342 / 384

僕の力量

 皆にあちこち愛されている所為で、りっくんを上から食べられない。下から啄むようにりっくんの唇を食み、込み上げた欲に従って舌を掬おうと懸命に舌を伸ばす。  りっくんが少しだけ絡めてくれるおかげで、なんとかそれに合わせて舌を這わせている。けど、僕がシてあげなきゃなんだけどな。  八千代と朔に乳首を浅くこすこすされ、少し強く擦れるとビクッと身体が丸まる。そうして僕は段々と小さくなり、ついにりっくんと唇が離れてしまった。  その瞬間、胸やお尻に与えられる快感に悶えながらも、りっくんと離れてしまった寂しさが全身に湧いた。それに抗うように、りっくんの肩にしがみつく。少し爪を立ててしまった。  ガリッと爪が食い込み、走る痛みに一瞬顔を歪めるりっくん。謝らなくちゃ、そう思いながら僕は無我夢中で唇に吸いついていた。 「はぁ··りっくん(ひっふん)····好き(ひゅひ)····」  りっくんを欲しいと思うままに舌をねじ込んで絡める。これまでで、1番上手く絡められている気がする。  だって、りっくんだと遠慮せず思うようにできるんだもん。皆には頑張って気持ち良くシてあげたいなって思うけど、りっくんは僕が何をシてもバカみたいに気持ち良さそうにしてくれるものだから、きっとそういうところに甘えてるんだ。  溢れてくる唾液が顎を伝い喉を伝い、鎖骨にまで届いている事さえ気にならないほど、りっくんの舌に夢中になっていた。  どのくらい経ったのか、りっくんに肩を押し返されて我に返る。 「はぁっ··ゆいぴ、ゆいぴ息して」 「····ふ······はっ、ハァ、ハァ····息、してなかった····へへ」 「“へへ”じゃないでしょ、もう····」  夢中になるあまり、呼吸を忘れていたらしい。とんだ失態だ。  僕が息をすると、りっくんは僕の頭を胸に抱えて安堵した。かなり心配してくれていたらしい。 「りっく··ごめ、ね。も··だい、じょぶ」  ギュッと抱き締められているので話しにくい。もごもごしていると、りっくんは腕を少し緩めてくれた。 「ゆいぴ、一生懸命キスしてくれるのは嬉しいけどね、必死になりすぎちゃダメだよ? あーっ、マジで焦ったぁ····」  聞くと、徐々に呼吸が浅くなって舌が動かなくなっていき、ついにはフラッと落ちかけたらしい。自分では、ちゃんとずっと絡めているつもりだったのにな。  いつも通り、気持ち良くてふわふわしているのだと思っていた。だって、舌だけじゃなく皆に触れられている所が全部気持ち良かったんだもん。 「それより····りっくん、肩ごめんね。痛いよね。消毒しなきゃ····」 「ん? あぁ、大丈夫だよ。ゆいぴがつける傷は全部俺にとって幸せの象徴だから。痛みより、えっちなゆいぴが蘇って元気になっちゃうよ、はは。ほら」  仏のような顔で語り、おちんちんを大きくするりっくん。あまりのおバカさで扱いに困り、僕が困惑しながら傷を見つめていると、とんでもない事を言い出した。 「消毒かぁ····舐めて♡」 「····へ?」 「舐めて消毒して? そしたらいつもより1.5倍早く治るんだ。たぶん、愛の力だと思う」 「そ、そうなの!? へぇ··、愛情って凄いんだねぇ」  皆の溜め息が聞こえた気がするけれど、りっくんに耳を塞がれてそれどころじゃなかった。  りっくんに促され、自分でつけた傷を舐める。血の味を舌先で感じ、自分のした事の重さを感じた。 「痛くない?」 「平気。俺らねぇ、ゆいぴがガリガリするくらい感じてくれてんの嬉しいから、ゆいぴにつけられた傷は全然痛くないんだよ」 「え、そういうものなの?」  僕は噛まれた痕が暫く痛むんだけど、愛情が足りてないって事なのかな。そんなつもりはないのだけれど、皆はやっぱり凄いんだ····。  僕がしょぼくれていると、八千代がポンと頭に手を置いてクシャッと撫でた。僕はその手を両手で捕まえ、八千代を上目遣いで見る。 「アホか。(いて)ぇもんは(いて)ぇし、風呂入ったら滲みるわ。ま、()()()()()()かの違いはあるけどな」  どういう事だろう。しみるかしみるか····? 「ふはっ、分かってねぇんな。