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酸いも甘いも僕の所為

 自分が生きている事を願って、試しに声を出してみる。が、漏れるような声しか出ない。  お尻からお腹へと叩きつけられる衝撃が、全身を通って脳へと抜けていく。けれど、声を出せないから蓄積されていくんだ。 「朔、そろそろマジでヤバイぞ。····おい、聞こえてんのか」  漸く、八千代が止めに入る。けれど、朔の腰は止まらない。 「アレってアレだよな、アナル固め」 「あー··うん、だね。あんな勢いの見た事ないけど····」 「おい朔、結人生きてんのか」 「··っふぅー····生きてる。ケツ··か、腹か、すげぇ痙攣して、ずっとイッてんだ····俺も、もう····ん、ゔっ····」  なんてえっちな声を出してイクんだ。そんな声を聴かせるから、耳までイッちゃったじゃないか。  て言うか、僕生きてた。ついに、犯し殺されちゃったのかと思ったよ。  ぶぽんっと抜きながら、僕を抱えたままベッドに倒れ込む朔。ふわっと浮いてからドフッとベッドへ落ちるまで、何も見えないから心臓が止まりそうなくらい怖かった。  ベッドに転がった僕は、まだまだあとイキが止まらない。痙攣して大量に出された精液を噴き出しながら、お尻もお腹もずーっとイッている。  そんな中、りっくんがおちんちんを解放する。 「あぁあ゙ぁ゙あ゙あぁぁっっ!!」  僕は、エビ反りになって溜まっていた快感を噴き上げる。どれだけ出るんだ。出しても出しても止まらない。  有り得ない勢いで噴射してると思うんだ。天井に届いてるんじゃないかな。どんな惨状を目の当たりにするのだろうと、目隠しを取るのが怖い。 「ん〜っは♡ ゆいぴすっご♡ めっちゃ気持ちそさそ」 「すげぇな。マジでイク止まんねぇの?」 「止まっ、止まんにゃっ、アァッ、ン゙ッ、やぁっ! らぇか、止め、····んんっ、はぁっ、変にゃの、お(にゃか)(おきゅ)ぅ····」  腰をガクガクと痙攣させ、少し勢いは弱まったもののジョロッジョロッとまだ噴いている。  自分でも止め方が分からなくて困っていると、朔が隣に転がってきたらしくおへその辺りを指で撫でた。 「ここまで入ってたな。ここ、俺しか知らないトコ。俺だけの場所だな」  なんて、バカみたいに甘たったるく言うんだもん。事態は悪化した。 「ひゃぁぁっ♡♡ 朔だけ(しゃくらけ)、にょ、とこぉ♡ イッぎゅ··ぅぅぅ····」  「好きなだけイけ。息できなくなったら、啓吾みたいに俺がキスで助けてやる」 「き、しゅ····ん、ちゅぅ··今、シたい」 「んふ、可愛いな。結人の我儘は全部叶えてやりてぇ」  そう言ってシてくれたのは、僕が望んだのとは違う、深くて激しい口を犯す為のキス。キスに意識を持っていかれ、イクのは少し落ち着いた。 「朔、今日は甘々だねぇ。アナル固めそんなに良かったの? 俺もやってみたいなぁ」 「なぁ、さっきから言ってるアナル固めってなんだ? すげぇ名前だな」  りっくんが“アナル固め”とやらを説明し、朔は『信じられないくらい良かったぞ』と、満足気に感想を語った。  あれから数時間は経っているだろう。きっともう朝だ。  朔のアナル固めから2巡して、りっくんはお昼からバイトがあると言い、喉責めで射精し終えると寝てしまった。啓吾は、八千代と2人で僕を串刺しにし、抜かずに2回出して眠りについた。  りっくんはソファで座ったまま、ベッドで寝落ちていた啓吾は八千代に蹴落とされ床に転がっている。毛布だけは朔が掛けてくれたけれど、風邪をひかないか心配だ。だって、2人とも服を着てくれないんだもの。  朔は少しウトウトしている。何度か気絶している僕と違って、ずっと元気に出しまくってるものね。むしろ、仕事の後でよく今まで続いてるなと思う。  八千代は、なんだか機嫌が悪い。 「八千代(やちぉ)、眠いの?」 「んや、ちょっと思い出してイラついた」 「何を? あ、待って。先に目隠しだけでも取って?」 「もう全部取ったらどうだ? 明日、腕痛くなるぞ」 「だな。外してやっからそのまま座ってろ」  言われるがまま、僕は目隠しを外され数時間ぶりに眩しさを感じる。ロープを解き、縄の痕を八千代が指でなぞる。 「痕、エロいな」  そう言う八千代の方がえっちなんだけどな。とりあえず、りっくんと啓吾の代わりに色んな角度から無言で写真を撮るの、恥ずかしいからやめてくれないかな。  気がついたら、朔がベッドの隅で眠っていた。僕もそろそろ限界だ。瞼が重くて仕方ない。  ロープを片していた八千代に、後ろから抱きつく。そして、程よい弾力のある割れた腹筋を撫でる。 「ん? どした、お前も眠いんか?」 「ん··、ちょっと。でも、まだ寝ないよ。八千代がなんでイラついたのか聞くの」 「んなもん明日でいーわ。ほら、抱いててやっから寝ろ」  そう言って、僕を腕に収めると、背中をトントンと小気味よく叩いて寝かしつける。八千代の逞しい腕で抱き締められているだけでも、とても心地良い。 (もう··、子供じゃないんだから、こんなの····)  でも狡いや。