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秘密

 ふかふかのベッドで眠る彼。愛を確かめあったあとは、静かに寝息を立て、夢の世界へと旅立つ。現実世界に取り残された俺は、その隙に体を休める。  あぁとスッキリしたため息を発す。同時にジリジリと脊髄に沿って縦に伸びていく棘が現れる。伸びていく牙。静かな部屋で似合わない、硬い鱗。  こんな人を傷つけるためだけに作られた俺では、潤う君の唇に口付けすることすら許されない。今はまだ恐怖に覚えているけど、いずれその時が来れば、君は俺のすべてを受け入れてくれると信じている。ダカラどうか、今だけは、本当の俺は秘密で。人間の俺を愛してほしい。  この気持ちが無意識に口に出ていたかわからない。そもそも人間のように話せない口の作りでうめき声しか発していない気もする。  唯一確実なのは、硬い鱗で覆われた手で、君の柔らかい髪を撫で続けたことだった。

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