痛みよかお前が可愛かったん思い出すから、(いて)ぇけど気になんねぇってコト。むしろ、お前のこと思い出すから幸せだっつー話な」 「そういう事か! なら僕もいっしょだぁ♡ 僕もね、皆に噛まれた痕がズキッてする度に皆のこと思い出してえへへってなるよ」  僕がにこーっと顔を緩めると、八千代が覗き込むように顔を寄せてきた。 「可愛すぎンと食うぞ」  そして、唇を食べられた。もう食べてるじゃないか。  今の八千代はえっちと言うより、なんだか幸せそうだ。今、僕と全く同じ気持ちなのだろうと、雰囲気が混じり合ったみたいに伝わってくる。  そっと離れると、おまけにもう一度軽く口づけた。 「ばか··。八千代のえっち」   僕は少し悪態をつく。 「お前もな」  僕に、皆みたいなえっちさはないやい。ただ、僕からの愛情が劣っていたわけではないと分かり、安心してだらしない顔になっただけだ。  僕が頬を膨らませると八千代は笑って、一息入れようとココアを入れてくれた。それを飲みながら、僕はキスの難しさを語る。 「やっぱりさ、皆にシてもらうほうが気持ちぃな。あ、でもね、僕からキスとか弄ったりとかしたいなって思えたのは新発見だった」 「それだけでもポリセやって良かったんじゃね? 結人の新境地発掘じゃん」 「うん。ゆいぴからの熱烈なキス····んふ♡ 良かったなぁ」  うっとりと余韻を噛みしめるりっくん。そんな風に言われると、少し恥ずかしいんだけどな。  僕が照れてココアを啜ると、僕を胡座に収めている朔が後ろから耳輪へキスをした。 「ぶわぁっ」  驚いてココアを少し吹いてしまった。 「お、わりぃ。莉久、ティッシュ」 「もー、何やってんの〜」  りっくんはティッシュを手渡し、朔が零れたココアを拭こうとする。すると、啓吾が来て朔の手首を掴んで止めた。 「待ーった」  何をするのかと思えば、啓吾は零れたココアを舐め始めた。おへそからココアに沿って上がり、胸を必要以上に舐め回す。  これをきっかけに、ポリセが再開された。  朔は後ろから耳責めを。腰に響く声で、甘い言葉やえっちな事を言ってくる。それだけで頭がボーッとしてしまう。  りっくんと八千代はそれを眺めながら、悠長にコーヒーを飲んでる。自分自身が、酒の肴的なものに思えてきた。 「りっくんと八千代は、シないの?」 「それ、体勢的に入れるとこねぇかんな。朔と啓吾だけじゃ不満か?」 「そういう、んっ··わけじゃないけど····」 「結人は俺ら皆揃ってないと寂しーんだよなー? かーわい♡」  そう言って、啓吾は僕のおへそを親指でグリグリしながら鎖骨を甘噛みする。 「んやっ····か、噛むのはありなの?」 「なしって書いてなかったからいいんじゃね? てか噛みたい」  啓吾は屁理屈のような言い訳で、思う存分僕の鎖骨や肩を噛みまくった。  暫くそれを楽しむと朔と啓吾は左右を交代し、また攻め続ける。執拗い2人の所為で、僕はまたぴゅるぴゅる精液を漏らしてしまった。  激しい愛撫ってわけじゃないのにイッちゃう僕が悪いんだよね。どうにか慣れて、僕も余裕を持ってえっちを楽しめるようになりたい。  今は、毎度毎度ヘロヘロのグデグデになっちゃって、楽しむ余裕なんてないんだもの。僕ばっかり沢山気持ちよくしてもらってる感が未だに拭えない。  そうだ、また凜人さんに媚薬を貰えば、皆を満足させられるのかな。今度はされるばっかりじゃなくて、僕からも色々できるといいな。今度、凜人さんに相談してみようかな。あ、でも八千代に怒られちゃうかも。 (うーん····どうしたら皆に色々できるのかな) 「結人? どうかしたのか?」  僕が考え込んでいると、朔が心配そうに聞いてくれた。 「んっとね、しゃぶるのとキス以外で、僕が皆にシてあげられる事ってないのかなって」 「他って····騎乗位とか頑張ってくれんじゃん?」 「きじょ····あぁ、僕が上で動くやつ? アレ、すぐへばっちゃって結局皆が下から突き上げてくれるでしょ? 違うの」 「違うって、どういうのをしたいんだ?」 「えっとねぇ··──」  僕は洗いざらい、やってみたい事を思いつく限り挙げてみた。

ともだちにシェアしよう!