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元・聖女 レイヴン 1(※)

 十日前ー 「んっ……ぅぐっ……んんむっ……!」 「おいおい、ちゃんと気合を入れて腰を使ってくれよ。ちゃんと愛撫してやってるだろぉ?」 「んんうっ!」  暗澹とした闇の中、ひしゃげた木材で作られた机の上で、その激しい情交は繰り広げられていた。  一方は二十代前半と思しき顔立ちと熊のように大柄な体格をしている男で、机に座る形で自身の前に一人の小柄な女を乗せている。黒々とした体毛で覆われる逞しい腕が女の腰と胸を弄りながら、「ふん! ふん!」と力強く腰を動かす青年は、猪のような鼻から獣のような荒い呼吸を繰り返している。ポツポツとした膿が乗るその頬は紅潮しており、細い両目は閉じられているかのようににんまりと笑っている。  対して、青年の前にいる女は十代後半のような幼さがありつつも、まるで人形のように酷く美しい顔立ちをしていた。左右対称のアーモンド型の瞳にすっと通った小さな鼻筋、頬紅が乗っているかのような桜色の頬に顎の小さい卵型の輪郭は、目にする誰もが振り返るような美貌だろう。  しかし、その女には他の女にはないものと、あるものがあった。一つはその胸。平かつなだらかな薄い胸は背後の青年によって揉まれてはいるものの、掴めるような脂肪が全くない。また、臍の下には本来なら身体の内側にあるはずの陰部が剥き出しになっており、背後の青年と同じく竿のような形をしている。さらに奥には陰囊のような袋が二つあり、それはまさしく男根と呼べる形をしていた。  そう、この女はれっきとした男であり、一見しただけでは性別がわからないほどの中性的な容姿をしていた。  つまり、この情交は若い男二人によるもので、青年が青年を抱いているのだ。 「ほら、レイヴン……気持ちいいだろぉ?」  背後の青年はレイヴンと呼ぶもう一人の青年の頬をべろりと舐め上げる。対してレイヴンは、その刺激にくぐもった声を上げた。本来は薄く緩やかな弧を描くだろう形良い彼の唇が今は大きく開かれており、その中には肌着のような物を詰め込まれている。猿轡として噛まされているそれがレイヴンの言葉を封じており、自身を抱く青年への返事は首を動かす以外にない。  しかしレイヴンは青年の問いには応えず、ただひたすら青年の行為をその身に受けていた。  体位として、青年は背後からレイヴンを抱えるようにして、下から己の男根を捩じ込み腰を揺らすというものだ。血管の浮く猛々しいそれは凶器のように小柄なレイヴンを貫いており、赤く熟れたレイヴンの内側が捲れるように覗いていた。  青年が腰を揺らすたびに、レイヴンの長い黒髪が踊るように舞い上がる。それが楽しいのか、青年はレイヴンの名を呼びながら彼の両胸を撫で回した。 「俺は村の奴らと違ってさ、お前のことを大切に扱いたいんだ。だってよ、お前自身はなーんも悪くないだろ?」 「んんっ……!」  二つの小さな粒を抓ると、レイヴンは一層大きな声を漏らした。青年にしてみれば軽く摘んだつもりのそれは、レイヴンにとっては握り潰されるほどの圧力がかかり痛みで悲鳴を上げたのだが、それを青年は感じているものだと思い込み、レイヴンの乳首をなおも捏ねくり回した。 「何? これ、気持ちいいの? ほらほら!」 「んんっ、んっ、んーっ!」 「ははっ! 締まりすげえっ! キュって搾り取られるようだ……!」  痛みを感じるたびにレイヴンの秘部は、青年の陰茎を締めつける。キュウキュウと絡みつくようなそれが青年にとって堪らなく快感となり、彼の呼吸はさらに乱れた。 「はあっ……おらっ、イけよレイヴン! ……っ、イけってっ、おらぁ!」 「んっ、んんっ、んっ……っっ!」  玩具のようにレイヴンを扱う青年の両眼は獣のように血走り、理性が飛んでいることは明白だった。青年は自身の欲の為だけに腰を振り、またレイヴンの腰を動かした。  そしてレイヴンの身体を一層強く押し付けた後、彼の中にたっぷりと自身の精を吐き出したのだ。

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