一瞬で睡魔に呑まれる。ちゃんと話を聞きたかったのに。  あんまり言いたくないのかな。でも、放ったらかしになんてできないや。明日、起きたら絶対聞き出してやるんだから····。  目が覚めると、僕は仰向けに寝ていた。股ぐらに居る八千代が、太腿についている縄の痕に指を這わせている。ビクッと跳ねると、アナルに指を差し込み緩めていった。  持ち上げた足、足の甲や脹ら脛(ふくらはぎ)へキスをして、僕の羞恥心を煽る。口付けながら僕をちらりと見るその目が、とても優しいのにいやらしい。  まるで、このまま噛み千切ってやりたいと言わんばかりの目だ。  僕は、両手を広げ八千代を呼ぶ。弄るのをやめて、壊れ物触れるみたいに柔らかく抱き締めてくれた。 「おはよ」  おはようのキスは僕から。けれど、身体が思うように動かないのを察し、今日は八千代から唇を寄せてくれる。 「ん、はよ」  昨日の激しさを思い出し赤面する僕に、八千代は痛い所や違和感はないかと確認する。朝一番から触れる優しさが擽ったい。  などと和んでいる場合じゃないんだった。 「ねぇ八千代、昨日なんで怒ってたの?」 「あー··覚えてたんかよ」  当然だ。誤魔化せると思われていたのが心外で、少しムッとしてしまう。  八千代は、隣にバフンッと寝転がって怠そうな態度を隠そうともしない。 「で、なんでなの」 「言ってた執拗(しつけ)ぇ女がまぁまぁタッパあるヤツでな、莉久よかデケェんだよ。ンでそいつが····」  八千代が言い淀む。やはり、言いにくい事なのだろうか。まさか、もう何かあったのだろうか。不安が込み上げてくる。 「なんだっけな····『あんなちっこいのより楽しませてあげる。どうせ、見た目通りのお子様なんでしょ。アタシが大人な遊び教えてあげるわよ』だったか。そんなこと言われて、手出すの止めた俺も偉いだろ?」  うつ伏せでクッションに上体を預けている朔が代弁した。まだ少し寝惚けているようで、目は開いていない。  盛り上がっている筋肉がえっちすぎる。見ていられないので、八千代に抱きついて、ついでに気持ちを落ち着かせる。  それにしても、酷い言われようだな。確かに、2人がその場で怒らなかったのは大人な対応だったと思う。相手が、女の人だったからだろうね。 「偉い偉い。場野もさっくんも、大人になったね〜」  床で寝ていた啓吾がムクっと起き上がり、欠伸をしながらベッドによじ登ってきた。そして、朔と僕の間に割り込み、僕の背中を抱き締める。 「朔、啓吾、おはよ。ごめんね、まだ身体が上手く動かなくってね、ちゅーしに行けないの」  2人は笑って『いいよ』と許してくれた。また、話は戻る。 「ソレってアレだよな、2個上の佐伯先輩。あの人、自分よりデカいイケメンに手当り次第声掛けてるらしいぜ? ビッチって噂」 「あ? ンならぁんで朔じゃなくて俺なんだよ」 「知らねーよ。朔、学校では場野より話しかけんなオーラ出てるから声掛けにくかったんじゃね?」  「確かにねぇ。知り合いじゃなかったら声掛けらんない雰囲気だよ」  目を擦りながら、りっくんが大きな欠伸をする。 「りっくん、おはよ」 「おはよう、ゆいぴ♡ 今日も可愛い声····ちょっと掠れてるのもイイね」  りっくんはバイトに行くからと、おはようのキスだけして行ってしまった。もうそんな時間なのだろうか。 「俺、そんなに話し掛けにくいのか?」 「そうねぇ。結人と離れてるストレス的なんだと思うけど、事情知らないヤツからしたら話しかけにくい人って感じなんじゃね?」 「香上くんとか、知ってる人とはたまーーーに喋ってるもんね。····え、僕と居ないとイライラしてるの?」 「今更何言ってんの。場野も朔も、結人と離れてる時間(なげ)ぇとすっごい機嫌悪いよ。もうね、笑えるくらい」  そう言いながら、啓吾は薄ら笑っている。対して、八千代はまた不機嫌そうに小さな舌打ちを放つ。 「んへへ。僕が居ないとイライラしちゃうなんて、八千代も朔も子供だな〜。僕がずーっと一緒に居なきゃだねぇ」  僕は、へへんと鼻にかけて言った。八千代と朔には悪いが、そんな2人を可愛いと思ってしまったのだ。湧き上がる温かい気持ちが抑えられない。  そんな僕に腹を立てた八千代は、動けない僕を上に乗せアナルにおちんちんを滑らせる。朝勃ちって、こんなにガチガチに勃つものだっけ? 「俺らが居ねぇと不安で泣く奴に言われたかねぇな。まぁ、居てもらわねぇと俺らまともじゃいらんねぇんは事実だわ。とりあえず、一緒に居れるうちに補給しとかねぇとな」  甘い声でバカなことを言って、へばっている僕に挿入する。こんな補給の仕方じゃ、体力がいくらあっても足りないよ。  この後、朔と啓吾も代わる代わるで、りっくんが帰ってくるまで補給は続いた。そして、帰ってきたりっくんも補給だと言って朝まで。  週末はだいたいこうして過ごす。たまにはデートに行きたいんだけどな。流されちゃう僕には、遠い夢かもしれない。

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