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第3話

 気がついたら、間に合わせ場所に来てしまっていた。吉良は、無機質はホテルの一室のドアの前で立ち尽くす。  しかし、ドアをノックする勇気が出ない。ここまで来ても、自分のプライドが邪魔をして、最後の一歩が踏み出せないのだ。  ────何をやっているんだ俺は。  ふと、我に帰って顔が赤くなった。自分を痴漢した男の元にノコノコ現れるなんて、気が狂っているとしか思えない。なぜそんなことをしてしまったのだろうか。  馬鹿馬鹿しくなって踵を返そうとしたその時。 「来てくれると思ってたで」  突然部屋の扉が開いた。男が顔を覗かせている。お互い、顔を見合わせるのは初めてだ。20代後半と思われる男の顔は想像よりずっと整っていて、まるでモデルのようだった。 「お兄さん、思ったよりイケメンやん。嬉しいわ」  彼に容姿を褒められたが、特に嬉しくはない。というより、そんなことを考える余裕はなかった。  部屋の中に入るやいなや、男は吉良の身体を舐め回すようにジロジロと見る。そしてふっと笑った。 「もっと気持ちよくされたくて俺に会いに来たん?」 「ちが……!文句の一つでも言おうと思ってきただけだ」  図星を突かれた。吉良は咄嗟に男を睨みつける。 「下手な嘘つくのやめーや。ほら、もう勃っとるし」 「なっ……」  スラックス越しに下半身を触られ、初めて自分が勃起していることに気付いた。咄嗟にその手を払いのける。 「素直やないなぁ。悪い子や」  どん、と壁に押し付けられ、強引に唇が重ねられる。  驚いてぽっかりと開いた吉良の口は、男の舌の侵入を許す。そのまま生暖かい舌が口内を犯し、吉良の舌を絡め取っていく。 「ん、……ふぅ、……ぁ」  唇の隙間から吐息が漏れる。キスをされているだけなのに、気持ちよくて腰が砕けそうだ。壁にもたれていなければ、へたり込んでしまっていたかもしれない。 「自分、えっろい顔しとるで」  男は吉良の顔を見て笑った。吉良は火照った顔で必死に睨みつける。 「こっちおいで」  誘導されるがままに、吉良はキングサイズのベッドに腰掛ける。男2人分の体重がかかったベッドが鈍い音を立てた。  男は吉良の背後に回ると、後ろから抱きしめるかのように腕を回した。男の体温がワイシャツ越しに伝わってくる。 「ここ触れるの好きなんやろ?」 「ひ、ぁ……っ!」  ワイシャツの上からさわさわと乳輪をなぞられ、情けない声が漏れてしまった。ぎゅっと摘まれれば、甘い快感が身体を駆ける。 「電車ん中でもここ弄られてビクビクしとったもんなぁ」 「ちが、……んぁっ」  あの時と同じように、カリカリと爪で乳首を弾かれる。胸を触られているだけなのに、気持ちよくてたまらない。  もっと触ってほしい。もっと気持ちよくなりたい。吉良の頭の中はそれでいっぱいだった。  身体がビクビクと跳ね始めたその時、男がパッと手を離した。 「へ、、ぁ……?」 「もっと触ってほしいん?」 「……っ!」  吉良は口を結んで、男を睨みつけた。  本当は触って欲しくてたまらない。身体は次の快感を待ち侘びている。しかし、それを認めるのはプライドが許さなかった。 「続きして欲しかったら、そやなぁ。服全部脱いでもらおか」 「な……っ」  男がニヤニヤとこちらを見つめる。お互いが脱ぐならまだしも、こんな明るい部屋で自分だけが脱がされるなんて。 「脱がへんなら帰るで」 「や、待って……脱ぐ、からっ!」  咄嗟にそう答えてしまった。 「じゃ、早よしぃ」  そう言われ、吉良は覚悟を決めた。ネクタイをほどき、ワイシャツのボタンを外していく。そしてベルトを外し、スラックスを脱ぎ捨て、下着一枚の姿になる。 「下着も脱ぐに決まっとるやん」 「や……」 「ほら、早よ」  顔が熱くなる。下着を脱ぎ、一糸纏わぬ姿になった。 「ええ身体しとるやん。エロいなぁ」  ジロジロと裸体を見られ、恥ずかしくて心臓がバクバクと音を立てる。こんなこと、屈辱以外の何ものでもないはずなのに、身体は興奮し下半身はますます熱くなっていく。 