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第2話
深夜二時。今日もいつも通り、夜中までの残業になってしまった。まぁ、警察庁のキャリアなんてこんなものだろう。公安なら尚更だ。
シャワーを浴び終わって、吉良は自室のベッドに転がる。疲れ切った身体が、シーツに沈んでいく。
そのまま眠ってしまうはずだった。しかし、眠ることができない。身体が疼いて仕方がないのだ。下半身がもぞもぞする。
まさか、痴漢されて中途半端に刺激されたからなのか。いや、流石にそれはないだろう。あんなことをされて、感じてしまうなんてありえない。あれは感じたのではなく、生理現象で勃起しただけだ。そう自分に言い聞かせる。
しかし、目を閉じても寝返りを打っても、眠気は来ない。むしろ、下半身の疼きはどんどん酷くなっていく。吉良は大きなため息をついた。
元々そういうことに淡白なのもあるが、ずっと自慰行為などしていなかった。激務なのもあって、一ヶ月はしてない気がする。きっとそのせいだ。サクッと抜いて性欲を発散させてしまえば、それで済むだろう。
吉良は身体を起こすと、スウェットと下着を膝まで下げる。すでに大きくなっている性器を手のひらで包むと、上下にシコシコと擦った。
「ん、……っ」
先走りがドロドロと溢れていく。その滑りを利用して、先端を刺激すれば、腰のあたりがビクビクと震えた。
昼間のあの瞬間が脳裏によぎる。あの青年に性器をぐちゃぐちゃと弄られたあの感覚を思い出して、ソレがさらに大きくなっていく。
しかし、自分でどれだけ弄っても、あの時と同じ快感は生まれない。それがもどかしくて、吉良は必死に性器を刺激し続けた。
「う……っ」
単調な悲劇を与え続けられた性器から、どろりと白濁が飛び出していく。それをティッシュで受け止め、何重かに来るんでゴミ箱に捨てた。
これで眠れる。そう思って再びベッドに転がった。
しかし、下半身の疼きは治らない。
吉良は困惑した。今まで、一回射精したら性欲なんて治っていた。こんな経験一度もない。
「……っ!」
後孔がきゅんきゅんと疼いていることに気がついて、吉良は絶句した。こんなところ、触りたいと思ったことなど今までにない。あるわけがない。
────まさか、あの男に触られたからなのか?
意味がわからない。しかし、そうとしか考えられない。自分の身体はおかしくなってしまったのだろうか。
吉良は恐る恐る四つん這いになって、唾液を絡めた指をゆっくりと後孔に伸ばした。
「ん、、ぁ……っ!」
ぬるり、と指がナカに入っていく。その瞬間、腰がゾクゾクと震えた。
あの時の感覚を頼りに、ナカをほぐしていく。人差し指も挿入して、二本の指でぐちゅぐちゅと掻き回した。
「はぁ……んっ!」
シコリを指で押し潰すと、身体がガクガクと震える。
気持ちいい。静かなマンションの一室に、卑猥な水温だけが響く。吉良は夢中になってソコを刺激し続けた。
「く、ぅ……っ!」
しかし、達することはできない。達する直前まで来ているのに、ギリギリのところでイくことができないのだ。
それに、男に弄られた時の方がもっともっと気持ちよかった。あの時の快感をまた得たいのに、どう頑張っても得ることができない。
「ふ、ぅ……な、んで……っ!」
吉良は諦めて指を引き抜く。肉壁は名残惜しそうにぎゅうぎゅうと収縮している。
胸ポケットに入れられたメモのことを考えながら、吉良は目を閉じた。
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