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大罪人の罰 1(※)

 そのちっぽけな存在の自分に与えられたものは、ある一つの村を守る為に授かった聖女の力。あらゆる魔物を遠ざけ、人々の傷を癒やすという不思議な力は、神の遣いとして崇められ、尊ばれた。  十六歳という若さで授かったそれは、貴族でもましてや王族でもない"少年"には、あまりにも強大で身に余るものだった。  彼はその力を清く正しく使う為に、歴代の聖女達の文献を読み漁り、周りの人間の言葉に耳を傾け、懸命に聖女としての役割を果たそうとしていた。  しかしその数年後。  彼は村の人々によって捕らえられ、ありとあらゆる暴行を受けた後、罵詈雑言を浴びせられながら谷に突き落とされたのだ。 『魔物に魂を売った大罪人め』  最後に耳に残ったのは、その言葉だった。 (ごめんなさい。ごめんなさい……)  彼は村の人々に、謝罪の言葉を繰り返しながら奈落の底へと落ちていった。  ーーーー…  瞬きをすると、目尻が生温かいことに気がついた。外気に触れて顔の表面が冷たく感じ、睫毛が乾いたようなハリを持っている。  自然と伸びる手は自身の目元に触れていた。  泣いている? 青年は起き上がりながらそれまでのことを思い返した。  一糸纏わぬ身体には、夥しい数の体液が付着しており、花弁と例えるにはあまりにも痛々しい数の鬱血痕が散っている。明らかに暴行を受けた後なのだが、それはいつものことなので気にならなかった。  それよりも、彼が気になったのは気を失っている間に見ていた夢のことだ。 (ああ、そうだ……)  朧気ながらも思い出したのは数百年も前の、遥か昔の記憶。自分が今の自分になる前の、大罪を犯した者の記憶であった。  男でありながらも神からの力を授かり、聖女という大役についたものの、その力を村の為に果たせなかった愚かな者。何故、村を裏切ってしまったのか、そして何故、それが大罪となってしまったのか。  それを今、彼は思い出したのだ。 「お、目ぇ覚めたぞ」 「まったく。長えこと待たせやがって」 「んぐっ……!」  突如、細い腕を引っ張られつつも口の中に押し込められたのは、強い臭いを放つ男根だ。猛々しいそれが彼の喉奥まで深々とねじ込まれると同時に、荒く掴まれた後頭部を前に後ろにと動かされる。まるで玩具のように扱われる青年だが、抵抗する素振りは一切見せず、ただされるがまま同じ男による口淫を受け入れる。  意識がはっきりしないまま行われるそれが呼吸を苦しくさせるものの、意識がないままされるよりはマシだと自発的に頭を動かした。シラミのついた毛むくじゃらの中に顔を突っ込むのはあまりいい気がしないものだが、それを避けようとして浅く咥えれば窒息寸前になるまで陰茎を押し込まれるので、青年は必死になって男のそれを咥えた。  しかし、縮れた陰毛は顔の表面だけでなく、鼻の中にも侵入し、青年に不快感を与える。決して気持ちの良いものではない。身体の節々はすでに悲鳴を上げているものの、青年は嫌な顔一つせず、目の前の男の奉仕に勤しんだ。  そして後方では別の男が青年の腰を立たせると、なだらかな双丘に潜む秘部を晒すように指を使ってこじ開ける。そこからドロリとした赤と白が混じる粘液が溢れ落ち、パックリと小さな孔が口を開いた。男はぺろりと舌舐めずりをした後、赤子の腕ほどもある陰茎をその中に無理やりねじ込んだ。 「んっ、ぐうっ……!」

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