「ほら、脚広げな」   おずおずと脚をM字に開く。秘部を晒すような格好になり、羞恥心で身体が震えた。  男はどこからともなくローションを取り出し、手のひらにあける。そして吉良の脚を押さえつけてぐっと開くと、後孔に塗り込んだ。 「ひ、ぁう……んぅ!」  男の指がナカに入ってくる。待ち侘びていた感覚に、ナカが喜ぶかのようにきゅうきゅうと唸った。 「自分で弄ったん?ココ」 「ちが……!」 「違わへんやろ?」  射るように目を見つめられ、吉良は押し黙った。 「俺にここ触られて、気持ちいことに気付いてしもたんやなぁ。やから自分でも弄ったんやろ?」  男が嘲るように笑って、指を引き抜いた。羞恥心で身体がさらに熱くなった。 「昨日、どんなふうに弄ったん?」 「だから、そんなとこ触ってない……!」 「嘘ついたらあかんよ。次嘘ついたら、ホンマに俺帰るで」  それは困る。身体はもう疼いて止まらない。こんなところでお預けを喰らうなんて、想像しただけでも苦しい。 「そ、の……さわ、った……から」  恥ずかしさで震える声で吉良はそう言った。男は満足そうに笑う。 「変態やなぁ。自分でここ弄って気持ちよくなったん?」  吉良は視線を逸らす。恥ずかしくて顔を直視することなんてできない。 「どんな風に弄ったん?見せてや」 「そん、な……こと」 「いいから早よ」  ここで拒めばまた「帰るぞ」と脅されてしまう。吉良は羞恥心に駆られながら、ベッドに四つん這いになった。 「ケツこっちに向けやなあかんやろ」 「ん……っ」  吉良は身体の向きを変えて、男に尻を向けた。恥ずかしいところを全部彼に見られている。苦痛なはずなのに、なぜか身体が疼いて仕方がない。 「ほら、昨日みたいに弄ってみ」 「ん、ぁ……」  ローションでぬるぬるになったソコに指を差し込む。入った瞬間、また小さな声が漏れてしまった。そのまま中指で肉壁を掻き分けていく。 「ふ、、ぅ……っ、」  腰のあたりに甘い快感が走る。二本目を挿入すると、圧迫感が増えて苦しい。しかし、それ以上に気持ちよかった。  男の視線を感じながら、吉良は一心不乱にナカを弄り回す。ぐちゃぐちゃという水音が耳に届くたび、恥ずかしさで身体が震える。 「気持ちええん?」 「や、……」 「ほら、ちゃんと答えな」 「ん、ぁ、きもち、いい……」  吉良がそう答えると、男はケタケタと笑う。 「そろそろイキたいやろ?」  びく、と身体が震える。イキたくて仕方がない。しかし、自分の力だけではイクことができない。 「前立腺、トントンって触ってみ?」 「はぅ!?」  言われた通りに触った瞬間、身体に電流が走る。目の前が真っ白になった。 「はは、気持ちええやろ?そのままぐりぐり円書くみたいに触って」 「ひ、、ぁあっっ!!」  指示された通り、指を動かす。さっきまでとは段違いの気持ちよさに襲われ、吉良は甲高い声を上げた。男に見られていることも忘れ、吉良はひたすらそれを弄り続ける。 「イってもええで」 「あ、ああ……い、ぁあっっ!!」  弾けるような快感。その瞬間、性器からどろりとした液体が飛び出した。 「はぁ……はぁ……」  吉良はシーツに顔を埋め、荒い呼吸を繰り返した。額に滲んだ汗が、白い布に染み込んでいく。 「これ、しゃぶりたいやろ?」  男がズボンを下げて、自身の性器を取り出す。  血管が浮き出て赤黒く光っているソレを見て、吉良は思わず生唾を飲み込んだ。想像よりずっと大きい。  こんな汚いものを口に含むなんて、ありえない。今までの自分ならそう思っていただろう。  しかし、今の吉良は違う。もうこれが欲しくて堪らない。欲望のままにソレに顔を近づけ、口を開けたその時。 「こら、“待て”や」 「……っ!」  男の顔を見上げる。ニヤリと笑うような、意地の悪い顔をしていた。 「『おちんぽしゃぶらせてください』っておねだりせなあかんやろ?」 「そん、な……こと」  そんな恥ずかしい言葉言えるわけがない。吉良は抗議の意を込めて、男を睨みつけた。 「ほら、欲しいんやろ?早よおねだりしぃ」 「く……」  プライドと欲望が頭の中で争う。わずかに残ったプライドは、その言葉を口にすることを必死に拒絶している。