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りっくんも楽しそうで何より

 りっくんに手を引かれ、再び湖の波打ち際まで来た。水遊び用のサンダルに履き替えたから、そのままゆっくり、1歩ずつ入っていく。 「んへへ、冷たいね」  足首まで入ったものの、予想外の冷たさに足が止まる。 「ね。ちょっとずつ慣らしていかないと心臓(しんぞ)──」  おそらく『心臓がビックリしちゃうね』とでも言いたかったのだろう。けど、後ろから啓吾に水をかけられ、僕の盾になったりっくんは既に水浸しだ。  水も滴るイイ男とはまさにだけど、りっくんの心臓は無事だろうか。 「〜〜〜っ、啓吾ぉっっっ!!」  元気に怒り爆発なりっくん。大丈夫そうで何よりだ。 「なははっ! 気持ちぃだろー?」  驚く速さで、遠くまで泳いで逃げながら言う啓吾。僕は、わなわなと怒りに震えるりっくんの手を握り、飛び込んでいきそうなのを止めた。 「やっ、りっくん待って、置いてかないで」 「ン゙ッ····。置いてくわけないでしょ。待って、ゆいぴ可愛すぎて鼻血出そう」  両手でりっくんの手を握り、上目遣いでお願いしたのがいけなかったらしい。りっくんは鼻と口を手で覆い、太陽輝く青空を仰ぐ。 「大丈夫?」 「だいじょばない。ここで犯したい」 「なっ··、ダメだよ。ここじゃ見えちゃうでしょ」  僕たち以外にも、何組かキャンプをしに来ている。穴場なのか、それほど人は多くないけれど。  僕は、周囲をキョロキョロと見回し、りっくんの手を引っ張って背伸びをした。そうして、りっくんの耳元で皆には内緒の話を。 「あのね、見えない所でなら····え、ぇっち··シてもいいよ」  目を見開いて、りっくんはついに鼻血を噴き出した。これじゃ、えっちどころではない。  すぐに拠点へ戻ろうと言ったのに、断固として動かないりっくん。持っていたタオルを少し赤く染めると、頭を冷やしてくると言って、座らせた僕に『絶対動かないでね』と念を押して飛び込んでいった。  ポツンと1人残された僕は、バシャバシャと全力で泳ぐりっくんを眺めている。結構な勢いで鼻血を噴き出したのに、あんなに泳いで平気なのだろうか。  心配そうにしていたからだろう、沈め合いをしている啓吾と冬真を放って、猪瀬くんが様子を見に来てくれた。  僕の所為でりっくんが鼻血を噴いたのだと説明したら、何となく察してくれた猪瀬くん。呆れて、僕の隣に座った。  そして、はしゃぐ彼氏たちを眺めながら、僕たちはノロケ話に花を咲かせる。 「ねぇねぇ猪瀬くん。それ、ずっと気になってたんだけど聞いていい?」  僕は、猪瀬くんの左手の薬指に光る、シルバーの指輪を指して聞いた。朝からずっと気になっていたのだ。  猪瀬くんは頬を真っ赤にして、冬真から貰った誕生日プレゼントだと教えてくれた。それも、プロポーズ付きの。  以前、冬真が計画していたアレを、猪瀬くんの誕生日に実行していたのだ。相談されていた僕と啓吾は、冬真から成功の連絡を貰って知っていた。  けれど、やっぱり猪瀬くんから直接感想を聞きたいもんね。 「よかったね。冬真の覚悟だね」 「うん。もう死んでもいいって思えるくらい嬉しかったんだ。··でも····」 「それ貰っても、まだ不安なの?」 「····うん。ほら、冬真モテるし軽いだろ?」 「あぁ····まぁ、うん。そうだね」  冬真の悪い所だ。僕も、啓吾で痛感したから気持ちはよく分かる。おかげで馬鹿な事をした経験だってあるのだから。  僕は、体験談を含め、冬真の一途さを説きつつ猪瀬くんを励ました。それでも不安が拭いきれない猪瀬くん。  どうすれば安心できるのか、僕たちは唸りながら考えた。  そんな僕たちの背後で、ジャリッと小石の音が鳴り警戒心が高まる。バッと振り向くと同時に、僕と猪瀬くんはガバッと抱き締められてしまった。 「んわぁっ! ····もう冬真、ビックリするでしょ」  猪瀬くんは、冬真の腕を持ち振り向いて言う。僕はと言えば····。 「あれ? ちょ、結人? 泣いてる?」 