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大罪人の罰 2(※)
青年の鼻からくぐもった悲鳴が漏れた。ほとんど濡れていないそこに、本来は挿れるべきでないものを押し込まれたのだ。痛苦を伴わないはずがなかった。
どころか、後方の男は下卑た笑みをその顔に浮かべながら、紫色に変色する青年の尻を容赦なく叩いた。
「こちとら命がけで海に出てるんだ。体力回復させねえと、仕事にならねえんだよ」
「そう言って体力擦り減らすことしかしてねえけどなぁ!」
「おらっ! ちゃんと腰を振れ!」
「首が動いてねえぞ!」
傍から見れば、醜い大男達が美しい青年を使って犯すという、何とも酷い光景が繰り広げられているわけなのだが、その場にいる人間すべてが誰も彼を助けようとはしなかった。どころか、青年が犯されている様子を尻目に裸姿でカードゲームを楽しんでいる。
「ああ、くそっ! 負けたっ」
「よーし、次は俺だ! お前ら、とっとと終わせろ!」
「馬鹿野郎っ! 今、出そうなんだよ、邪魔すんな!」
「ふ〜……終わった、終わった。おら、こっち空いたから使えよ!」
まるで性の捌け口がそこにしかないかのように、男達はかわるがわる、たった一人の青年を弄ぶ。
「ああっ、出るっ、出るぞっ、飲めこめ!」
「んっ……んんっ、ぐむっ……!」
口淫を強いる男は己の昂ぶるがまま、青年の頭を自身に押しつけ射精する。強烈な臭いとともに放たれる白濁の体液は、青年の口から胃の中へと直接注ぎ込まれた。
それまでの硬度が嘘のように失せた男根が、青年の口からズルリと抜け落ちる。替わりにたっぷりの酸素が青年の肺を満たしていった。
「はっ……はあっ……はあっ……」
「おら、休むな! 動かせ、腰を!」
「あっ……んっ、ごめ……はあっ……なさっ……ああっ……!」
文字通り休む間もなく、青年は喘ぎながら腰を振る。
僅かに窓の外へ視線をやると、辺りは月明かりすらない漆黒の闇に包まれていた。
今夜の"罰"が始まったのは、昨日の日が暮れる前のこと。漁師として海に出る男達は、日の出が登る前に仕事にかかる。だとすれば、あと少し……と、青年は頭の中で自身に発破をかけた。
「これで全員、一回ずつ終わったかぁ?」
「え、二回じゃねえの?」
「つうか一回じゃ足りねえよ! 俺はまだまだヤれるぞぉ!」
「てめえの精力を聞いてるんじゃねえよ! 元聖女様に罰を与えたかって聞いてんだよ!」
「ここんとこサボって罰を受けてなかったからな、こいつは!」
罰、という単語に青年の胸は酷く痛んだ。
(そうだ。ちゃんと、償わなくちゃ……)
気を失っている間に見た夢が、青年が過去に犯した罪を再認識させた。
決して許されることのない、大罪を。
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