その一方で、欲望は早くソレが欲しいと主張してやまない。 「……ん、ぽ、しゃぶ、らせてくだ……さい」  勝ったのは欲望だった。プライドも理性も、膨らんだ欲望の前には無力だ。 「聞こえへんて。もっかい言い直しや」 「……おちんぽ、しゃぶらせてください」  声を絞り出して、そう言った。屈辱で身体がわなわなと震える。悔しいはずなのに、なぜか下半身はますます熱くなっていた。 「ちゃんと言えたやん」  男が吉良の頭をわしゃわしゃと撫でた。  口を大きく開けて、大きく反り立っているソレを口に含んだ。むせ返るような雄の匂いに頭がクラクラする。吉良は夢中になってしゃぶりついた。 「ん、……ふぅ……ぁ」  顔を上下させながら、じゅぽじゅぽとソレに吸い付く。苦いような先走りの味に興奮がおさまらない。 「自分ヘッタクソやなぁ、ホンマ」  男が笑う。がっしりと頭を押さえつけられたかと思ったら、喉奥までソレを押し込められた。 「んんっっーー!」  息ができない。苦しくて身体をバタつかせるが、がっしりと押さえつけられていて、抜くことができない。  そのままガツガツと喉奥を犯されていく。酸欠で頭がクラクラする。それなのに、気持ちいい。どんどんと興奮が高まっていく。 「ちゃんと飲むんやで?」 「んぅ!?」  どぴゅ、と喉の奥に温かい液体が流し込まれる。  精液、気管に入って、思わずむせ返りそうになる。が、なんとか喉を鳴らして胃に流し込んだ。  口内に広がる生臭い匂いが吉良の性的興奮を掻き立てていく。この雄の匂いが堪らない。一瞬、そう思ってしまった。  そんな自分に気づいて、頭が混乱する。なぜ自分はこんなことをされているのだろうか。なぜ、こんなことをされて興奮してしまっているのだろうか。わからない。とにかく悔しい。そして自分の身体が恥ずかしい。 「せーえき、美味しかったん?」 「そんな、わけ……!」 「もう自分、メスの顔しとるで?えっろいなぁ」 「だまれ……っ!」  口元から垂れる白濁を手の甲で雑に拭いながら、睨みつける。こうやって煽られるのは自分の高いプライドが許さない。それなのに、言葉で攻められる度になぜか身体は疼いてしまう。 「後ろ、入れてほしいやろ?」  入れて欲しい。入れて欲しくて仕方がない。  吉良は黙って男の顔を見つめた。 「欲しかったら自分で穴広げておねだりしな?」 「そん、な……こと」 「今更プライドもクソもないやろ?」  シーツをぎゅっと掴む。男の言う通り今更ではあるが、やはりプライドが邪魔をする。 「やらんのやったら入れへんで?」 「わ、……かった、から……っ」  結局のところ、理性もプライドも欲望に敗北してしまう。  吉良は再び四つん這いになると、男に秘部を見せつけた。そして、震える指をナカ差し込む。そのままゆっくりとナカを広げた。 「これ、……で、いいだろ……っ!」 「ちゃんと、『僕のけつまんこ犯してください』って言わなあかんやろ?」  またしても屈辱的な言葉を要求され、身体がカァッと熱くなる。それでも、言わないという選択肢はなかった。 「け、……けつ、まんこ、犯してください……っ!」  羞恥心で、ナカを広げる指が震える。 「そんな恥ずかしいこと、よぉ言えるわ」  クスクスと男が笑う。屈辱のあまり、涙が出そうになった。しかし、それ以上に期待が大きい。早く男のアレをナカに入れてぐちゃぐちゃにしてほしい。吉良はもうそれしか考えることができなかった。 「ま、ちゃんと言えたしご褒美あげやんとなぁ?」  四つん這いになった吉良の腰を掴んで引くと、男はソレを後穴に当てがった。熱いモノが押し当てられる感覚に、身震いする。 「ほら、入れるで?」 「んぁっっ!!」  固いものが挿入されていく。ナカはその刺激を待っていたと言わんばかりに、ぎゅうぎゅうと唸ってソレを締め付けた。 「キッツ……!ほんまに初めてやん」  ゆっくりと挿抜が開始される。肉壁を擦られれば甘い声が漏れてしまう。腰のあたりがビリビリと痺れていく。 「んぁ……はぁ、っん!や、め……っ」 「嫌なん?じゃあやめよか?」 「ちが、……んぅ、……もっと、……ぁあっ」 「素直になってきたなぁ」 男がニヤリと笑みを浮かべる。