでいた心がふわっと緩んだ。
落ち着いて啓吾の優しい目を見ていると、何も怖い事なんてないんだと安心できる。
「俺らがイイ思い出に変えたげたくてさ。でも、結人がどうしても嫌だってんなら無理強いはするつもりねぇから」
優しい啓吾。僕の為を思っての事だったんだ。そんな啓吾の思いが伝わったからなのか、もうちっとも怖くない。
「今ね、怖くなくなったから大丈夫。嫌じゃないよ」
「そっか。んじゃ朔、着けたげて。俺、手錠着けるから」
「なんで手錠····」
僕が言葉を漏らすと、啓吾がキョトンとして答えた。
「なんでって、モエるから?」
聞かれたって知らないよ。まったく、どういう意味のモエるなのだろうか。
僕は抵抗などするわけもなく、両手を差し出す。
「結人さ、拘束されんの好きだろ」
「······好き、じゃ、ない」
歯切れの悪い返事を、啓吾が笑う。そして、僕の手を持ち、カチャンッと手錠を掛けた。
どうせオモチャだろうから、引っ張れば抜けるのだろう。けれど、そんな野暮な事はしない。この状況がモエると言うのなら、僕だって····と思ったのだが、啓吾の次の言葉で血の気が引いた。
「それ、この鍵じゃないとマジで外れねぇから。締めすぎっと手首怪我するよ。気ぃつけてな」
「······え」
小さい頃に遊んだオモチャとは、どうやら別物らしい。鍵についた輪を指に嵌め、クルクル回しながら言う啓吾。
「それなら──」
朔が片方の手錠を外し、ドア付近にある柱に抱きつかせた。その状態で手錠を掛け直す。これじゃ、どう足掻いても逃げられないじゃないか。
耳元で『ここで声出したら、外に丸聞こえだぞ』と言って、猿轡を装着する。
「んーっ、んんっ!」
僕は、縋るように柱を抱き締めたまま、変な形のバイブを持って迫り来る朔に怯える。
膝を着いて四つ這いの様な体勢になり、お尻を突き上げる。片手でお尻を開き、細身になっている先端からゆっくりと挿し込む。
たっぷりとかけられたローションの所為で、くぷくぷっとヤラシイ音を立ててバイブを飲み込んでいく。くびれまでいくと少し楽になるが、次の膨らみは1つ目よりも大きい。2つ目3つ目と、どんどん膨らみが大きくなってゆく。
最後の4つ目の膨らみが入ると、先が奥の扉をノックした。
「ふ··んっ····」
最後の膨らみは、朔と八千代の間くらいの太さ。圧迫感が凄い。そして、長さもあるから奥をこつかれて怖い。
小さく動かして馴染ませると、ずぽずぽっと4つ目と3つ目までをピストンさせる。
怖いと思っても伝えられない。後ろ向きだから、朔の顔も見えない。そんな不安でいっぱいの中、さらにお尻を開き奥へと捩じ込んだ。
すると、先っちょが少しだけ奥の扉を開いた。
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