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元・聖女 レイヴン 2(※)
「はーっ……! すっげぇ出た……!」
肩で息をする青年は恍惚とした表情をその顔に浮かべる。口端から流れる唾液を手の甲で拭いながら、前にいるレイヴンの顎を反対の手で持ち上げながら覗き込んだ。猿轡をしたまま同じく肩で息をするレイヴンは、苦しそうに眉を顰めていた。
「んっ、ふうっ……んっ……」
「あー、悪い、悪い。今、外すよ。レイヴン」
忘れていたとばかりに惚ける青年は、レイヴンの口から噛ませていた布を取り出した。
「ぷはっ……はあっ……はあ……ケホケホッ……!」
自由になった口から酸素を貪るように、レイヴンは大きく呼吸を繰り返した。気管をも刺激するそれに咳き込みつつも一気に身体が軽くなったのを感じ、いくらか楽になった。
「はあっ……はあ……」
中が暗いとはいえ、夜目に慣れた青年の視野はレイヴンの姿をしっかりと捉えている。目を潤ませながら呼吸を繰り返す様は、何とも言えない艶めかしさがあった。長い黒髪が一糸纏わないレイヴンの肢体に貼りつき、それをさらに助長させていた。
「やべぇ……なんかもっかいヤれそう……!」
突き刺さったままの青年の陰茎はレイヴンの中でたちまち勃起し、彼はレイヴンの腰を両手で掴んだ。
「えっ……? あっ、やあっ……! あんっ……ああっ」
「レイヴンっ……レイヴンっ……!」
「ああっ、んっ、ああんっ……!」
そのまま二度、三度と、青年は続け様にレイヴンの中で達した。その間、だらりと項垂れるレイヴンは何もしなかった。ただ青年にされるがまま、己の意志は身体から切り離したかのように、彼がこの行為に満足するまで動かなった。
青年はレイヴンの首筋を飴のように何度も舐めながら囁いた。
「はあっ……はあ……お前を抱いていると、女なんか抱けねーよ……知ってるか? 村の奴ら……お前を罰したいとかなんとか言って、みーんなお前に惚れてるんだぜ?」
「……そう、なんだ」
「それにこんな力、お前にしかないしな。ははっ、もう回復してやがる!」
青年はようやくレイヴンを離すと、机の上に座らせた。そして自身は床の上に脚を下ろし、肩に反対の手を乗せながら大きく腕を回してみせた。
「聖女様々だなぁ! 五日前に脱臼したっていうのにもう痛くねえんだぜ! ほら、見ろよ! な!」
「うん……よかった」
喜々として今の感情を語る青年に、レイヴンは見つめながら小さく頷いた。チラリと部屋の外へと通じる扉を見た後、レイヴンは恐る恐る青年に声をかける。
「あの……そろそろ……」
「ああ、わかってるって! ほら、米と魚、あと山羊の乳だな!」
機嫌の良い青年はにこにこ顔で、棚の上にある麻袋をレイヴンへと差し出した。ズッシリと重さのあるそれを受け取ると、レイヴンは嬉しそうに青年へと微笑んだ。
「ありがとう……」
少女のようなあどけなさを乗せる笑みを目にして、青年はゴクリと生唾を飲み込んだ。実際の歳はそう変わらないというのに、青年にとってレイヴンは同じ男として見られなかった。
「なあ、レイヴン。やっぱりもう一回、やろうぜ……な?」
青年はレイヴンの手を引き寄せ、その細い首筋に舌を這わせた。それをレイヴンは、視線を逸しながら断るようにやんわりと仰け反った。
「あまり長いと……みんなにバレちゃう、から」
みんな、というのは村人のことだ。レイヴンは先程より、部屋の外を気にしていた。チラチラと視線を動かし、気まずそうに青年からその身を剥がそうとしている。
しかしそんな素振りに微塵も気にした様子を見せない青年は、隆々と勃起する自身のそれをレイヴンの脚に押し付けた。
「大丈夫だろ? まだ漁から戻らねえだろうし……バレない、バレない」
「で、でも……あっ……!?」
そしてレイヴンを机の上に押し倒すと、仰向けにさせて彼の両胸へとむしゃぶりついた。ジュッ、ジュッ、と空気を含ませ啜る音を立てながら、青年なりにレイヴンへの愛撫を始めるも、ただ強く吸うだけの吸啜行為はレイヴンの身体にただ内出血を起こさせるだけのものだった。
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