吉良はハッとして口をつぐんだが、もう遅かった。 「そんじゃ、お望み通り犯したるわ」 「はぅ……や、まっ……て!」  激しいピストンが始まる。ぱんっぱんっと肌が激しくぶつかり合う音が部屋に響く。 「ひ、ん……、んんっ!」  気持ちいい。頭がおかしくなりそうだ。前立腺を突かれるたびに目の前がチカチカする。身体を支えている腕がガクガクと震えた。 「やっ、そこやめ……!んんぅ……っ」  吉良の弱点を把握したのか、何度も何度も同じ場所を攻め立てられる。その度に身体が跳ね上がってしまう。 「ここ好きなんか?きゅうきゅう締め付けてくるで?」 「ちが……!んんぅっ」 「嘘つく悪い子にはお仕置きが必要やな」  そう言うと、男はさらに激しく動き出した。 「やっ、ぁ……んあっ!!」  絶頂の予感に身体中が震える。身体を支えることができずに上半身がベッドの上に倒れ込んだ。それでもなお、抽送が止まることはない。 「ああぁっっ!!んん!ああんっっ!」  びくんと身体が大きく仰反る。同時に、白濁液が飛び散ってシーツを汚した。 「あーあ、イッてしもたなぁ」  吉良が達しようが男はお構いなしだ。射精直後の敏感な身体を容赦なく揺すぶられる。再び快楽の波に襲われて、頭が真っ白になる。 「ふぁ、っん!やめ、……とま、、って……!」  達したばかりの身体は簡単に限界を迎えてしまう。  連続的に与えられる快感に恐怖すら覚えた。このままだと本当にどうにかなってしまう。  でももっと欲しい。もっと気持ちよくなりたい。そう思っている自分もいる。もうわけがわからなかった。 「イク時はちゃんとイクって言うんやで?」 「ぁあ……っっ!!イク、イクか……らっ!!!ああっ!!  吉良が呂律の回らない口でそう叫んだ瞬間、身体がまた大きく跳ねた。白濁が勢いよく飛び出していく。 「俺もそろそろ……!」  ラストスパートをかけるように、男の動きが速くなっていく。 「あ゛あ゛っ!!まっ、て!!イッたからっ!も、とまって……!」 「俺がまだや言うてるやろ」 「ぁあああっっ!!」  絶頂を迎えたばかりのナカを容赦なく責め立てられ、吉良は叫び声を上げた。快感が強すぎてもはや苦しい。 「ナカ、出してほしいやろ?」 「んぁ……っ!ほ、しい……っ!ナカ、出してっ!!」  もう理性のかけらもなかった。ナカに彼の熱いものを注いで欲しくて、吉良は夢中になって叫んだ。 「しゃーないなぁ」  最奥を穿たれた瞬間、熱い液体を流し込まれる。腹の中が満たされるような感覚に幸福感さえ覚えてしまう。  ずるりと男のモノが引き抜かれると、後穴からはごぽっと音を立てて精液が流れ出た。 「はぁ、はぁ……」  肩で息をしながら呼吸を整える。まだ余韻が残っているせいか、時折ビクンと身体が痙攣する。  男は、うつ伏せになっている吉良の身体を掴んで仰向けにひっくり返す。そして吉良の上に覆い被さった。 「まだ終わりやないで?」  耳元で囁かれて、身体が再び熱くなるのを感じた。 「ひっ、やめ……も、無理ッッ!!」 抵抗しようと振り上げた手は簡単に掴まれてしまい、そのまま頭上で拘束されてしまう。 「自分が抱いて欲しい言うたんやろ?」  男はクスクスと笑いながら、再び硬くなったソレを吉良のナカに押し込む。そして、薄桃色の胸の突起を指先で転がし始めた。 「そこ、やめ……っ!んんっ!」 「ここほんまに感じるんやなぁ。変態や」  片方の突起を指先でいじりながら、もう片方の突起を口に含む。舌先を使って転がされれば、甘い声を抑えることができなかった。 「ふぁ……んぅ、やだ……ぁっ」 「電車ん中でもここ触られて悦んどったもんなぁ?」  ちゅぱっと音をたてて口を離すと、今度は反対側の胸に吸い付く。両方の乳首を同時に責めながら、男は再び挿抜が始める。 「ま、……って、やめ……!!」  ピンと勃ち上がった先端を爪で弾かれると、電流が流れたような刺激に襲われる。 「んんぅっ!いや、だっ!そこ!んぅっ」 「もっとしてほしいみたいに締め付けてくるで?」  ナカを犯しながら男は笑う。図星だった。 「んあぁっ!」  挿入されたままの状態で膝裏を抱えられ、身体を折り曲げられた。