「な、泣いてないもん! ビックリしただけだもん。また、変な人かと思って····」 「わーっ、ごめんごめん! なんか深刻そうだったから、ちょっとビックリさせようと思っただけでさ」 「啓吾のばか。ばーかばーーーっか」 「も〜バカでいいよ〜。んぁ〜俺の嫁かぁい〜♡」  そう言って啓吾は、涙目で暴言を吐く僕の頭を抱き締めた。そこへ、全力バタフライで向かってくるりっくん。  事情を聞き、降り注ぐ啓吾への暴言が止まない。僕と猪瀬くんで宥め、なんとか落ち着かせた。 「ゆいぴ、向こうに()()()()()あったから行こっか。2()()()」  りっくんは、唇に人差し指を当てて『2人で』と強調する。早くも、さっきのアレを実行する気なのだろう。お尻がキュンとした。  一緒に行くと言って聞かない啓吾を、反省してろと一蹴するりっくん。  僕を小さなエアーマットに乗せ、紐を引いて泳ぎ始めた。程なくして、湖の中程にある浮島のような所へ上陸する。気合いを入れないと着かない程度には陸から距離があるので、人はそうそう来ないだろう。  そこは小さな森みたいになっていて、周囲からはおそらく見えない。けれど、中央部は少し開けた原っぱみたいになっているから、致すのにはもってこいな場所だ。 「ゆいぴ、もう我慢できない」  りっくんは、地面に置いたエアーマットへ僕を押し倒す。貪るようなキスをして、水着に手を突っ込んだ。  少しふやけた指で、僕のアナルをくるくると撫でる。焦れったい触れ方。お尻をヒクヒクさせていると、ぬぷっと指が入ってきた。 「あは♡ 指食べられちゃった。物欲しそうにヒクつかせて、そんなに欲しかったの?」 「ふぇ····い、イジワル言わないでぇ····」  早くもガンギマリ気味なりっくん。息を荒らげ、僕の首筋に噛みつく。興奮したりっくんは、僕の両手首を頭上で押さえつけた。  これじゃまるで、レイプされているみたいじゃないか。なのに、こんな状況に興奮してしまう僕は、りっくんの事を言えないくらい変態だ。 「ゆいぴ、実は外でするの好きだよね。すっごいトロトロだよ」 「違··うも····りっくんが、カッコイイ、から····」  髪から落ちてくる水滴が、当たるそこすら性感帯と化している。完全に雄スイッチの入ったびしょ濡れのりっくんが、すっごくカッコイイんだもの。  直視できない僕は、りっくんの鎖骨や髪にばかり視線を向ける。それを許さないりっくんは、僕の顎を持ってしっかりと視線を合わせた。 「ふぇぇ····むぃらよぉ······」  涙をいっぱい貯め、カッコよすぎるりっくんへの限界訴える。けれど、りっくんは目を合わせたまま、ゆっくりと唇を寄せて舌を掬い絡める。りっくんの熱い吐息に酔ってしまいそうだ。  お尻の浅い所をこねくり回されているだけなのに、もう何度かイッてしまった。水着の中がにゅるにゅるして気持ち悪い。 「ごめんね。さっさと終わらせてあげるつもりだったんだけど、もう止まんないや」  朔が焼いてくれているサザエが、このままでは無駄になってしまうと詫びるりっくん。止める気なんて、さらさら無いんだ。  きっと、後で朔に怒られる。僕たちは、分かっていながらキスすら止められずに貪りあった。  僕のおちんちんを、水着越しに弄るりっくん。ヤラシイ顔で『ぬるぬるだ』と言って笑う。  悔しいから、僕も水着越しにりっくんのおちんちんを握った。凄く硬い。 「りっくんのガチガチだ····。僕のナカに挿れる前にね、えっと····あのね、の、喉奥、犯してほしいな」  恥ずかしいけれど、ちゃんとりっくんの目を見て言えた。りっくんはまた鼻血を垂らし、ワイルドにそれを腕で拭う。そして、膝立ちになり僕の顔に跨った。 (あれ? 待って、思ってたより激しくされそうなんだけど····)  耳とか弄られながら、いつもみたいに『上手♡』って褒めてもらって、苦しくなりながら僕もイク。そんな甘い喉責めを想像していた。  けれど、りっくんが僕に与えるのは、そんな生易しい喉責めではなかった。

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