結合部が丸見えになる体勢を取らされて、羞恥心が煽られる。しかしそれすらも興奮の材料になってしまうほど、吉良の身体は淫らに作り変えられていた。 「ほら、こうすると奥まで入るやろ?」 「やぁっ!!んんぅっ、それやめっ!んぁっ」  ぐっと腰を押し付けられ、結腸口を突き上げられる。その衝撃で意識が飛びそうになった。 「あ゛あ゛〜〜ッッ!!やだ!!やぁあああっっ!!」  獣の咆哮のような叫び声が上がる。快感で頭がおかしくなりそうだ。 「きったない声やなぁ。こんなことされて気持ちええん?」 「ぎも゛ぢい゛い゛っっ!!だから、も、やめ!!」 「やめてほしくないくせに」  男は激しくピストンを始めた。ギリギリまで引き抜いて、一気に最奥を貫く。それを何度も繰り返されて、目の前がチカチカしてきた。 「や゛っ!!あ゛あ゛ッッ!!おかしくなる!!おかしくなるからッッ!!」 「イキそうなんやろ?イッてもええんで?」 「も、イキたくないっっ!!イクのやだっっ!!ああっっ!!」 「ほら、いけ」  最奥を激しく突かれた瞬間、信じられないほど強い快感に身体が包まれる。身体を大きく仰け反らせながら、吉良は声にならない声を上げた。 「ま、……って!!」  達したはずだ。それなのに、性器から何かが出た感覚がない。それに、いつもの絶頂とは全然感覚が違う。もっと深くて長くて、おかしくなりそうなほど強い。 「なんや、メスイキしたんか」 「ひ、ぁ……っ?」  これが、ドライオーガズムというやつなのか。こんな男に犯されてドライで跳んでしまった自分の身体に絶望した。  しかし、その強烈な快感をもっと感じたいと思っている自分もいる。いっそもう完全に、快感に身を任せてしまいたいとも思い始めた。 「気持ちええやろ?もっとイかせたるわ」 「あ゛あ゛ッッ!!」  ごりゅごりゅと前立腺を擦られる。吉良は唾液をだらだらと垂らしながら喘ぐことしかできない。 「ほら、ここ自分で触りな」  男が吉良の手を掴んで、胸元に誘導する。  吉良は言われた通り、両手で自分の胸の突起をいじり始めた。 「あ゛ッッ!!あ゛ーーーッッ!!」 「自分で触って気持ちよくなっとるん?」 「き、気持ちいいッッ!!気持ち、いいッッ!!おかしくなるッッ!!」  理性もプライドも遠くに置き去りにして、吉良はそう叫んだ。乳首を摘んで指で転がすと、ナカがきゅっと締まって快感が倍増する。ソレが堪らなくて、吉良は夢中になって胸をいじり続けた。 「ほんま変態やなぁ」 「お゛ッッ!!あ゛ーーッッ!!イグ!!イグぅ!!」  身体がガクンと跳ねた。また性器からは何も出ない。 「まーたメスイキしよった」  男はケタケタと笑う。そして更に激しくナカを突き続けた。 「や!!イッた!!イッたから!!!とま、って!」  メスイキしたばかりの身体を責められ、もう頭の中は真っ白になっていた。わけがわからず、涙と唾液でぐちゃぐちゃになった顔をブンブンと振る。それでも乳首をいじる手を止めることはできない。ぎゅっと痛いくらいにそれをつねり、与えられる快感を受け入れ続けた。 「あ゛〜〜ッッ!!イ゛グ、またイクからっっ!!」  また吉良の身体は大きく仰け反る。何かが弾けるような快感。一度ドライで達してしまった身体はその味を覚えたかのように、何度もイキ続ける。 「お゛お゛ッッ!!も、やぁあああ!!」  終わらない絶頂地獄に突き落とされ、吉良は発狂するように叫び続けた。自身に覆い被さる男の身体に必死にしがみつくことしかできない。 「ほら、またナカに出すで」 「だ、してッッ!!ナカ、出してください!!」  勢いよく体内に精液が注ぎ込まれる。腹の中がじんわりと温かくなるような気がした。  吉良はぐったりとベッドに四肢を投げ出した。もうまともな体力など残っていない。ドライオーガズムの余韻はまだ残っており、身体が不規則に痙攣する。 「可愛かったで。また遊んだるからな」  男が吉良の頭を優しく撫でる。温かい手が気持ちいい。  吉良はゆっくりと瞼を閉じた。  

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